2025年11月15日土曜日

『お元気部屋へようこそ』安田夏菜(小学館)

書名:お元気部屋へようこそ
著者名:安田夏菜
出版社:小学館



好きな場所:もっと強うならねば。もっとかしこくならねば。もっとしっかりせねばと、おこられてばかりでのう。わしゃ、そのなっとうの糸みたいなねばねばにからめとられて、息がつまって、とうとう家出をしてしもうた。
所在ページ:p83
ひとこと:せんべい屋のかんばんむすめお咲ちゃん。計算もできて、死んだおっかさんの代わりに家のこともやって、働き者で賢い子。そのようすに感心したお寺のおしょうさんに勧められて、寺子屋に通うことに。
 しかし、ちょっと変わった寺子屋で、お元気部屋というなぞの部屋があり……。
 引用のように、ねばねばをなっとうの糸、というのは落語台本も書かれる安田さんならではの表現で、こんな風にまるで落語のようにどんどんお話はけったいな方向に進んでいきます。いったいどうなるんだろうと思ったところで、なーるほど、という納得の展開。さすがでいらっしゃいます。
 さかいめ、あいまい、って大事ですよね。
 ついつい問題を突き詰めて、ではああしたらいい、こうしたらいいとSNSを含めてみんなで解決をあせってしまいそうな現代に、とっても必要なこと。
 ねばねば言わないように、大人もぜひこれを読んでがんばらなきゃ、あれ? がんばっちゃだめだった(笑)。