2026年5月20日水曜日

新刊『アントネストの羊』(文研出版)の見本が来ました

新刊見本が来ました。『アントネストの羊』文研出版です。5月30日発行です。
よろしくお願いします。



編集さんからディストピア書いてみませんか、と言われて書いたものです。いつだかわからないぐらいの未来。地球が沸騰し、人類のかなりの部分が死に、残りはかろうじて地下にアリの巣のような住居を作って、逃げ込みました。

お互いアリの巣のような住居を出ることはなく、人が人と会わない世界。すべてはバーチャルで、生体ビジョンという耳に入れるデバイスを通じてやりとりします。生産はすべて集中工場で人型マシンがやります。家の仕事も。人は、ただ座って生体ビジョンでゲームをしているだけ。そんな世界で、ただ一人、黒い羊のように生体ビジョンが使えない女の子がいました。
というお話です。

いや、ディストピア考えるのは好きだからいいんですが、設定に整合性があるようにするのが大変でした。合評にも出し、何度も書きかえ、編集さんに見てもらい、また書き換えて、さらに書き換えて。大変苦労しました。

よく私も合評や投稿で、SFを読む機会があるのですが、ほんとご都合主義になってしまう(少なくとも見えてしまう)ので、SFというのは、大変です。普通に読めてあたりまえ、そうでないと????の嵐で、この世界いったいどうなってるんだ、となってしまいますので。

ありそうな世界と思っていただければ幸いです。そして人が人であるためには、何が必要なのかということ、子どもさんがたに考えていただければ。

編集さんが抜いてくださった袖の言葉です。
「人は困難に直面して、それを打開しようと、あらゆる手立てを使って、工夫しているときが、最も幸せなのではないのか?」
だれの言葉か、は読んでのお楽しみということで。

2026年4月21日火曜日

季節風166号が来ました

季節風166号がきました。

受賞のことばに、児童文芸新人賞の高村有さんと、児文芸協会賞の別司芳子さんが書かれている。そう、今年の児童文芸二賞は、なんとお二人とも季節風の方。おめでとうございます!

私は、『ユリの便箋』の書評を書いていただきました。
酒井和子さん、ありがとうございました。




2026年4月12日日曜日

拙著『やさしく読めるビジュアル伝記 徳川家康』(Gakken)見本来ました

拙著『やさしく読めるビジュアル伝記 徳川家康』(Gakken)見本来ました。


山田一喜さんの素敵な絵で、家康の気持ちをしっかり表していただいています。本文を本当に読み込んで書いてくださったことがわかります。ありがとうございました。

編集部のほうで、富士と鷹、おめでたい表紙になった、という話になったというので、そっかと思い当たったのですが、一富士、二鷹、三なすびという初夢に縁起のよい、この三つは、どれも家康の好物だったんですね!
どっかに茄子のことも書いておけばよかった(笑)。

でも、その他にこの方が好きだったのは、鉄砲を撃つことだったらしく、それはこの時代、あたかも今のドローンのような最新兵器だったのですが、大将が手にするものではないとされていたのに、大好きでよくやっていたそうで。それは書きました。

おめでたく、たくさんの方に届きますように。

戦のない世をつくった武将、という副題がついています。

なお、この時代の武将たちは、自国のことしか考えていなかったという人もおられますが、ある意味そうだとしても、また別の意味で、こんなに身内や部下が亡くなる世の中は、いつか終わらせたいと考えていたのだと私は思います。安全保障という言葉はありませんでしたでしょうが、きっとなにかそういう制度は必要だと思っていたに違いないと思います。この方の生涯をていねいに追うと、やっぱりそういうふうに考えたんだなと思わざるを得ませんでした。

2026年4月10日金曜日

『アンネは、なぜ死んだのか 十年間の旅の記録』土山優(新日本出版社)

書名:アンネは、なぜ死んだのか 十年間の旅の記録
著者名:土山優
出版社:新日本出版社



好きな場所:私が興味を持つのは、結果としてレジスタンスをすることになった、いわば普通の人だ。
所在ページ:p32
ひとこと:「十年間の旅の記録」と副題にあるように、これは何かを解説する本ではないように思います。ましてや、アンネがなぜ死んだのかを解き明かす本でもない。
 引用のように、アンネが隠れそして亡くなったあの時代に、ヒトラーに対して、違和感を抱き、そして「結果としてレジスタンスをすることになった」市井の人々の足跡をたどるために、何度も旅をした作者のエッセイであるように思いました。
 この足跡をたどるというのは、熱意というよりは、いわばこだわり、頭について離れないなにか、外来語でいえば「オブセッション」に近いもの。
 それを旅の順に書き下すことによって、最終的に、あの時代の市井の人々のやむをえない良心の発露を追い、どのようにナチスドイツがひどい政府であったかということを、虐殺そのものを描かずに描いている、そういう本のように思いました。
 ユダヤ人の側から、アウシュビッツでの生活や、その周辺でのできごとを書いたものはたくさんありますが、市井の人々の良心、というところに光をあてたものはむしろ少ないと思います。たぶん、見て見ないふりをしたことに対する非難や反省のほうが、きわだってしまうからだと思います。
 でも、もしこのような政府が私たちの上に君臨したとして、さあ、私たちはどうするのだろうと、考える時、この観点はとても大事だと思います。
 とりあげられている市井の人は、たとえば
 引き取られた女の子がユダヤ人であると知りながら密告しなかったオランダのある村の人たち。
 アンネ一家の隠れ家に物資を運んで相談にのっていたオーストリア人の女性。
 妊娠しているユダヤ人女性に身分証明書を渡したドイツ人夫妻。
 ヒトラーを暗殺しようとした家具職人。
 ビラを作成し、撒いたミュンヘン大学の学生兄妹。
 その学生の父と母と姉。
 そのビラをひろい添え書きをして、印刷して撒いた人。
 ビラに関する協力者180名。
 そのことを一切しゃべらずに斬首された学生。

 この時代のことは、私たちの世代であれば、いつかどこかで聞いたような感じがするかもしれませんが、作者は聞いたこと読んだことという「観念」にはせず、一つ一つに自分の足を運び、現場を自分の目で見ることによって、今に手繰り寄せようとしています。
 労作としかいいようがない、この本ですが、本当に10年もかかったということ。
 こういう良心を試されるような世の中にしてしまわないこと、そして、若い方々に語り継ぎ、こういうことがあったことを忘れないようにすること、とても大事だと考えさせられました。
 
 

2026年3月30日月曜日

『高橋秀雄詩集 かんじくん』高橋秀雄(四季の森社)

書名:高橋秀雄詩集 かんじくん
著者名:高橋秀雄
出版社:四季の森社



好きな場所:だけどな/さいごひとけり/風のふくまま/気のむくまま/それが/バッタいっぴき 生きる道
所在ページ:P73
ひとこと:『やぶ坂に吹く風』(小峰書店)で、第49回日本児童文学者協会賞受賞など、数多くの作品を出されてきた高橋秀雄さんの初の詩集です。
 題材の多くは、お作品と同じように日光の男体山のふもとに住む小学校四年生の男子(かんじくん)に仮託されたもの。でも引用のように、バッタになったものもあり、昔の高橋さんなんじゃないかというものもあり、人生の様々な時点で、人はいろいろな感覚を得るものなんだなあと思わされます。
 表紙のような小学生を描いた挿絵(徳升寛子)もすてきです。
 あくまでも絵本の勉強で詩を始められたという高橋さん。これからも詩をお書きになるのでしょうか。楽しみです。
 

『るるぶ 毎日5分でまなびの種まき 日本のれきしおはなし30』松尾恒一監修(JTB パブリッシング)

書名:るるぶ 毎日5分でまなびの種まき 日本のれきしおはなし30
著者名:松尾恒一監修
出版社:JTB パブリッシング


好きな場所:あるよ、にんじゃの おろちまるは てきの おしろに しのびこみました。
所在ページ:P145
ひとこと:前にご紹介した『都道府県のおはなし47』と同じるるぶの「毎日5分でまなびの種まき」シリーズです。
 今回は日本のれきしのお話。
 歴史の解説ではなく、その時代を舞台としたおはなしが30篇、そしてそれぞれの時代の解説がやさしくなされています。
 よみきかせなら3さいから、一人読みは低学年からの読みやすいお話ばかりです。

 引用は季巳明代さんの「おろちまる でかしたぞ」。武士や忍者が活躍した戦国から安土桃山ごろのお話です。
 おろちまるは忍者。敵の城に忍び込みます。お城の秘密が敵に流れているといううわさがあるので、その情報を探らなければなりません。さあ、おろちまるはどうやってしのびこみ、何を持ってくるのでしょうか?
 幼稚園保育園向けの月刊絵本で、忍者のお話の連載もしておられた季巳さん。
 さすがのわかりやすさで、難しい時代物をふんいきたっぷりに、そしておもしろく描いておられます。
 春休み、夏休みの観光で、史跡をめぐったりするご家族もおられるでしょう。そのお供にぴったりと思います。

2026年3月27日金曜日

『アクション! ふしぎな係活動!! ACTION2 もやもやざわつく係もある』サークル・拓編(岩崎書店)

書名:アクション! ふしぎな係活動!! ACTION2 もやもやざわつく係もある
著者名:サークル・拓編
出版社:岩崎書店


好きな場所:その子のちがう顔を見つけたら、苦手だっていう気持ちがへるかもなあ
所在ページ:p123
ひとこと:「サークル拓」による三巻シリーズの「アクション! 係活動!!」第2巻「もやもやざわつく係もある」です。
 引用は、野原にじうおさんの「カメラ係 美優のえくぼ」です。
 ほたるのおばあちゃんは、家の一階でほたる写真館をやっています。二学期の係決めのとき、美優にカメラ係に推薦されてしまいます。
 ほたるは美優が苦手。ダンスをやっていて、女子グループのリーダーで、クールできつい性格。カメラ係にされたうえに、運動会の振り付けを撮影するよう、言いつけられます。
 びしびし指図されますが、それがきつい。
 めげているほたるに、おばあちゃんが引用のようなことを言うのです。
 詩人でもある野原さんが、ほたるが美優をカメラを持って追いかけるシーンが圧巻です。
 そしてほたるは美優に、なぜカメラ係に推薦したか、その理由を探してみて、と言われるのです。

 この巻でもいろいろユニークな係活動が。
「体育係」「窓係」「苦情聞きます係」「レク係」「予言係」「カメラ係」「ボードゲーム係」。
 これを読んだ子たちは、うちのクラスにもこんな係ほしいなって思うことでしょう。

2026年3月20日金曜日

『うみになる』野原にじうお(四季の森社)

書名:うみになる
著者名:野原にじうお
出版社:四季の森社


好きな場所: どろにしずんでいこうとすると/おまえはうまれたじゃないか/うまれたおまえがこえをあげないでだれがおれたちのこえをかたるのだ/こえがした
所在ページ: P142
ひとこと:日本児童文芸家協会の新人登竜門だった(今はありませんが)「つばさ賞」の第18回で、詩・童謡部門で優秀賞・文部科学大臣賞を受賞された野原にじうおさんの初詩集です。
 野原さんは散文もこなされ、先日出たばかりのサークル・拓編集「アクション! 係活動!!」シリーズ(岩崎書店)にも掲載されていらっしゃいます。
 生きづらさを肩代わりすることはできないけれど、自分の他にもこんな子が、こんな人間がいるということを知ってほしい、という思いで、出された詩集だということで、引用は「あとがきのかわりに」という副題のついた「しにたいとばかりおもうこは つがるでくびをきられたねこにあう」という詩です。
 うんうん、わかるわかるという方がたくさんおられるのではないでしょうか。
 ぜひそういうところに届いてほしいなと思います。
 ますますのご健筆を!

2026年3月18日水曜日

『アクション! ふしぎな係活動!! ACTION3 ときにはときめく係もある』サークル拓編(岩崎書店)

書名:アクション! ふしぎな係活動!! ACTION3 ときにはときめく係もある
著者名:サークル拓
出版社:岩崎書店


好きな場所:「ともやさんからの折り紙が届いたよ」
「わー。ともや、やってくれたんだね」
所在ページ:p14
ひとこと:東京八王子で活動する児童文学同人「サークル拓」。『あける』という同人誌を出しておられます。その拓が、総がかりで、三巻シリーズの「アクション! 係活動!!」という本を岩崎書店さんから出されました。だれかだけが特に選ばれてというのでなく、全員が、というのがふだんからとっても仲の良い拓らしくて、すてきで、しかも作品が粒ぞろいうというのが、ほんとすごいことです。
 これはその第三巻「ときにはときめく係もある」。引用は、櫻井ひろこさんの「ふしぎなけいじ板 かざり係」です。
 三年生になったゆあ。担任の先生は、クラスが楽しくなる係を考えて、クラス全員になにかの係になってもらおう、と言います。ゆあは友だちといっしょに掲示板を好きなように飾る「かざり係」になりましたが、あと一人は、登校してこないともやでした……。
 実際に学童クラブの職員として、日々子どもさんがたに接している櫻井さんならではの生き生きとした子どもたちが描かれていてすてきです。

 他にもいろいろユニークな係活動が。
 この巻では「かざり係」のほか「パワーストーン係」「メタセコイヤ係」「千星くんのお世話係」「図書係」「保健係」「カメ吉係」がとりあげられています。
 メタセコイア係? さあ、いったいどんな活動をする係なんでしょうか、興味をそそられます。
 他の二巻にもたくさんの係が。
 これを読んだ子たちは、うちのクラスにもこんな係ほしいなって思うことでしょう。
 

2026年3月16日月曜日

『しょうがっこうの、いやなところ』山本悦子(あかね書房)

書名:しょうがっこうの、いやなところ
著者名:山本悦子
出版社:あかね書房


好きな場所:「うちのいもうと、うららちゃんって いうの。ものすごく かわいいよ」
「うち、ねこ、かってる」
 みさきちゃんの こたえは、なんか、ちょっと ちがう。
所在ページ:p9
ひとこと:山本悦子さんの『しょうがっこうが、きらいです』に続くしょうがっこうシリーズ第二弾。学校っていいところだよ、みたいな本はいっぱいあるけれど、きらいなところ、いやなところを並べる本はないかも。
 でも、最後は、やっぱり学校に行きたくなっちゃう。そんな本です。

 一年生のかりんはおねえちゃんになったばかり。妹をかわいがっていてミニママと呼ばれているけれど、学校にいる間、妹がおかあさんをひとりじめしているのが、気になって早く帰りたい。
 で、小学校のいやなところを頭の中でならべたてています。
 引用は、その1 おはなしする子がいない。
 かりんは、おはなししなくちゃって思って、みさきちゃんに話しかけてみますが、みさきちゃんはぜんぜん別の話を持ってきます。他の子もそう。これじゃおはなしできない。あーあ、いやだなってかりんは思うのです。
 これ、笑っちゃいます。
 いや、ほんと小さい子って、そのとき自分の頭にあることしか言わない。相手が大人なら、そうなのって合わせますが、学校では子どもどうしだから、どうしているのかなっていつも思っていました。
 さすが山本さん。まあ、子どものことを、よく知っておられます。なのに小さい子って、それでなぜか会話が成り立っていることも知っておられます。そこがかわいい。
 でも、本人は十分ちゃんとしてるつもりなんですよね。自分もそうだったし、意外に人がしゃべったこともよく覚えていて、友人の家のこと、きょうだいは何人で、家族にはだれがいて、なんてこと、今こんな年になってさえ、覚えています。
 そんなこともしっかりわかる。

 渦中の子どもさんがただけでなく、自分の子が小学校でないがしろにされていないか心配になっていらっしゃる保護者の方も、読んでみてほっこりされる本だと思います。
 
 
 

2026年2月11日水曜日

『万丸食堂、奇跡のソフトクリーム』山本悦子(理論社)

書名:万丸食堂、奇跡のソフトクリーム
著者名:山本悦子
出版社:理論社


好きな場所:(中三かあ。大きくなったなあ)
としみじみ思う。
(あのときは、小さな犬っころみたいだったのに)
所在ページ:p90
ひとこと:万丸ビルの六階食堂の名物は、グリングリンに十段もかさねられたソフトクリームだ。みんな、おはしで食べる。
 このソフトクリームは奇跡のソフトクリームと言われている。
 なぜか。十段かさねるのが難しいからか?
 どうもそうじゃなくて。不思議なことが起きるらしい。

 山本悦子さんの連作短編です。『日本児童文学』に連載されていましたが、それを加筆されたということです。

 私は連載中から、引用のお話「預かった娘」が好きでした。今読んでもやっぱりいいな。小さな犬っころみたいだった亜子が、大きくなって中三に。父が一人でソフトクリームを食べていると向かいの席に座ったのは……。
 心がぎゅっとなるお話。それに一歩引いてみると、こういうことってあるよねって思います。いえ、ファンタジーの話ではなくて心の話ですが。まわりの者が、頭の中で、こういう子だと思えばその子はそうなっていく。そう思わなかったら、意外とそうならない。そんなことも考えました。

 万丸食堂は、実在する食堂だそうで(ソフトクリームもおはしも本当)一時閉めていたのが、地元の要望で再開されたのも本当らしいです。これを読んだら、一度行って、ソフトクリームをおはしでたべてみたいですよね。

 

2026年1月28日水曜日

むさしの-FM出演番組のポッドキャスト

児童文学作家さんでもある成蹊大学文学部現代社会学科今田絵里香先生からお声かけいただいて、先生の「メディア・リテラシー演習」の一環として実施されているむさしの‐FMのラジオ番組制作現場にインタビュイーとして呼んでいただき、「戦後 80 年 どういう形で、何を継承していくのか」というテーマの番組で、私は児童文学作家として『マレスケの虹』(小峰書店)を書くにあたって、どんなことを伝えたかったのか、などをお話してきました。

放送はポッドキャストで聞くことができます。
こちらです。

こちらのリンクから、聞けます。
11:16のあたりから私がしゃべっております。

当日のようすはこんなぐあいです。
みなさんフレッシュで、意欲的でいらっしゃいました。
 

 
当日のもようの学生さんがたによる報告
https://musashino-fm.co.jp/2025/12/11/post-141712/

むさしの-FMのメディアリテラシー演習の番組のポッドキャスト全体はこちらからお聞きになれます。

2026年1月6日火曜日

『あずきのあらし』しめのゆき(岩崎書店)

書名:あずきのあらし
著者名:しめのゆき
出版社:岩崎書店




好きな場所:こうかんはともだちのしるしなんだよ
所在ページ:p32
ひとこと:岩崎書店の「ひとりでよめるこわこわおばけ話」シリーズ。このシリーズは、一人で本が読めるようになった子のための怪談なので、短いお話が2編と読みやすく、そしてこわいけれどそんなにこわくないようにできています。
 これはその6巻目『あずきのあらし』で、作者は「ティアラちゃん」や「マジカル☆ピアノレッスン ピアノようせいレミー」シリーズでバレエやピアノのような芸術に挑戦する子を描いて人気のしめのゆきさん。
 第一話は表題作で、伝統的な妖怪「あずきあらい」が出てきます。なかよしのタクくんが引っ越すことになり、カイトは、お別れパーティで近所の小川で遊んだのですが、タクくんと引用のように「ともだちのしるし」として交換した大事なミニカーをなくしてしまいます。あったと思って、持って帰ったのですが、その夜……。
 第二話は現代的なお話で、「ペットバッジ」という育成ゲームで遊んでいたナナは、バッジをつけたまま公園に行きますが……。
 しめのさんは、ひとりでよめる怪談シリーズの「こわいがいっぱいおばけのはなし」でも『くびびじんコンテスト』も出されておられて、このシリーズの御常連。芸術だけではなく、お化けのお話のほうもお好きとか。
 たくさんの方に読まれますように!
 

2025年12月23日火曜日

『河童の子守唄』田沢五月(国土社)

書名:河童の子守唄
著者名:田沢五月
出版社:国土社




 好きな場所:それに遠野は昔から、すごく自由だ。オシラサマは娘と馬のカップルだもん。娘と河童のカップルだっておかしくない
 所在ページ:p159
ひとこと:『海よ光れ! 3・11被災者を励ました学校新聞』(国土社)が第70回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書だった田沢五月さんの新刊です。
 遠野の古ぼけた木造の旅館「河童屋」の玄関ロビーの真中に置かれているやせこけた河童の木彫り。背丈は90センチほどで、ひょろっとしています。これは実は木彫りではありますけれど、れっきとした妖怪、河童のカッチャンなのです。
 カッチャンは木彫りから出たり入ったりしますが、出ても普通は人間には見えません。
 でも妖怪同士のコミュニティがあり、そこでは、みんな妖怪は住んでいる家の屋号で呼ばれています。なのでカッチャンは河童屋と呼ばれています。
 妖怪だらけの遠野の町に、奇妙な事件が起きます。どうも「古道具屋」の天狗がかかわっているらしく……そしてそこへ、学者一家がやってきますが……。
 さあ、どうなるんでしょう。そしてカッチャンはやる気のない河童屋の息子一馬を見限って新しい運命に従うべきなんでしょうか……。

 生き生きとした妖怪たちの会話が、すばらしいです。私が遠野に行ったのは、四十年以上前でしたでしょうか。それから今は変わっているのかもしれませんが、きっと妖怪は、この本にあるように人にうっかり見られないように用心しつつも、変わらずいるんだと思います。

2025年12月16日火曜日

「さぴあ」2026年1月号に講演が掲載されました

「さぴあ」2026年1月号に、せんだって参加させていただいた第29回さぴあ作文コンクール表彰式で行った講演のもようが掲載されました。

 『たとえリセットされても』(文研出版)が高学年の課題図書になったことで、呼んでいただいたものです。一般の講演会やサイン会とはまた違う雰囲気、全員がこの本を読んでくださったことが確実という中でしたので、とっても話しやすくうれしかったです。





2025年12月4日木曜日

『ぼくらの教室RPG』白矢三恵(くもん出版)

書名:ぼくらの教室RPG
著者名:白矢三恵
出版社:くもん出版


好きな場所:オレはトーマに教えてやりたい。空気ぐらい読めないと、高学年になっても、きっと、トーマはずっと「ぼっち」だよって。
所在ページ:p27
ひとこと:先月文研出版から『みんなの居場所』を出されたばかりの白矢さん、またまたご出版です。
 四年生の秋人は、ふだんから「低学年じゃないんだから、だれにも合わせようとしなかったら、空気が読めないやつだって、みんなから思われるよ」という考えの持ち主でした。だから、運動神経ばつぐんで、顔もまあまあイケてるトーマが、いつもしらけた顔をしてクラスの子たちとかかわらないのを見て、引用のように思うのでしたが。
 あれ? 空気読んでるはずなのに、なんだか、妙な方向に。
 秋人はこれでいいんでしょうか?
 そんな問題を、RPGゲームにのせて、軽やかに提示されています。

2025年11月28日金曜日

『キンダーブック2 2025年12月号』(フレーベル館)掲載の「くるみわりにんぎょう」詳細

 先日ちょっと写真を上げました『キンダーブック2 2025年12月号』(フレーベル館)掲載の「くるみわりにんぎょう」の一部の掲載のご許可をありがたいことに、いただきましたので、載せます。
 やっぱり写真よりすごくすてきです。
 


 浅倉田美子さんの絵、他のページもすてきです。ぜひお手に取られてごらんください。

  浅倉さんは、なんと『クロワゼ』というバレエ雑誌にも絵を描いておられます。くるみは、バレエの有名な演目ですし、ほんとご縁があってうれしいです。

 朝倉さんのwebページと、Instagramはこちらです。こちらもぜひ併せてごらんください。


2025年11月23日日曜日

『ハリハリモルモはさわれない!』赤羽じゅんこ(国土社)

書名:ハリハリモルモはさわれない!
著者名:赤羽じゅんこ
出版社:国土社


好きな場所:なんと! やられることがあるのか? ハリハリモルモは、まれに、ハリの先から毒をだすとは聞いておった。はれてかゆくなる毒だそうじゃ。
所在ページ:p43
ひとこと:赤羽さんの幻獣シリーズ『トゲトゲトカゲをつかまえろ!』『クスクスムシシを追いはらえ!』に続く三作目です。
 今回は、ハリネズミみたいな形の幻獣、ハリハリモルモが、クラスのみんなに次々ととりつきます。ハリハリモルモにとりつかれると、自分のからにとじこもり、だれとも協力しなくなり、元気もなくなるといいます。
 アキラは、合唱指揮者として、音楽会に向けて練習しようとよびかけますが、みんなにいばっていると言われてしまいます。原因をさぐると、それはみんなにとりついたハリハリモルモだったのですが……引用のように、なかなかてごわく。
 
 ゲームのモンスターはゲームの中だけですが、こんなふうに見えないけれど、みんなにとりついている何かがいるのかも。

2025年11月15日土曜日

『お元気部屋へようこそ』安田夏菜(小学館)

書名:お元気部屋へようこそ
著者名:安田夏菜
出版社:小学館



好きな場所:もっと強うならねば。もっとかしこくならねば。もっとしっかりせねばと、おこられてばかりでのう。わしゃ、そのなっとうの糸みたいなねばねばにからめとられて、息がつまって、とうとう家出をしてしもうた。
所在ページ:p83
ひとこと:せんべい屋のかんばんむすめお咲ちゃん。計算もできて、死んだおっかさんの代わりに家のこともやって、働き者で賢い子。そのようすに感心したお寺のおしょうさんに勧められて、寺子屋に通うことに。
 しかし、ちょっと変わった寺子屋で、お元気部屋というなぞの部屋があり……。
 引用のように、ねばねばをなっとうの糸、というのは落語台本も書かれる安田さんならではの表現で、こんな風にまるで落語のようにどんどんお話はけったいな方向に進んでいきます。いったいどうなるんだろうと思ったところで、なーるほど、という納得の展開。さすがでいらっしゃいます。
 さかいめ、あいまい、って大事ですよね。
 ついつい問題を突き詰めて、ではああしたらいい、こうしたらいいとSNSを含めてみんなで解決をあせってしまいそうな現代に、とっても必要なこと。
 ねばねば言わないように、大人もぜひこれを読んでがんばらなきゃ、あれ? がんばっちゃだめだった(笑)。

2025年11月14日金曜日

『おれたちはギロンする』安田夏菜(静山社)

書名:おれたちはギロンする
著者名:安田夏菜
出版社:静山社


好きな場所:議論をするのは、共に生きるためだってこと。相手を論破するためじゃないってこと
所在ページ: p93
ひとこと:あんまり特技もなく明るいザコキャラと自分のことを言っている陽太。親をまたいで叱られ、親子げんかになって家をとびだし、自転車で遠くまで。行きついたのは神社の境内でやっているフリーマーケットでした。そこで会ったのは、やたら議論をふっかけてくる女の子、芽衣。何のために議論をするんでしょうか?
 論題が安田さんらしくておもしろく
 1 寝ころんでいる親をまたぐのは、是か非か
 2 知らないおばあさんに、バス代を貸すのは是か非か
 3 子どもでも髪を染めてよいのか
 4 夢は持つべきか、持たざるべきか
 5 キャラを使い分けるのはアリか、ナシか
さあ、あなたはどう考える?