2026年3月27日金曜日

『アクション! ふしぎな係活動!! ACTION2 もやもやざわつく係もある』サークル・拓編(岩崎書店)

書名:アクション! ふしぎな係活動!! ACTION2 もやもやざわつく係もある
著者名:サークル・拓編
出版社:岩崎書店


好きな場所:その子のちがう顔を見つけたら、苦手だっていう気持ちがへるかもなあ
所在ページ:p123
ひとこと:「サークル拓」による三巻シリーズの「アクション! 係活動!!」第2巻「もやもやざわつく係もある」です。
 引用は、野原にじうおさんの「カメラ係 美優のえくぼ」です。
 ほたるのおばあちゃんは、家の一階でほたる写真館をやっています。二学期の係決めのとき、美優にカメラ係に推薦されてしまいます。
 ほたるは美優が苦手。ダンスをやっていて、女子グループのリーダーで、クールできつい性格。カメラ係にされたうえに、運動会の振り付けを撮影するよう、言いつけられます。
 びしびし指図されますが、それがきつい。
 めげているほたるに、おばあちゃんが引用のようなことを言うのです。
 詩人でもある野原さんが、ほたるが美優をカメラを持って追いかけるシーンが圧巻です。
 そしてほたるは美優に、なぜカメラ係に推薦したか、その理由を探してみて、と言われるのです。

 この巻でもいろいろユニークな係活動が。
「体育係」「窓係」「苦情聞きます係」「レク係」「予言係」「カメラ係」「ボードゲーム係」。
 これを読んだ子たちは、うちのクラスにもこんな係ほしいなって思うことでしょう。

2026年3月20日金曜日

『うみになる』野原にじうお(四季の森社)

書名:うみになる
著者名:野原にじうお
出版社:四季の森社


好きな場所: どろにしずんでいこうとすると/おまえはうまれたじゃないか/うまれたおまえがこえをあげないでだれがおれたちのこえをかたるのだ/こえがした
所在ページ: P142
ひとこと:日本児童文芸家協会の新人登竜門だった(今はありませんが)「つばさ賞」の第18回で、詩・童謡部門で優秀賞・文部科学大臣賞を受賞された野原にじうおさんの初詩集です。
 野原さんは散文もこなされ、先日出たばかりのサークル・拓編集「アクション! 係活動!!」シリーズ(岩崎書店)にも掲載されていらっしゃいます。
 生きづらさを肩代わりすることはできないけれど、自分の他にもこんな子が、こんな人間がいるということを知ってほしい、という思いで、出された詩集だということで、引用は「あとがきのかわりに」という副題のついた「しにたいとばかりおもうこは つがるでくびをきられたねこにあう」という詩です。
 うんうん、わかるわかるという方がたくさんおられるのではないでしょうか。
 ぜひそういうところに届いてほしいなと思います。
 ますますのご健筆を!

2026年3月18日水曜日

『アクション! ふしぎな係活動!! ACTION3 ときにはときめく係もある』サークル拓編(岩崎書店)

書名:アクション! ふしぎな係活動!! ACTION3 ときにはときめく係もある
著者名:サークル拓
出版社:岩崎書店


好きな場所:「ともやさんからの折り紙が届いたよ」
「わー。ともや、やってくれたんだね」
所在ページ:p14
ひとこと:東京八王子で活動する児童文学同人「サークル拓」。『あける』という同人誌を出しておられます。その拓が、総がかりで、三巻シリーズの「アクション! 係活動!!」という本を岩崎書店さんから出されました。だれかだけが特に選ばれてというのでなく、全員が、というのがふだんからとっても仲の良い拓らしくて、すてきで、しかも作品が粒ぞろいうというのが、ほんとすごいことです。
 これはその第三巻「ときにはときめく係もある」。引用は、櫻井ひろこさんの「ふしぎなけいじ板 かざり係」です。
 三年生になったゆあ。担任の先生は、クラスが楽しくなる係を考えて、クラス全員になにかの係になってもらおう、と言います。ゆあは友だちといっしょに掲示板を好きなように飾る「かざり係」になりましたが、あと一人は、登校してこないともやでした……。
 実際に学童クラブの職員として、日々子どもさんがたに接している櫻井さんならではの生き生きとした子どもたちが描かれていてすてきです。

 他にもいろいろユニークな係活動が。
 この巻では「かざり係」のほか「パワーストーン係」「メタセコイヤ係」「千星くんのお世話係」「図書係」「保健係」「カメ吉係」がとりあげられています。
 メタセコイア係? さあ、いったいどんな活動をする係なんでしょうか、興味をそそられます。
 他の二巻にもたくさんの係が。
 これを読んだ子たちは、うちのクラスにもこんな係ほしいなって思うことでしょう。
 

2026年3月16日月曜日

『しょうがっこうの、いやなところ』山本悦子(あかね書房)

書名:しょうがっこうの、いやなところ
著者名:山本悦子
出版社:あかね書房


好きな場所:「うちのいもうと、うららちゃんって いうの。ものすごく かわいいよ」
「うち、ねこ、かってる」
 みさきちゃんの こたえは、なんか、ちょっと ちがう。
所在ページ:p9
ひとこと:山本悦子さんの『しょうがっこうが、きらいです』に続くしょうがっこうシリーズ第二弾。学校っていいところだよ、みたいな本はいっぱいあるけれど、きらいなところ、いやなところを並べる本はないかも。
 でも、最後は、やっぱり学校に行きたくなっちゃう。そんな本です。

 一年生のかりんはおねえちゃんになったばかり。妹をかわいがっていてミニママと呼ばれているけれど、学校にいる間、妹がおかあさんをひとりじめしているのが、気になって早く帰りたい。
 で、小学校のいやなところを頭の中でならべたてています。
 引用は、その1 おはなしする子がいない。
 かりんは、おはなししなくちゃって思って、みさきちゃんに話しかけてみますが、みさきちゃんはぜんぜん別の話を持ってきます。他の子もそう。これじゃおはなしできない。あーあ、いやだなってかりんは思うのです。
 これ、笑っちゃいます。
 いや、ほんと小さい子って、そのとき自分の頭にあることしか言わない。相手が大人なら、そうなのって合わせますが、学校では子どもどうしだから、どうしているのかなっていつも思っていました。
 さすが山本さん。まあ、子どものことを、よく知っておられます。なのに小さい子って、それでなぜか会話が成り立っていることも知っておられます。そこがかわいい。
 でも、本人は十分ちゃんとしてるつもりなんですよね。自分もそうだったし、意外に人がしゃべったこともよく覚えていて、友人の家のこと、きょうだいは何人で、家族にはだれがいて、なんてこと、今こんな年になってさえ、覚えています。
 そんなこともしっかりわかる。

 渦中の子どもさんがただけでなく、自分の子が小学校でないがしろにされていないか心配になっていらっしゃる保護者の方も、読んでみてほっこりされる本だと思います。
 
 
 

2026年2月11日水曜日

『万丸食堂、奇跡のソフトクリーム』山本悦子(理論社)

書名:万丸食堂、奇跡のソフトクリーム
著者名:山本悦子
出版社:理論社


好きな場所:(中三かあ。大きくなったなあ)
としみじみ思う。
(あのときは、小さな犬っころみたいだったのに)
所在ページ:p90
ひとこと:万丸ビルの六階食堂の名物は、グリングリンに十段もかさねられたソフトクリームだ。みんな、おはしで食べる。
 このソフトクリームは奇跡のソフトクリームと言われている。
 なぜか。十段かさねるのが難しいからか?
 どうもそうじゃなくて。不思議なことが起きるらしい。

 山本悦子さんの連作短編です。『日本児童文学』に連載されていましたが、それを加筆されたということです。

 私は連載中から、引用のお話「預かった娘」が好きでした。今読んでもやっぱりいいな。小さな犬っころみたいだった亜子が、大きくなって中三に。父が一人でソフトクリームを食べていると向かいの席に座ったのは……。
 心がぎゅっとなるお話。それに一歩引いてみると、こういうことってあるよねって思います。いえ、ファンタジーの話ではなくて心の話ですが。まわりの者が、頭の中で、こういう子だと思えばその子はそうなっていく。そう思わなかったら、意外とそうならない。そんなことも考えました。

 万丸食堂は、実在する食堂だそうで(ソフトクリームもおはしも本当)一時閉めていたのが、地元の要望で再開されたのも本当らしいです。これを読んだら、一度行って、ソフトクリームをおはしでたべてみたいですよね。

 

2026年1月28日水曜日

むさしの-FM出演番組のポッドキャスト

児童文学作家さんでもある成蹊大学文学部現代社会学科今田絵里香先生からお声かけいただいて、先生の「メディア・リテラシー演習」の一環として実施されているむさしの‐FMのラジオ番組制作現場にインタビュイーとして呼んでいただき、「戦後 80 年 どういう形で、何を継承していくのか」というテーマの番組で、私は児童文学作家として『マレスケの虹』(小峰書店)を書くにあたって、どんなことを伝えたかったのか、などをお話してきました。

放送はポッドキャストで聞くことができます。
こちらです。

こちらのリンクから、聞けます。
11:16のあたりから私がしゃべっております。

当日のようすはこんなぐあいです。
みなさんフレッシュで、意欲的でいらっしゃいました。
 

 
当日のもようの学生さんがたによる報告
https://musashino-fm.co.jp/2025/12/11/post-141712/

むさしの-FMのメディアリテラシー演習の番組のポッドキャスト全体はこちらからお聞きになれます。

2026年1月6日火曜日

『あずきのあらし』しめのゆき(岩崎書店)

書名:あずきのあらし
著者名:しめのゆき
出版社:岩崎書店




好きな場所:こうかんはともだちのしるしなんだよ
所在ページ:p32
ひとこと:岩崎書店の「ひとりでよめるこわこわおばけ話」シリーズ。このシリーズは、一人で本が読めるようになった子のための怪談なので、短いお話が2編と読みやすく、そしてこわいけれどそんなにこわくないようにできています。
 これはその6巻目『あずきのあらし』で、作者は「ティアラちゃん」や「マジカル☆ピアノレッスン ピアノようせいレミー」シリーズでバレエやピアノのような芸術に挑戦する子を描いて人気のしめのゆきさん。
 第一話は表題作で、伝統的な妖怪「あずきあらい」が出てきます。なかよしのタクくんが引っ越すことになり、カイトは、お別れパーティで近所の小川で遊んだのですが、タクくんと引用のように「ともだちのしるし」として交換した大事なミニカーをなくしてしまいます。あったと思って、持って帰ったのですが、その夜……。
 第二話は現代的なお話で、「ペットバッジ」という育成ゲームで遊んでいたナナは、バッジをつけたまま公園に行きますが……。
 しめのさんは、ひとりでよめる怪談シリーズの「こわいがいっぱいおばけのはなし」でも『くびびじんコンテスト』も出されておられて、このシリーズの御常連。芸術だけではなく、お化けのお話のほうもお好きとか。
 たくさんの方に読まれますように!