2026年10月2日金曜日

『めのみえないマントヒヒ イブナは、きょうもげんきです!』楠章子(童心社)

書名:めのみえないマントヒヒ イブナは、きょうもげんきです!
著者名:楠章子
出版社:童心社


好きな場所:チャメは イブナを ずっと だいています。
 イブナの ほうも、はなれようとせず せなかに しがみついています。ふつうは すこし おかあさんのからだから はなれたりするものです。
所在ページ:P13
ひとこと:愛媛県のとべ動物園では、たくさんの動物を飼っていますが、その中にマントヒヒの群れもいます。中では赤ん坊も生まれます。
 アラビア語で「むすめ」という意味のイブナと名付けられたマントヒヒの赤ちゃんがいました。おかあさんのチャメにくっついて大きくなっていきますが、引用のように、どうもようすがおかしい。獣医さんに診てもらうと、目がほとんど見えていないことがわかりました。
 さあ、どうする。
 飼育員さんたちは考えます。
 人工飼育という手もあるが、そうすると母から離さなければなりません。群れからはなれ一生ひとりで生きていくことになってしまうかもしれません。イブナの幸せを考えて、そのまま見守ることにしますが、はたして目の見えないイブナは、群れの中でどう暮らしていくのでしょうか?

 『ばあばはだいじょうぶ』『おばあちゃんのあかね色』『お母さんはだいじょうぶ』など、認知症を理解し、共に生きていくことを、テーマの一つとして追及されている楠章子さん。
 このイブナのことを知って、ぜひ書きたいと取材され、本にされました。
 飼育員さんたちは、注意深く見守りながらも、なるべく群れに任せようとします。
 人間であれば、いじめたりなかまはずれにしたり、ということも場合によってはあるわけですが、学校もテレビも本もなく、どうするべきかをだれかに教わるわけでもなさそうなマントヒヒたちは、いったいイブナをどう扱っていくのでしょうか。
 
 

2026年8月7日金曜日

『旅する10分 放課後クロニクル』(高橋書店)が発売になりました。

『旅する10分 放課後クロニクル』(高橋書店)が発売になりました。


日本児童文芸家協会の編纂、山本省三先生や、宮下恵茉先生のご尽力のたまものです。

コンセプトは、「長編小説を最後まで読み切れない」「読み物から離れてしまう」といった子どもたちに、短時間で完結しながらも豊かな物語体験ができる“10分で読めるファンタジー”と“歴史”です。



【目次】
巻頭マンガ

第1話 ヒミコ・レボリューション ~謎の転校生~
ささきあり

第2話 見習い宮女、サナが走る! ~夢はるか飛鳥へ~
結城紀子

第3話 陰陽師なんかじゃありません! ~平安京からの使者~
宮下恵茉

第4話 十三段目の幽霊 ~鎌倉ミステリークラブ~
山本省三

第5話 独眼竜の背中に乗って ~戦国ファンタジー~
光丘真理

第6話 つれてけ堀 ~大江戸怪談話~
緑川聖司

第7話 結婚なんていやです! ~大正弓引娘と御曹司~
森川成美

主要な時代のエッセンスを網羅する7話です。
私は大正時代の女学生のお話を書いております。ツンデレ? かも。

どうぞよろしくお願いします。

2026年7月18日土曜日

『日本児童文学 2026年7・8月号』で『ユリの便箋』を評していただきました

『日本児童文学 2026年7・8月号』で『ユリの便箋』を評していただきました。

高学年以上向けの部です。「秘密」の物語として取り上げてくださいました。



ありがたいです。

2026年6月2日火曜日

『いいたいことがありすぎます!』工藤純子(金の星社)

書名:いいたいことがありすぎます!
著者名:工藤純子
出版社:金の星社


好きな場所:「りんりん、いいたいことをがまんしてたら、貝になるぞ!」
所在ページ:p44
ひとこと:工藤純子さんの『しんぱいなことがありすぎます!』は、忘れ物が心配でなんでもかんでも学校に持っていく心配性のももちゃんと、忘れ物なんか平気で荷物の少ない楽天的なかずまくんの二人のお話でした。
 今回は、言いたいことをなんでもいうひろきくんと、なんにも言えないりんちゃんの二人のお話です。
 いやあ、とってもかわいい。
 そして最後、おかあさんがいい。
 りんちゃんの成長ももちろんですが、大人もね、いいたいことを言えない世の中っていいの? みたいな作者の気持ちも、きっとどこかに入っているのかも。
 ほんとみんな貝になっちゃうよ!
 

2026年5月20日水曜日

新刊『アントネストの羊』(文研出版)の見本が来ました

新刊見本が来ました。『アントネストの羊』文研出版です。5月30日発行です。
よろしくお願いします。



編集さんからディストピア書いてみませんか、と言われて書いたものです。いつだかわからないぐらいの未来。地球が沸騰し、人類のかなりの部分が死に、残りはかろうじて地下にアリの巣のような住居を作って、逃げ込みました。

お互いアリの巣のような住居を出ることはなく、人が人と会わない世界。すべてはバーチャルで、生体ビジョンという耳に入れるデバイスを通じてやりとりします。生産はすべて集中工場で人型マシンがやります。家の仕事も。人は、ただ座って生体ビジョンでゲームをしているだけ。そんな世界で、ただ一人、黒い羊のように生体ビジョンが使えない女の子がいました。
というお話です。

いや、ディストピア考えるのは好きだからいいんですが、設定に整合性があるようにするのが大変でした。合評にも出し、何度も書きかえ、編集さんに見てもらい、また書き換えて、さらに書き換えて。大変苦労しました。

よく私も合評や投稿で、SFを読む機会があるのですが、ほんとご都合主義になってしまう(少なくとも見えてしまう)ので、SFというのは、大変です。普通に読めてあたりまえ、そうでないと????の嵐で、この世界いったいどうなってるんだ、となってしまいますので。

ありそうな世界と思っていただければ幸いです。そして人が人であるためには、何が必要なのかということ、子どもさんがたに考えていただければ。

編集さんが抜いてくださった袖の言葉です。
「人は困難に直面して、それを打開しようと、あらゆる手立てを使って、工夫しているときが、最も幸せなのではないのか?」
だれの言葉か、は読んでのお楽しみということで。

2026年4月21日火曜日

季節風166号が来ました

季節風166号がきました。

受賞のことばに、児童文芸新人賞の高村有さんと、児文芸協会賞の別司芳子さんが書かれている。そう、今年の児童文芸二賞は、なんとお二人とも季節風の方。おめでとうございます!

私は、『ユリの便箋』の書評を書いていただきました。
酒井和子さん、ありがとうございました。




2026年4月12日日曜日

拙著『やさしく読めるビジュアル伝記 徳川家康』(Gakken)見本来ました

拙著『やさしく読めるビジュアル伝記 徳川家康』(Gakken)見本来ました。


山田一喜さんの素敵な絵で、家康の気持ちをしっかり表していただいています。本文を本当に読み込んで書いてくださったことがわかります。ありがとうございました。

編集部のほうで、富士と鷹、おめでたい表紙になった、という話になったというので、そっかと思い当たったのですが、一富士、二鷹、三なすびという初夢に縁起のよい、この三つは、どれも家康の好物だったんですね!
どっかに茄子のことも書いておけばよかった(笑)。

でも、その他にこの方が好きだったのは、鉄砲を撃つことだったらしく、それはこの時代、あたかも今のドローンのような最新兵器だったのですが、大将が手にするものではないとされていたのに、大好きでよくやっていたそうで。それは書きました。

おめでたく、たくさんの方に届きますように。

戦のない世をつくった武将、という副題がついています。

なお、この時代の武将たちは、自国のことしか考えていなかったという人もおられますが、ある意味そうだとしても、また別の意味で、こんなに身内や部下が亡くなる世の中は、いつか終わらせたいと考えていたのだと私は思います。安全保障という言葉はありませんでしたでしょうが、きっとなにかそういう制度は必要だと思っていたに違いないと思います。この方の生涯をていねいに追うと、やっぱりそういうふうに考えたんだなと思わざるを得ませんでした。