ラベル みらい文庫 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル みらい文庫 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2016年3月4日金曜日

『坊っちゃん』夏目漱石 集英社みらい文庫

以前お仕事をさせていただきました集英社みらい文庫の『坊っちゃん』が増刷したので見本をいただきました。4刷です。漱石没後100年だそうで、今こそ坊っちゃんを読もう! と帯が新しくなっています。

私は構成というお仕事をさせていただきましたが、どういうことをしたの?と言われます。
今、自分で書いたあとがきを読み直して、ああ、これが一番説明にいいかなと思います。こんなぐあいでした。

「わたしたちが坊っちゃんに会うには、二つの方法があります。ひとつは、坊っちゃんに来てもらうことです。今回、わたしはそのおてつだいをしました。といってもわたしは、文章を書くひとですから、じっさいにやったのは、やっぱり文章を書くことでした。けれども、それはたとえていえば、古くなってすすけてしまった絵に、うすいせんざいをぬり、なるべく傷をつけないように、そっとそっとやわらかい筆でこすって、ゆっくりと水をかけて洗うような感じの作業でした。そしてできたのがこの本です。」

「その結果どうだったでしょう、みなさんに、はっきり見えたでしょうか? 坊っちゃんの顔のりんかくが、いきづかいが、着物の生地のざらざらが、手のひらの汗が、怒りで赤くなったほっぺたが。(中略)見えたとしたら、とってもうれしいと思います。」

最初のお仕事でしたので、原稿を読んでくださった編集者さんが「坊ちゃんといっしょに泣き笑いできました」とメールをくださったのが、とってもうれしくてこのあとがきを書いたんだと思います。

ぜひ百年の節目に、坊っちゃんを読んでいただければうれしいです。


2014年8月16日土曜日

「怪奇探偵カナちゃん」新井リュウジ

書名: 怪奇探偵カナちゃん
著者名: 新井リュウジ
出版社: 小学館ジュニア文庫
好きな場所: いったい、五十年前の人たちは、なぜ、そんなにお化けが好きだったというのだろう?
所在ページ: p45
ひとこと:カナちゃんと博子さんのふたりだけの怪奇探偵部は、学校公認の正式な部活で、部費の予算もついています。いくつもの怪奇な事件を解決して、たくさんの表彰状や感謝状をもらっているという実績があるからです。
 カナちゃんは、学校創立以来の秀才で銀縁の丸メガネに三つ編みの女の子。博子さんは、怪奇がだいきらいのこわがりだけれど、実は柔道ならぬ古式武術である柔術の達人。そしてホームズとワトソンのようなこの二人を要所でバックアップしてくれるのは、スーツのよく似合う小柄な美人で、なにやらちょっと不思議なところのある魅緒先生。
 役者のそろったところで、いかにも怪奇という事件が実は***であることが、次々に暴かれてゆきます。その事件がひきおこされたわけもきっちりしています。これはきわめて論理的な探偵ものなのです。そして魅力的なのは、引用のように日頃疑問に思っているような小さな不思議のネタあかしも、あちこちにちりばめられていることです。さらに、すっきりと貫かれているのは、(ほんとうに)悪いものは許さないという正義感です。

 作者の新井リュウジ先生は、いつぞや私が書かせていただいたみらい文庫『ちょーコワ! 最凶怪談』の監修者でいらっしゃいます。
http://saffibarinkay.blogspot.com/2012/06/p3_30.html

 というわけで怪談ももちろんお得意でおられますが、この本は、怖い+探偵(謎解き)と一粒で二度おいしい。論理の得意な子も、怖いのが好きな子も、大満足することうけあいです!!

2014年7月13日日曜日

「白い自転車、おいかけて」松井ラフ

書名: 白い自転車、おいかけて
著者名: 松井ラフ
出版社: PHP研究所
好きな場所: (この かぎが、なかったら)
所在ページ: p8
ひとこと:河童の会の最初からの仲間の松井ラフさんのデビュー作です。第14回創作コンクールつばさ賞の幼年部門で優秀賞を受賞されたお作ですが、このたび出版の運びとなりました。おめでとうございます!!

 河童の会では近江屋一朗さんが、みらい文庫で「スーパーミラクルかくれんぼ」シリーズを出版され、またはやみず陽子さんが『すてもる』(佼成出版)を出されるなど、デビューが続いています。わたしも同じPHP研究所のまったく同じ「とっておきのどうわ」シリーズの『くもの ちゅいえこ』で初出版をさせていただきました。

 松井さんのこのお作品は、まったくPHP研究所のフェイスブックの紹介にあるとおり「幼少の頃に誰もが経験するような、「罪」に対する心の葛藤を丁寧に描いた作品」です。


 きょうだいというのは子どもにとってはとても重大な事項です。きょうだいの葛藤を描いたご本はいろいろありますが、これは下の子からみた上の子との関係という点で、共感されるこどもさんも多いのではないでしょうか。

 たくさんの方に読まれますよう。

 松井さん、デビューおめでとうございました。

2014年6月16日月曜日

『犬たちからのプレゼント』高橋うらら 集英社みらい文庫

書名:犬たちからのプレゼント ショコラがくれたはじめの一歩
著者名:高橋うらら
出版社: 集英社みらい文庫
好きな場所:もし会いにいったら、マロンは、むかえに来たと思うだろう。しっぽをふり、くるくる回って大喜びするだろう。でもおじいちゃんは、マロンを連れて帰ることはできない。だから、会わない方が、マロンのためなんだよ
所在ページ: P90
ひとこと:同じみらい文庫でノンフィクション『おかえり! アンジー! 東日本大震災を生きぬいた犬の物語』を出されたばかりの高橋うららさんが、今度はフィクションで犬に関する短編集を出されました。

しかしフィクションといっても、ノンフィクションとその取材を得意とされる高橋うららさんのこと、ふつうのフィクションではありません。種は、アンジーもいたアーク(アニマルレフュージ関西)で見聞きした「犬にまつわるよくある事例」を基にしているということです。

引用は、ガンで余命数か月のおじいちゃんの飼っていた犬、マロンのお話。おじいちゃんの家は一軒家だったけれど、一人暮らしだったおじいちゃんが入院してしまって、わたしの家は犬を飼えないマンション暮らし、マロンはいきどころがなくなってしまいます。マロンはアークのような施設に預けられますが、マロンとおじいちゃんを会わせてあげたい。病院にマロンを連れてゆくわけにはゆかず、おじいちゃんを施設につれてゆこうとするのですが、おじいちゃんは拒否します。その理由が悲しい。でも、おじいちゃんすごい、と思えます。

どれも責任をもってペットを飼うということは、こういうことなのだ、ということを考えさせてくれる物語です。

2014年5月16日金曜日

みらい文庫坊っちゃんが三刷です

みらい文庫『坊っちゃん』が三刷というお知らせをいただきました。
かの夏目漱石の『坊っちゃん』ですが、私は、構成という立場で現代語訳を担当させていただいています。
ほとんど漢文のように隅から隅まで文字のつまった原文を、ゲームやテレビのように視覚中心で暮らしている子にも読みやすいように改行し、総るびですが漢字のひらきも圧迫感がないよう配慮し、現代の子にわからない部分は、註をつけるのではなく、読みながら直観的に頭にはいるようにいいかえています。

こちら
http://www.amazon.co.jp/%E5%9D%8A%E3%81%A3%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E3%81%BF%E3%82%89%E3%81%84%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%A4%8F%E7%9B%AE-%E6%BC%B1%E7%9F%B3/dp/4083210206




これが編集者さんとやりとりをしたはじめての仕事でした。緊張しながらも、うれしかったことを思い出します。(とはいっても今はあのときよりもっと緊張しますけど、困難さがわかって 笑)






2014年3月6日木曜日

「おかえり! アンジー」高橋うらら 集英社みらい文庫

書名: おかえり!アンジー
著者名: 高橋うらら
出版社: 集英社みらい文庫
好きな場所: ぼくは、キャバレー、なんかじゃない! どうして、お父さんやお母さんたちに会えないの? 正章くんやあか李ちゃんは、いったい、どこにいるの? 早くむかえにきて!
所在ページ:p158
ひとこと:『犬たちがくれた音』(金の星社)、『ありがとうチョビ』(くもん出版)など、動物に関するノンフィクションの著作のたくさんある高橋うららさんが、はじめて文庫に書き下ろした本です。
 おそらくみらい文庫にもはじめてのノンフィクション書き下ろしではないかと思います。

 引用の独白は表題・表紙の犬アンジーのものです。
 アンジーは、なみえ焼きそばで有名な福島県の浪江町に住んでいた、ある一家、佐藤家に飼われていた犬でした。
 震災の日、佐藤家は津波を逃れますが、第一原発から8.3キロの場所にあるため、最初は避難所に、次は福島市の親戚の家に避難を余儀なくされます。
 猫はからくも連れてきましたが、アンジーを含め三匹の犬は、浪江に置いてこざるを得ませんでした。おとうさんとおかあさんは、「自己責任」で被爆を覚悟して、福島市からせっせと水と餌をやりに通いますが、ついに浪江は警戒区域に入り、立ち入ることができなくなりました。
 一方、イギリス人のオリバーさんを代表とする動物保護団体アークは、震災の影響を受けた動物たちを憂慮し、関西が拠点であるにもかかわらず、被災ペットの救援に乗り出していました。アークには阪神淡路大震災で活躍した経験がありましたが、そのときのことを知っているスタッフはもうオリバーさんだけになっています……

 
 佐藤家、アークの両方の立場から、話が進み、ついにアンジーを焦点に結ばれてゆくてぎわは、ノンフィクションの名手高橋うららさんだからできるとしかいいようがありません。
 佐藤家とアンジーたちの運命を追いかけることで、突然思いもよらず原発事故に巻き込まれた土地の人々の気持ちをなぞることができ、いわゆる避難所→仮設住宅という典型的なパターン以外の被災者の事情を知ることができることでしょう。
 そのうえこれは『ありがとうチョビ』で高橋うららさんが描かれたアーク(Animal Refuge Kansai)の活動の物語に対しては続編でもあります。
 
 原発事故の被害を受けた土地を描いた本としても、動物愛護を描いた本としても長く読み継がれてゆくことと思います。

 

2013年11月20日水曜日

『いとをかし! 百人一首 届け!千年のミラクル☆ラブ』光丘真理

書名: いとをかし! 百人一首 届け!千年のミラクル☆ラブ
著者名: 光丘真理
出版社: 集英社みらい文庫
好きな場所: うれしい気分が、急にしぼんでいく。
なんのために勝ったんだろう?
自分が、たった二枚で得意になるため?
所在ページ:p128
ひとこと:『いとをかし! 百人一首』シリーズは、第一巻『平安時代へタイムスリップ』、第二巻『紫式部がトツゲキ取材!?』、第三巻『天才・蝉丸がやってきた!』と続いてきましたが、この『届け! 千年のミラクル☆ラブ』で堂々の完結です。

 いやあ、おもしろかった。百人一首が詠まれた時代にタイムスリップして、トイレなど貴族の生活を見て、紫式部や小野小町などの歌人と会い、その生涯や親子関係を知り、天才の歌にかける思いなどを感じさせていただきましたが、いよいよ最後、編纂者藤原定家の人生と、カルタをわかりやすく庶民に普及させた有田源吉太、競技カルタを考案した黒岩涙香などをとりあげて、百人一首の歴史をたどりながら、第一巻からの「とき道」と「定家じいちゃんがなぜ現代にいるか」というなぞが解き明かされてゆきます。

 それだけではありません。百人一首競技カルタの大人気のもとで、競技に夢中になっている子どもたちがきっとぶちあたるであろう命題にも主人公のスズは読者と同じようにぶちあたります。
 それはつまり「カルタをとるだけなら、覚えさえすればいい、歌の意味を知る必要はないのではないか?」「心でいいと思うことと、知識とどちらが大事か」「勝負で友達を失うことはないのか?」ということです。
 引用のところ、スズは勝負にでますが、複雑な思いにかられます。しかし……。

 というわけで定家じいちゃんの運命も心配、はらはらどきどきで、スズの成長も感じられる、納得の完結編です。

 真理さん、おつかれさまでした。またすてきなファンタジー待っています!!

2013年4月16日火曜日

「スーパーミラクルかくれんぼ!!」近江屋一朗

書名:スーパーミラクルかくれんぼ!!
著者名: 近江屋一朗
出版社: 集英社みらい文庫
好きな場所: 「君、かくれんぼの才能あるよ。ぜひ、かくれんぼの段位をめざそうよ!」
所在ページ: P54
ひとこと:河童の会と季節風でご一緒させていただいている新進気鋭の作家、近江屋一朗さんのデビュー作です。
 みらい文庫大賞の第一回で優秀賞をとられたものです。
 最初河童の会で生原稿を拝読したときは、びっくりしてひっくりかえってしまったのですが、奇想天外でおもしろい。昔「ひょっこりひょうたん島」という人形劇があって、私どもは夢中になったものですが、あれは井上ひさしさんでした。それに似たノリがあります。でもあれは昭和でした。近江屋さんは、お若くて、まさに現代、平成のお方。きっとこれから、大ヒットされることでしょう。

 引用は主人公観頃凛(かんころりん)ちゃんが、雪花透明くんに、スカウトされるところです。
 かくれんぼの才能なんて、考えたこともなかったですし、ましてや段位なんて。
 きっとこれから、段位をめざそうとする小学生が増えるんだよね。
 このお話も続きそうで、ますますのご健筆、お祈りしております。


 余談ですが、私はかくれんぼの才能まーったくないです。
 詩に書いたことがありましたけど最後のフレーズは「わたしがずっといつまでも鬼」でしたっけ(爆)

2013年1月1日火曜日

いとをかし!百人一首 天才・蝉丸がやってきた!

書名: いとをかし!百人一首 天才・蝉丸がやってきた!
著者名: 光丘真理
出版社: 集英社みらい文庫
好きな場所: 道のとちゅうには、竹で編んだ柵がもうけられ、木の柱を組んだ門がある。その両がわに、長い木刀を持った男が立っていて、通行する人たちに声をかけている。人々はなにか札のようなものを男たちに見せて、通りぬけてゆく。
所在ページ: p42
ひとこと:あけましておめでとうございます。

 新春第一弾にご紹介したい本は、すごくタイムリーな新刊、光丘真理さんの「いとをかし!百人一首 天才・蝉丸がやってきた!」です。
 百人一首クラブに入っている小学生スズとナリ先輩が「とき道」を通って、百人一首の作者が生きていた平安時代といったりきたりするお話「いとをかし!百人一首」シリーズの第三弾。
 今まではスズとナリが、むこうの世界に行くだけだったのですが、今回はなんと副題でわかるように「天才・蝉丸がやってきた」のでした。
 なぜそんなことに? とき道とはなに? そして定家じいちゃんはなにをしようとしているのか?そして蝉丸はこっちの世界のあれとあれにえらく感激していますがそれはなに?
 など今回もさすがのしかけで、どんどん読み進めてゆくことができます。それがこのシリーズ人気のわけの一つでしょう。それからきまり字のことや、かるたのとりかたなど、今の小学生にわかりやすい解説がさりげなく織り込まれています。

 とはいえ、かるた競技のお話なら他にもあるかもしれませんが、この本のすばらしいところは、それだけにとどまらず、この時代の和歌というものを鑑賞するために大事な点をちゃんともらさず、また理屈ではなく小学生にわかるように描いているところです。
 引用は、百人一首にも出てくる「逢坂の関」にスズとナリが行ったところです。
 ただの言葉ではなくて、そうか、逢坂の関とはこんなものなのか、と目にうかべることができるだけでどれだけそのあとのかるた競技が、国語学習が、そして人生が豊かになることでしょうか。
 またシリーズの前二巻では、小野小町、陽成院、紫式部、小式部内侍というような歌人に会っていますし、今回は場所や物や人だけではなく、さらにもっと抽象的な「無常」というのはなにかについても、ちゃんと蝉丸くんを通じて、イメージができるようになっています。無常がわかるというのは、とても難しいことだろうと思いますが、たとえ今わからなくても、「無常」ということばを聞くたびに、あああの蝉丸くんね、とおもうだけでどれだけ理解の助けになるでしょうか。
 結局のところわたしたちだって、学校で習うだけではなく、そういうイメージを親や祖母父や近所や親戚の大人の会話から自分なりに形成して文化というものを理解してきたのでした。

 今の子たちは諸事情で伝統から分断されているのでいきなり理解しろといっても難しいのですが、こういう本を楽しんで読むことで、きっと文化が継承されてゆくはずだと思うのです。
 
 
 

2012年12月11日火曜日

「注文の多い料理店 銀河鉄道の夜」みらい文庫が四刷

私が監修・解説をさせていただいた「注文の多い料理店 銀河鉄道の夜」みらい文庫が四刷だそうです。

もちろん賢治の魅力だと思いますが、今、ネットで青空文庫などダウンロードすれば、本の形式でタダで読めるという時代に、それでもちゃんと売れるというのは、みらい文庫さんというブランドと、子ども用だということと、絵がかわいいということがあるのですが、一つには本のつくりもあるのかなあと思います。

この本は宮沢賢治の原文そのままですが、適所に註、巻末には「あらすじ」と「読書のコツ」がついています。巻末部分は上段にあらすじ、下段に基本的な事項の理解を助ける問いと答え、または図が書いてあるという形です。手前味噌で恐縮ですが、子どもがわからないところはどこか、また何をとりあげたら、よりわかりやすくなるのか、などなど相談しながら、編集さんといっしょにがんばりました(うるうる)。そのかいあって、とってもわかりやすい本になっていると思います。

2012年7月17日火曜日

小僧の政吉その後

書名:小僧の政吉(『ちょーコワ! 最凶怪談』所収)
著者名: 森川成美
出版社:集英社みらい文庫
引用箇所:ぼくが、その写真を目にしたのは、五年生の夏休み、八月のはじめだった。
所在ページ: p66
ひとこと:みらい文庫最凶怪談第二弾『ちょーコワ! 最凶怪談』に、拙作を収録していただいております。カバー裏のキャプションのうち「はりつけにされた少年の怨念」というのが、拙作「小僧の政吉」にあたります。五年生のぼく、勇太は、友だちのトモヤといっしょに、宿題のために図書館に行きます。そして、引用のように写真を目にし……。

いやあ、子どもは怖い話を読みたいのです、怖い話を書いてください、できるだけ怖く、トイレに行けないぐらいに、と言われて私は、自分が子どものころ、何が一番怖かったかなあと思い返してみました。
田舎のボットン便所、これは怖かった。特に便器が上等で、青の絵付けがされているものは。絵がついていて白いのと何がちがうのか、って今なら思いますが、まじで行けませんでした。でも、今の子どもさんがたにはボットン便所はわからないですね(『坊っちゃん』でも、註をつけずにわかってもらうためにかなり苦労しました)。
次に怖かったのは、歴史の教科書や図鑑にのっている写真と絵です。ネアンデルタール人なんて復元画を見ると、その晩、雨戸のない窓でカーテンを開けたら、ふっとそこにネアンデルタール人が棍棒を持って立っているような気がして怖かったのでした。
というわけで、ネアンデルタール人ほど昔ではありませんが、昔の写真を題材にしてみました。
どうだったでしょうか。

何人かの方が、ブログで感想を書いてくださいましたのでご紹介をします。ありがとうございました。

高橋秀雄「創作日誌」
高橋うらら「創作日記」
季巳明代「がまりんの部屋」
おおぎやなぎちか「fromイーハトーヴ 児童文学&俳句」
加藤純子「20階の窓辺から」
三野誠子 フェイスブック
あだちわかな「『本って本当に楽しいね!』児童書読書記録」



2012年6月30日土曜日

書名:ちょーコワ! 最凶怪談
著者名: 新井リュウジ・藤咲あゆな編
出版社: 集英社みらい文庫
好きな場所:こんばんは。ボクの名前は『キョウちゃん』だ。この本、『ちょーコワ! 最凶怪談』の案内人だよ。
所在ページ:p3
ひとこと:『キョウちゃん』の案内する「最凶怪談」の第二弾の見本本がまいりました。発売は7月5日です。

第一弾は昨年発行された『めちゃコワ! 最凶怪談』で、今集英社みらい文庫のHPでためし読みができますが、去年読ませていただいたときは、すごいなあー、うまいなー、とため息をつくばかりだった私め、今年はなんと、この「最凶メンバー」の中に入れていただきました。「小僧の政吉」というお話です。

全部で11編の怪談をヒーロークロスラインのプロデューサーでもある新井リュウジ先生と、『やさしい悪魔』『戦国姫』の藤咲あゆな先生のご夫妻が統括されています。どれもイメージの重ならないバラエティに富んだあれやこれやの運命。すごくおもしろいです。

ぜひお手にとってごらんくださいませ。

目次

「箱のなか」赤羽ミオ
「見上げる目」藤咲あゆな
「無視できないタロットカード」三日月シズル
「台風の日のコンビニ」新井リュウジ
「小僧の政吉」森川成美
「二度と語ってはいけない」時海結以
「死のくしゃみ」友乃雪
「悪魔のTシャツ」岡崎弘明
「ゆな子」桑野和明
「きもだめしの夜」藤咲あゆな
「墓場沼」新井リュウジ


なおヒーロークロスラインの公式ページはこちら
http://www.heroxline.com/


2012年2月3日金曜日

児童文芸2012年2・3月号

書名:児童文芸2012年2・3月号
著者名:児童文芸家協会
出版社:銀の鈴社
引用:作品の文学性については論を俟たないが、原作に見られる歯切れよく端的で明快な表現とユーモア性はそのまま生かされ(中略)余談ながら、将来児童文学作家を目指す者にとっては、まず原作を読み、そして本書を読み、更に本書の一部または全部を模写することによって、自ずと児童文学作家への道が開けてきそうなそんな気のする作品である。
所在ページ:p84
ひとこと:新刊書評欄「ブックプラザ」で小林しげる先生が、みらい文庫「坊っちゃん」について書いてくださいました。
わあお、すごい。こんな書評をいただけるなんて、思いもしませんでした。光栄です。
思えば、このお話をいただいたとき、書きかえることで、漱石をそこなったといわれることがきっとあるだろうと、かなりな覚悟をしました。でもおおげさにいえば、子どもたちが、この本を読まないで生きているのと、読んで生きているのとぜったいに違うことがある、そう信じて書きかえたのです。出版の後も、かなりびくびくでした。どういわれるのかなって。でも、「日本児童文学」のほうの書評欄でも、また「児童文芸」の書評欄でも、「季節風」の書評欄でもこのように読みやすい、原作の文体リズムを崩していないなどの評をいただいて、ほっとしています。
この仕事をして、原作を読み、なぞり、書き換えて、校正をして、その結果、いちばん勉強になったのは私です。関係の方々にひたすら感謝です。

そうそうこのブックプラザの書評欄のおとなりは、季節風の大先輩のお作品、「地をはう風のように」(高橋秀雄 福音館書店)でした。これもなんだか光栄でうれしい。

なお同誌「海外の窓」のコーナーには、東京国際ブックフェアで私が編集委員として取材したものがのっております。取材者として登録し、はじめて腕章なるものをつけて参じました。このコーナーは理事長さんが、ぜひ国際的な視点も入れたいということで、始まったものです。毎回、いろいろな方が海外とのつながりを書いておられます。どうぞごらんください。

2011年11月7日月曜日

日本児童文学2011年11-12月号

書名:日本児童文学2011年11-12月号
著者名:日本児童文学者協会
出版社:小峰書店
好きな場所:p123
所在ページ:『坊っちゃん』の再構成文庫が好評。
ひとこと:今月号の特集は「音楽の文学」で、日本児童文学者協会の会員が応募できました。私は詩2編短編2編のうち、短編に採用していただきました。西山編集長さんのブログを拝見すると、まったく名前を伏せての選考だったそうです。
お上手な会員ばかりのたくさんの応募のなか、日本児童文学に短編をのせていただけるなんて! ほーんとびっくりのところ、最後の執筆者プロフィールをみてまたびっくり。わたしのところに、引用の記述が。あ、あ、ありがとうございます。自分でプロフィール原稿出したんじゃないんですよー。どなたが書いてくださったのか、覚えていていただいて、なんてうれしいんでしょう。

私の短編は「すいか」というもので、絵が一枚ついていました。か、かわいい。ウェーブしたけんばんがすいかの種になっていて、指をのせてる子の目がとまどっていました。うんうん、そうなんです。画家さん、すみまで読んでくださってありがとうございますという感じです。

あと投稿作品の講評者として季節風の飯田朋子さんが執筆されています。季節風107号の同人誌評にはおおぎやなぎちかさんと北原未夏子さんがとりあげられています。

同じく同人誌評の「さなぎ」のところには、連載「ヒビキとハレルヤの読書ノート」の執筆者はやの志保さんの「かわいそうなんかじゃない理子とぼく」が。

さらに「童話の海」の発表のところを見ると、最終選考のところに、森くま堂さんの「んの反乱」と、松井ラフさんの「空色かっぱのボランティア!?」が。おお惜しい。でも最終に残るのはすごいこと。おめでとうございます。

森くま堂さんの「んの反乱」は季節風の去年の合評会で、会場騒然の大評判になったもの。やっぱいいよねー。
そして松井さんの「空色かっぱ……」は、そもそも河童の会の名前の由来になったものです。第一回にあれを合評してから、河童のつく名前の居酒屋さんに行って、河童巻きを食べたのでした。いやあ、おめでとうございます。

それよりなにより注目は、童話の海の講評のところにさりげなく書かれた一文でした。
「なお入選作とはべつに最終選考にのこった『友だち』については……長編での出版化を検討してゆくことになりました」と。
私は今回出しておりませんし、この『友だち』の作者さんを存じ上げているわけでもありませんが、口を開けばみなさんが出版は難しいとおっしゃるこの時代に、この選考委員はじめ関係者のみなさまのご配慮には、勇気が出ます。とにかく、みどころがあれば出してあげたいというお気持ちが見えて、すごいなあとおもったしだいでした。

2011年10月27日木曜日

タンポポ あの日をわすれないで

書名:タンポポ あの日をわすれないで
文:光丘真理 絵:山本省三
出版社:文研出版
好きな場所: タンポポってすごいなあ。タンポポは綿毛になって、きっと、あたしたちの町のそこらじゅうにとんでいくんだ。
ひとこと:さすが、もうあちこち書評がでておられます。たとえば産経。
http://www.sankei.jp.msn.com/life/news/111023/bks11102308390004-n1.htm

光丘真理さんは、宮城県ご出身の女優さんでもいらっしゃる作家さん。私がはじめて拝見したのは、漆原智良先生の舞台『東京の赤い雪』の語り役でした。終わっての舞台上のインタビューでは、ご自分が紹介されるのもそこそこに、ちょっとおいではやくはやくと舞台袖にいる子役の方をよんで、この子はねこういう子で、がんばったんですよーと稽古中のエピソードを話されたのを私はしっかりと覚えています。そんなやさしさが、お作には、つまっています。
このご本も一人の子が東日本大震災を経験したようすを、順を追って綴りながら、悲しさにかたむかず、苦しさつらさにかたむかず、がれきの中のタンポポを発見した喜びをクライマックスに描いて、やさしい視点です。山本省三先生の絵も明るい色ではれやか。なので、よけいに心を打ちます。

ちょうどアマゾンに予約画面がでているみたいですが、光丘さんはみらい文庫の12月刊で百人一首をテーマにしたファンタジーいとをかし! 百人一首 平安時代へタイムスリップ を出されるみたいです! おおっ楽しみ。お正月に向けて、うれしく頼もしい一冊になることでしょう!

2011年10月18日火曜日

季節風108号

書名:季節風108号
著者名:全国児童文学同人誌連絡会
すきな場所:既存の文学、児童文学長編の全てに比して読みやすいのだ
所在ページ:p99
ひとこと:開隆人さんが、みらい文庫「坊っちゃん」の書評を書いてくださいました。

「森川氏が成したことは、『既存の現代文学に無い、強烈で心地よいリズムの文体を持つ新しい作家――夏目漱石を出現させた』」とまで。ありがとうございます。

ほんと自分で言うのもなんですが、あとがきにも書きましたが、私は坊っちゃんをいわば絵画の修復のようによごれをはらい、現代でも読めるようにしただけですが、それにしてもこの本みらい文庫「坊っちゃん」は読みやすいのです。大人の方が「すっと、最後まですっと読めた」「大人にもいい」とまじでいってくださいます。開さんのおっしゃる漱石のリズムがそうさせるのだと思います。




今回の季節風は私は投稿しなかったのですが、やっぱりみなさんすごいです。おおぎやなぎちかさんの「疱瘡神」なんてそのまま本になっちゃいそう。
河童の会の結城紀子さんは、「陸中海岸お伽噺」で、今回の津波でない津波を描いて初掲載。おめでとうございます。はやみずようこさんの「プールでまっててね」のまちゃんシリーズもさえています。
井嶋敦子さんは小児科のお医者さん、病院の廊下や待合室で見るせつない子どもの気持ちを詩「やさしくない」でみごとに表現しておられます。
みなさんすごいな!ご掲載おめでとうございます。

2011年9月11日日曜日

みらい文庫「坊っちゃん」 日本児童文学9-10月号 ブックラック掲載

日本児童文学者協会の発行する雑誌「日本児童文学9-10月号」の新刊コーナー「ブックラック」に、私の構成したみらい文庫「坊っちゃん」をとりあげていただきました。

引用すると「原作の質感、センスを損なうことなく言葉を選んでいて、テンポもいい。漱石作品への愛を感じる改変作だ」(p95)

あ、あ、ありがとうございます。そうなんです……愛です。わかっていただいて、本当にうれしい。涙でそうです。どなたが書いてくださったかわかりませんが、本当に感謝、感謝でした。

2011年9月9日金曜日

みらい文庫「注文の多い料理店 銀河鉄道の夜」レビュー

みらい文庫「注文の多い料理店 銀河鉄道の夜」宮沢賢治 で、私は「監修・解説」として、注記文と解説、巻末の読書のコツを書かせていただいておりますが、ありがたいことに私のところへも、いろいろ感想をいただいいます。

「あらすじまでついて、用語説明も各ページについてわかりやすい宮沢賢治は、今まで見たことないです。読書苦手だけど名作は読まなきゃ、という読者にオススメ」

「子どもたちに名作を手渡そうとしても、難解な部分があって、結局読まずに楽しさをわからないで大人になってしまうが、こういうのはいい」

などなどです。そうそう、そういういい企画ですものね!

あとブログにもいろいろな方がお忙しいのにレビューをアップしてくださっていて、感謝です。ご紹介します。(敬称略、順不同)

「川天使空間」(井嶋敦子)
「今日のひでじぃ」(高橋秀雄)
「20階の窓辺から」(加藤純子)
「がまりんの部屋」(季巳明代)
「どじょう日記」(堀米薫)
「『本って本当に楽しいね!』児童書読書記録」(安達若菜)

ありがとうございました!

2011年9月5日月曜日

みらい文庫「注文の多い料理店 銀河鉄道の夜」

みらい文庫「注文の多い料理店 銀河鉄道の夜」が発売されました。

私は「監修・解説」をさせていただいています。この本は、宮沢賢治の原作をかなづかいや句読点漢字以外はそのまま掲載していますが、私は、語注の文と、解説、また巻末の「読書のコツ」を書かせていただきました。原作のままのわかりにくさを緩和して、ちょっとでも子どもに近い本にしたいと、編集の方と工夫しながらがんばってみました。

読書のコツでは、八編のうちのどれを先に読もうかと迷っている人が一覧して選べるような、そしてちゃんと読み通すためのしるべとなるような、あらすじや、図、登場人物の説明などがついています。でも、ちゃんと物語の本質にせまってほしいという願いもそこここに隠れているハズ……

みらい文庫のHPでは、シロタンが紹介してくださっております。

http://miraibunko.jp/book/yomeba/book008/

復活の日 ジュブナイル版

書名:復活の日 ジュブナイル版
原作:小松左京
文:新井リュウジ
出版社:ポプラ社
好きな場所:でも、考えてみてください。こんな恐ろしい兵器を必要とするほど、我々は飢えていましたか?
所在ページ:p133
ひとこと:小松左京のSF作品で映画にもなった「復活の日」を新井リュウジ氏が、今のジュニア向けに2009年に書きなおされたものです。
新井氏は、まんがの原作や、ラジオ劇場「ヒーロークロスライン」のプロデュースなどもなさっている方で、先月発売された集英社みらい文庫の「めちゃコワ!最凶怪談」では編者をされており、同書には同氏のこわい「ぼくが嫌われた理由」という、怪談というにはあまりにおそろしい実話(!?)が掲載されています。

この「復活の日」は、毒性の高いインフルエンザによって、人類が滅亡することになる、という今にしてみると、とても現実的で身近ともいえるストーリーですが、書かれたのは1964年という冷戦時代。東京オリンピックの直前で、私は覚えていますが、東京ではまだ丸ノ内線の工事をしていたような時代、日本はまだ先進国とも認められていないようなころのこと。
手塚治虫も、藤子不二雄もそうですけど、この時代に、こんな話を思いついて書かれた小松左京(偉人は呼び捨てという日本の慣行にしたがってあえて呼び捨て)の想像力はものすごいと思います。
でもやっぱりそのままでは今、ソ連が崩壊してロシアとなった今の時代には受け入れられにくい。とくに若い人には、よく事情がわからないはずです。
その点を、新井氏はみごとにほこりを払って、今読んでもまったく違和感のないジュブナイル版にしあげておられます。そうして読むと、なおさら、新井氏があとがきで書かれているように「少しも古くなっていない」ことがよくわかります。そして新井氏のおっしゃるとおり、作者は「予言者」であったこともよくわかります。

子どものころ、私はSFファンでした。でも今のようにSFというジャンルは尊重されておらず、大人からは「そんなもん読んで……もっとちゃんとしたもの読めば」といわれるような肩身の狭いふんいきでした。
でもそのころ、たとえばアシモフの小説にでてきた「マイクに向かってしゃべるとタイプしてくれる機械」は現実になっているし、ロボットも人工知能も現実です。スタートレックのカーク船長は腕時計のようなものを使って通信していましたが、今ではみんなが持っています。
今、SFは特殊なジャンルではなくて、設定のちょっとした差にすぎなかったりします。
でもこのころのSFは、予言をしていたのですね。大戦後の世界を創造する、そういうエネルギーがあの時代にはあったのかもしれません。ひさしぶりにその空気をすって、引用もそうですが、大人としてがんばってビジョンを出せ、といわれているような気がしました。

新井リュウジ氏プロデュースのヒーロークロスライン、ラジオ劇場はこちらです。
http://hxl-hour.com/
新井氏はここで「ニードルアイ」の原作も書いておられます。ニードルアイは、栃木県が舞台の変身ヒロインドラマです。
こちら→http://hxl-hour.com/contents/needleeye..