書名:おおなわ跳びません
著者名:赤羽じゅんこ
出版社:静山社
好きな場所:一生懸命やることが大事だとか、勝ち負けよりも、どれだけがんばったかがたいせつだ、とか。
だったら、勝ったクラスに表彰状とかトロフィーとかをわたさなきゃいいのに。
所在ページ:p12
ひとこと:クラス対抗おおなわ大会が行われるので、クラスでは熱心に練習している。ところが、双葉は日常動作は普通にできるものの、足にちょっとしたハンディがあって、なかなかうまく跳べない。跳べないでひっかかっても止まることはないルールになっているが、時間内にちゃんと飛んで抜けられた人数で競うので、さっと抜けられない人がいると、記録が伸びない。
双葉は、今まではハンディがあってもチャレンジするような子だったが、このおおなわ大会に際しては、跳びません、見学しますといいだした。
いい成績でなくてもいいから、いっしょに跳ぼうと言い出した子がいて、双葉は跳びますと意見をひるがえしたが、次の日から学校に来なくなった。
さて、どうする。
本当にこれは、考えてもなかなか解決方法の浮かばない問題です。
私もむちゃくちゃ体育ができなかったので、こういうときほんと私を除いて大会をやってください、と本気で思いました。補欠になったときは、むしろうれしかったです。がんばろう練習しようよといわれたときは、おねがいやめてと思いました。
でも、心底、出ないでいいと思っていたかというと、そこは子どもですから、本当にそうだったのかというと、本音は違ったかもしれません。でも少なくとも、人に気を遣ってもらいたくなかった。そっちが勝っていた。
赤羽さんは、この問題をクラスのいろいろな子の視点から、書き上げています。双葉のみならず、いっしょに跳ぼうと言った子、本当は自分も跳びたくない子、家の用事のほうが大事だからおおなわ大会なんて休めと親に言われている子、双葉に休めと言った子……。
子どもたちは自分たちで、解決方法を考えていくことになります。
そして大会の日……。
むずかしいテーマで途中投げ出したくなったこともあるとおっしゃる赤羽さん。さすがの筆力で、今に必要な本当の多様性、思いやりをえがきだしていらっしゃいます。