2022年9月18日日曜日

『はっけよい、子ガッパ!』中山聖子

書名:はっけよい、子ガッパ!
著者名:中山聖子
出版社:文研出版




好きな場所:わたし、子どもずもうに出たいんだけど、ユキヤたちが女子は出られないって言うんだ。本当はどうなのか、お父さんに聞いてみてくれる?
所在ページ:p26
ひとこと:リモ(理茂)とリコ(莉子)は、三年生。二卵性の双子です。リコが姉で、リモは弟。二卵性なので、そっくりというわけではありません。リモはおとうさんに、リコはおかあさんに似てるんです。性格も違い、リモは手芸男子で、反対にリコは活発で友達に「男子よりの女子」と言われています。
 二人は馬尻沼ちかくのこの場所に一年半前に引っ越してきました。
 今回、神社である子どもずもうにさそわれたのは、男子のリモなのですが、やる気になったのはリコ。
 なのですが、今までこの子どもずもうに女子が出たことはなく、引用のようにリコは聞くのですが……。

 さて、馬尻沼のそばの江戸時代かよ、というくらいの古い家に住んでいる古河のおばあさんという人は何者なんでしょうか? リコが見たちょっと変わった走り方をする小さい子は? 
 さすがの中山聖子さんの筆。おもしろく、雰囲気のすてきなこの世界に入り込めて、安心して読めます。葛藤はあっても決して悪人は出てきません。元気なリコちゃんと、マイペースのリモちゃんがすてきです。

 

『忘れもの遊園地』久米絵美里

書名:忘れもの遊園地
著者名:久米絵美里
出版社:アリス館




好きな場所:一方で、新たな視点を得ることも、忘却術の有効な手段のひとつです。人にはそれぞれ、記憶を思い出す際にくせがあり、どうしてもいつも、ひとつの視点から同じようにその記憶を思い出してしまいがちです。しかし、本や映画、演劇などから、忘れたい記憶に似た物語をたくさん取りこみ、ほかの考え方を知れば、自分の記憶も、さまざまな切り口から見られるようになります。
所在ページ:p122
ひとこと:トラタは学校に行く途中、忘れものをしたことに気づきます。母のサインのついたバザーの出欠プリントを、家に置いてきてしまったのです。そこで白髪のおじいさんに会います。その忘れものを即時に持ってきてくれて、渡す代わりに、忘れたいことをタブレットに投稿しろと言うのです。トラタはあることを忘れたいと思い、投稿します。実は、同じおじいさんに会ったのは、トラタだけでなく……。

 さあ、どうなるんでしょう。
 トラタたちの冒険にしたがっていくと、引用のように、記憶というのは、どういうものかがだんだんわかってきます。
 忘れたらいいのか、忘れない方がいいのか。
 忘れないためにはどうしたらいいのか、忘れるためにはどうしたらいいのか。
 人の記憶の不思議さと共に、いやなことは忘れてしまったほうが幸せなのかどうなのか、と考えることにもなります。
 そしてトラタと、もう一人のレミには過去があり……。
 不思議でやさしいお話です。
 

日本児童文学者協会関西センター冬の講座でお話します。

2022年11月27日(日)13:30~16:00
日本児童文学者協会関西センター 冬の講座で
「歴史物語はこう書く」という演題で、森川がお話します。

申し込みは、10月5日までです。
どうぞよろしくお願いします。
定員に達ししだい締め切りということですので、お気を付けください。

詳しくはこちら




新刊『てつほうの鳴る浜』の編集者さんに、いろいろ私がお伺いするという対談もします。

きっとおもしろいお話が聞けるのでは、と思っております。

また今回は「講座」ということなので、私の講座部分では、失敗談や調べ方などを含めて、写真も交え、がっつりお話しするつもりです。

どうぞよろしくお願いします。

2022年9月14日水曜日

『津田梅子 女子教育のとびらを開く』高橋うらら

書名:津田梅子 女子教育のとびらを開く
著者名:高橋うらら
出版社:講談社



好きな場所:そして翌年、教師になる資格、教員免許に関する決まりができました。
 高等女学校を卒業した女子は、文部大臣の許可を受けた上の学校で、さらに三年間勉強すると、文部大臣が認める科目の教員の資格が与えられることになったのです。
 しかし、女子高等師範学校に英語科はなかったので、英語に関してはこの「三年間学ぶ学校」が、まだありません。
(自分が開くべきなのは、まさにこの学校だ!)
所在ページ:p149

ひとこと:2024年新紙幣の顔ということで、注目されている津田梅子。
 女子留学生第一号の五人のうち、一番若かった人ということ、それから津田塾大学をつくった人、ということは知っていても、なぜ女子教育にそんなに固執したのか、というところが、いまいちわからないというむきもあるかもしれません。
 でも、高橋うららさんのこの本は、ていねいにわかりやすく、津田梅子の生涯と時代背景を説明しながら、なぜ、梅子が官学の教師であるだけで満足せず、私塾による女子教育にこだわったのかも、ちゃんと解き明かしています。
 ほんと女子は、制度がないわけではなかったのですが、引用のように、中途半端だったんですよね、ずっと。その半端ぶりは、当事者でなければなかなか実感できなかったと思います。
(余談ですが、私なんて昭和も後半に共学の大学に行ったのに、トイレは各館に一か所だけ、女子は休み時間にそこに大集合していましたからね。運動部の施設では、女子更衣室が元トイレだった狭い個室だけ。男子は更衣室がなくておおっぴらに外で着替えてましたから、うまく見計らって出ないと、えらいめに(笑)。一から十までそんなでしたよ。)
 そういう半端ぶりがわかっていないと「制度があった」「男子だけの学校に入れてもらった人(かなり例外的なケース)もいた」と言われたら、じゃあ女子も男子と同等だったのかと、誤解されかねません。
 ぜんぜんそんなじゃなかったところが、津田梅子の大変だったところ、がんばりぬいたところなんだ、と思います。
 それが、この本ではほんとうによくわかります。
 高橋うららさんの引用のような、ていねいな説明のおかげです。
 子どもだけでなく、大人も理解が深まると思います。
 お札になるこの時に、なんといってもわかりやすいこの本を、図書館で、学校で、ご家庭でぜひ!

 
 

『暗号サバイバル学園 05 もえる宝石の島』山本省三

書名:暗号サバイバル学園 05 もえる宝石の島
著者名:山本省三
出版社:学研プラス




好きな場所:おかげで、ハルトたちにこうして無事、大冒険を終えてもらうことができました。ただ休む間もなく、もう次の事件が待ちかまえているようです。このお話は、またの機会にお伝えできたらと思っています。
所在ページ:p157
ひとこと:山本省三先生の「暗号サバイバル学園」シリーズも、5巻目に。暗号学園ナゾトキアのハルトたちの冒険物語。暗号を解きながら、世界中を飛び回ります。今回は、あのシャドウがどうなるか、ということも明かされます。

引用の山本先生のあとがきによれば、最初は3巻のはずだったそうです。でもお話がふくらんで5巻構成に。「電子図書館まなびライブラリー」でも大人気に。今回は5巻目で、これで完結なので、きっとがっかりしている読者さんもいらっしゃるでしょうが、でも、引用のように、なんか、まだ次の事件が待ちかまえているそうですよ……楽しみですね!

2022年9月11日日曜日

「Milky White 箱の中のホワイトデイズ (休み時間で完結パステルショートストーリー) 」三野誠子

書名:Milky White 箱の中のホワイトデイズ
著者名:三野誠子
出版社:国土社



好きな場所:おいらの仕事は大家さん。
所在ページ:p104
ひとこと:私も一冊書かせていただいた国土社の「休み時間で完結パステルショートストーリー」、同時発売は、三野誠子さんの「Milky White 箱の中のホワイトデイズ」です。
 このシリーズは、作家が1色を選んで、その色にちなんだ短編をつづるということになっています。
 三野さんの選ばれたのは「ミルキーホワイト」。その色のとてもやわらかな表紙です。
  ・石けん箱
  ・弁当箱
  ・ゆめの箱
  ・ティッシュボックス
  ・サイコロハウス
  ・抽選箱
  ・ギフトボックス
 という7編のふしぎなお話がつまっています。

 とてもおもしろくて、ぞくっとしたり、ふわりとしたり、いろいろな気持ちの味わえる一冊です。ぜひぜひ、お手に取ってみてください。
 
 このシリーズは、まだ続巻が出る予定です。
 そちらも楽しみです。

2022年9月2日金曜日

『はなの街オペラ』が、第34回読書感想画中央コンクールの指定図書に!

拙著『はなの街オペラ』(くもん出版)が、第34回読書感想画中央コンクールの指定図書になりました!



店頭に並べていただいているところもあるようで、うれしいです。

どうぞ、中学生高校生のみなさま、はなちゃん、響之介さん、鳳馬さん、野下さん、二木さんたちと、大正時代の浅草にタイムスリップしてみてください。

すてきな絵をお待ちしています! 前回の『マレスケの虹』のときは、授賞式がなかったのですが、今回はあるといいな~~

前にアップしたこともありましたが、昔の動画、こんなのがあるんですよ。
サイズ調整できなくてすみません。見にくかったら、YouTubeのほうで見てくださいね。





2022年8月25日木曜日

「パステルショートストーリー Violet キミョウな人(?)たち」(国土社)見本来ました!

国土社さんの「休み時間で完結 パステルショートストーリー」シリーズの1冊になります拙著 『Violet キミョウな人(?)たち』の見本が来ました。

このシリーズは、作家が自分の好きな色を選んで、そのイメージで短編を何篇か書いて1冊にするというもので、私は紫を選び、ふすいさんが絵を描いてくださいました。



私の1冊には、SFかショートショートのようなキミョウな人(人かな?)のお話が6編、並んでおります。

・中の人などいない
・ぼくのしたかったこと
・単身赴任
・おかしなふたり
・家庭の事情
・どこかで……

中学年も高学年もおもしろがっていただけるのでは、と思っております。

どうぞよろしくお願いします。

同時発売は、三野誠子さんの『Milky White 箱の中のホワイトデイズ』です。

また堀米薫さんの『Orange 夕ぐれ時のふしぎ』、おおぎやなぎちかさんの『Yellow Green 友だちの木』は好評発売中です。

あと続巻もご準備中とのことです。

2022年8月6日土曜日

「あの子は、わたし」ささきあり 佼成出版社

書名:あの子は、わたし
著者名:ささきあり
出版社:佼成出版社



好きな場所:エラは、目の前でお父さんやお母さんを殺された記憶にしばられて、なんの希望も持てない。絶望からにげられないでいるのに、ハンナは希望の中にいる。まぶしくて、ねたましかったのかな
所在ページ:p89
ひとこと:福岡県糸島市。そこでは、地元の有志が「いとしまハローピースアクト」という団体を作り、長年にわたり、子どもたち主体の平和劇の上演に尽力しています。これは2018年に上演された『ハンナのかばん』の際のプロジェクト立ち上げから、けいこと本番の上演の様子を、児童文学作家のささきありさんがていねいに追ったノンフィクションです。
『ハンナのかばん』は、第二次世界大戦中のナチス・ドイツによるユダヤ人の弾圧を描いた同名のノンフィクション(カレン・レヴィン作)を原作とするホロコーストの話です。
 小学六年生から高校三年生までの子どもが主体なので、年齢ごとにそれぞれを束ねるリーダーがいて、さらにその中の最年長者が大リーダーとなって運営されています。
 大リーダーの奈々子、母が運営スタッフで自分も積極的にヨーロッパまでホロコーストの調査に行ったというほどの愛梨、主役のハンナにオーディションで抜擢された六年生の野々華など、それぞれが外国の昔の人々になりきろうと、引用のように努力を重ねて、劇をつくりあげていきます。
 ささきありさんは、雑誌や小学生向け新聞の記者もされておられたので、劇の内容となったハンナの時代の葛藤と、演じている子ども達の葛藤の錯綜するようすを、わかりやすく描いておられます。
 この「いとしまハローピースアクト」の劇は「いとしま8.6平和劇」として、折しも広島原爆投下の今日の日付に行われておられるとのこと。
 大変でしょうがこれからも長く続けられますように、お祈りしております。

2022年7月30日土曜日

「給食室のいちにち」大塚菜生、イシヤマアズサ 少年写真新聞社

書名:給食室のいちにち
著者名:文・大塚菜生、絵・イシヤマアズサ
出版社:少年写真新聞社


好きな場所:さあ、みんな
きょうはひとくちクイズがあります
きょうのカレーにもはいっている、このちょうみりょうはなんでしょう
所在ページ:p24
ひとこと:『弓をひく少年』(国土社)、『東京駅をつくった男』(くもん出版)などのお作品のある大塚菜生さんは、作家の顔の他に、栄養指導や料理教室などの食にかかわるプロという顔をお持ちです。
 今回はそれを存分に生かされて、小学校の給食室の一日を描く絵本をご上梓されました。
 絵はイシヤマアズサさん。
 主人公は、よくあるように給食のおばさんではなくて、栄養士の山川さんです。栄養士さんが、給食にかかわっていることを、知らない小学生も多いのではないでしょうか。大人だって、なんとなく、献立は立ててるよね、ぐらいのことしか知りません。
 でも、材料が到着したときから、内容や量をチェックしたり、クラスごとの配膳量を確認したりと大忙し。時には、引用のように、クラスに行って、給食についていろいろ話をしたりするのですね。そして、食べのこしも見て、次の献立に役立てなければなりません。
 その他の給食にたずさわる方々の働きぶりも存分に描かれて、まさに「給食室」が主役といってもいいような絵本です。
 きっと、子どもも大人も、読んだ人は給食に対する認識を新たにすることでしょう。
 たくさんの方に読まれますように!