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「マレスケの虹」見本いただきました

『マレスケの虹』(小峰書店)の見本いただきました。 すてきです! 装画は人気のイラストレータさんRe°さんで、装丁はJUN KIDOKORO DESIGNさんというすごい組みあわせ。  表紙ではハワイの虹と、それから天気雨をいい感じに描いて...

2018年12月13日木曜日

「福島の花さかじいさん」使われ方それぞれ

『福島の花さかじいさん』(佼成出版社)にも出てきた「花見山観光振興協議会」から、お手紙いただきました。この本を花案内人の会や、福島市職員の研修で教材として使ってくださっているとのこと。うれしいです。ありがとうございます。




このお話は福島市の花卉農家阿部家の物語ですが、阿部家が花見山公園を無料で公開していらっしゃることに鑑みて、私も些少ですが四ヶ所にこの本の印税を寄付させていただいています。「花見山観光振興協議会」はそのうちの一カ所ですが、これは花見山公園にいらっしゃる数十万人の観光客さんの交通整理や、誘導、付近の掃除などをなさる団体で、ほんとうに大変なのですね。また阿部家は一切寄付金をとっておられませんので、寄付金は交通規制のための駐車場や、簡易トイレ、誘導人員の配置などの費用に使われているのです。

そしてまた「ふくしま花案内人」さんたちは、みなさんボランティアで、花見山公園が、阿部家の花木の畑であることなどを、柔らかく伝えながら、「花さかじいさん」阿部一郎さんのおもてなしの気持ちを体現しておられる方々です。

詳しくはぜひ『福島の花さかじいさん』をお読みください。

2018年12月12日水曜日

「むこう岸」安田夏菜

書名:むこう岸
著者名:安田夏菜
出版社:講談社
好きな場所:「そうだね」と、あたしは真正面から斉藤を見かえした。
 怒りだかみじめさだか、よくわかんないなにかが頭の中で沸騰している。
「うちらは、みなさんに養ってもらってるんですよね。どうも、ありがとうございます」
所在ページ:p42


ひとこと:わたしども「季節風」では「覚悟をもって書け」というのが、合い言葉みたいになっているのですが、同人の安田さんの新作は、意欲作で、覚悟をもって書かれたと伺っております。
 中学三年の男子、和真は有名私立中学校に進学したものの、おちこぼれて公立に転校してきます。そこで樹希という女子と同じクラスになります。樹希の父は自殺し、母はパニック障害で働けず、生活保護を受けながら暮らしています。
 この二人の接点は「カフェ・居場所」という店で、そこで和真はアベルという中学生だけれどてんで勉強のできない子に算数を教えることになります。アベルもわけありです。
 そのうち、和真は樹希が高校までしか行けないということを聞き、そんなはずがあるのかと疑問に思い調べ始めますが……。

 私のうちもそれなりに貧乏で、当時の育英会奨学金には成績基準と収入基準があり、両方満たさねばならず、つまりもらってるっていうことは貧乏ということでもあり、しかも現金支給だったので、ハンコ持って取りに行かねばならず、恥ずかしかったです。無利子なだけでちゃんと返すんだから、恥じることはないと父は言いましたが、やっぱりいやでした。
 それでも、当時は道があったのです。小学校だって中学校だって塾に行かなくても学校でちゃんと漢字、九九、割り算、分数、代数とみっちり基本的なことは教えてくれましたし、高校はほとんど予備校と同じかそれ以上に受験指導してくれました。大学も国立ならば年間授業料が十万円以下でした。
 もっと昔は師範学校に行けば学費タダだった時代もあったわけで、それが理由で先生になった方も多かったと聞きます。
 昔はよかったと言うつもりはありませんが、貧乏でもそれなりに道があるということだけは、とってもよかったと思います。
 今はほんとうに大変だと思います。
 やらなければならないことが、たくさんありすぎて、学校もみっちりなんてやっていられないのでしょう。分数の計算ができない子がいっぱいいるし、九九もいきあたりばったりでよく覚えていない子がそのまま積み残して高校生になっていると聞きます。高校では基本的に受験指導はしないことになっているので、昼間はたれーっとひまつぶしのように授業を受けて、別途お金を出して眠い目をこすりながら予備校に通っています。
 今は国立大学も相当学費が高いです。じゃあ、奨学金はだれでも借りられるので、そうすればいいじゃないか、と思いがちですが、それもよく考えれば利子を含めて返すのは大変です。

 貧乏な子はそれきりなのか、なにか道はないのか、あるはずじゃないのか、という作者安田さんの焦燥感が、この本を書かせたのではないかと思います。
 児童書でありながら、大人の本の売り場にあることもあるのだとか。生活保護についてもですが、教育とはどうあるべきかも、考えるきっかけになりそうです。
  

2018年12月4日火曜日

『さよ 十二歳の刺客』評論

文芸評論家の三田主水さんが、『さよ 十二歳の刺客』を評してくださいました。お目にかかったこともないのに、ほとんど大人の本ばかりが掲載されている評論サイトの中に、詳しくさよを取り上げてくださって、びっくりです。

時代伝奇夢中道 主水血笑録
http://denki.txt-nifty.com/mitamond/2018/12/post-c7d1.html

少し引用させていただきますと、

「これまで源氏側から描かれた物語が多かった印象がある源平の合戦。そうした物語では、いきおい平氏の方が武家として劣っていた、驕っていたから敗れたという視点になりがちであります。
 しかしそれが真実であったか。まさしく判官贔屓といいつつ、その九郎判官に敗れた平氏の側が不当に貶められているのではないか。何よりも私自身、気付かぬうちにそんな視線が内面化されていなかったか――本作を読んでまず考えさせられたのはそれでした。」

そして、私が書くにあたって、かなり苦労した最後の結末についても、ちゃんと読み込んでくださっていて、とっても感謝です。

私はいつも創作教室で生徒さんに、本というのはいったん出せば知らない方に読まれることになる、もしいいたいことがあるのなら物語の中に書くべきで、それが伝わらないで本当はこうなんですなどと口で言わなければならないのなら、そこでもう失敗、などとくちはばったいことを申しあげていましたけれど(それは講師として仕事だから)、さて、自分のは通じるのかなあ……とはいつも不安に思っています。そんななか、通じた! というのはほんとうにうれしいことです。読んでくださって、ありがとうございました。




2018年12月2日日曜日

「キミと、いつか 夢見る〝クリスマス〟」宮下恵茉

書名:キミと、いつか 夢見る〝クリスマス〟
著者名:宮下恵茉
出版社:集英社
好きな場所:「そんなもん、食ってる場合じゃねえし」
 言うなり、わたしの肩から無理やりかばんをもぎとった。
「それから、もう明日から、かばんなんて持ってくれなくていいし」
所在ページ:p60
ひとこと:「キミと、いつか」シリーズのなんと九巻目です。児童文庫でこれだけ長く続けてシリーズを書くというのは、本当に大変なことだと思います。しかし、宮下さんの物語はいつもフレッシュ。


 今度の主人公は、前回の鳴尾若葉ちゃんの友だち、足立夏月です。四人のなかよしのうち、ひとりだけ彼氏がいません。
 ただ、野球部の吉村祥吾というおさななじみがいます。家が向かい同士で小さいころから行き来をしていた仲です。祥吾が野球の試合で負傷してしまい、登校のときにカバンをもってあげるとおばさんに申し出て、歓迎された夏月でしたが、本人の祥吾は……。

 よくあるおさななじみシチュエーションですが、実際、男の子ってこうだよなと思います。大人の男の人だってこうですもの。でも、なかなか女にはその気持ちがわからないんですよね。男女のすれちがいはみんなこのあたりから来ているんだよなあと、思いながら読んでやっぱり夏月と祥吾はどうなるのかなと、はらはらどきどきするのが、お見事です。まだまだ続くシリーズ、10巻目もあるとのこと!

 

 

「めざせ、和牛日本一!」堀米薫

書名:めざせ、和牛日本一!
著者名:堀米薫
出版社:くもん出版
好きな場所:予選が近づくと、どうしても調教によりいっそう力が入ってしまいます。それが原因で牛にストレスがかかり、体のバランスが微妙にくずれることがあります。
所在ページ: p83
ひとこと:全国和牛コンテスト、通称「和牛オリンピック」に高校生の部が設けられることとなり、宮城県の柴田農林高校もチャレンジすることとなりました。
 コンテストの間じゅう、牛を立たせておくためには、ハンドラーと呼ばれる調教役が必要です。動物科学科二年生の平間君はそのハンドラーを任され、一年後の大会に向けてメスのゆうひの調教に励みます。しかし、ゆうひはがんこで気性が荒く、そのうえ気分屋です。平間君の戦いが続きます……。

 牛の調教技術は、牛を使役していたときからのものだそうで、それがこうやって人から人へと伝えられてきたのだなと思いました。思えば、トラックもトラクターもなかった昔、牛がその仕事をしていたのですよね。私も牛車の実物大の模型を見たことがありますが、軽トラックぐらいはゆうにありました。
 和牛コンテストは、太りすぎていてもだめ、やせすぎていてもだめ、そしてよく調教されていなければだめと、とても大変なものだということもわかります。それでも、こうやって飼育の技術を伝え、向上させるために、高校生も大人も、みなさんがんばっていらっしゃるんですね。

 作家の堀米薫さんは、実際に和牛を飼っていらっしゃる農家さんです。そのため記述は正確で、とってもわかりやすいです。牛に関するご本は何冊目でしょうか。和牛のおいしさが世界に認められてきた今、その育てる苦労も伝わるといいなと思いました。

「天地ダイアリー」ささきあり

書名:天地ダイアリー
著者名:ささきあり
出版社:フレーベル館
好きな場所:天地返しというのは、表面の土と深いところの土を入れかえて、土を再生することです。
所在ページ:p25
ひとこと:ひろすけ童話賞を受賞されたささきありさんの、今度は幼年ものではなく中学生の男子を主人公とした作品です。



 木下広葉は転校を繰りかえしてきたため、中学に入学してもなにか友だちになじめません。それを象徴するように、アレルギーと称していつもマスクをしています。
 広葉はクラスには上層、中層、下層というスクールカーストがあると思っていて、自分を下層に位置づけています。でも下層はほかの層から見下されても、流すことができればそう居心地は悪くないのです。
 広葉は栽培委員会という学校や近辺の花壇を整備する委員会を選んで入ります。下層の委員会で無難にすごせると思ったからですが……。しかしクラスでは体育祭のむかで競争の練習でいざこざが起き、ただ一人の友だちと思っていた子とはかさが花壇に落ちたことでうまくいかなくなり……。
 びくびくしていた広葉は、その中で自分のいろいろな思い込みに気づいていきます。
 まさに天地返し、たしかにスクールカーストというのは存在するかもしれませんが、たとえ安定していたとしても、上層はいつでも上層で、下層はいつでも下層で、それがみんなにとっていいんだろうか、そんなことを考えさせられる物語です。
 

2018年11月30日金曜日

「さよ 十二歳の刺客」相関関係図

『さよ 十二歳の刺客』の相関関係図(公式)があるようです。すごい! それにしても維盛のカッコイイこと。いや、本を読んでいただければわかりますが、ある意味でのかっこよさということです。


「福島の花さかじいさん」寄付について

拙著『福島の花さかじいさん』(佼成出版社)は、福島市の花卉農家阿部家のお話ですが、阿部家が花見山公園を公開されるにあたって、一切の入園料をお取りになっていないことを鑑みて、私も些少ですがこの本の著作権料を東日本大震災の義捐金として全額寄付することに決めまして、昨年は初版分を四つに分けて四ヶ所に寄付しました。今年は、重版はありませんでしたが、ラジオ放送分の著作権料をいただきましたので、同じように四つに分けて四ヶ所に寄付しました。そのうち福島民報教育福祉事業団さんから、掲載新聞を送っていただきました。わざわざ言うほどのこともないのですが、寄付すると言っておいてしてないなどということはありません(笑)という意味で、お知らせしますね。


2018年11月22日木曜日

「その年、わたしは嘘をおぼえた」ローレン・ウォーク

書名:その年、わたしは嘘をおぼえた
著者名:ローレン・ウォーク
出版社:さ・え・ら書房
好きな場所:その人たちは、使えない銃だとしらなかったし、ここで起きたこともまったく知らなかったそうよ。
所在ページ: p318

ひとこと:2017年にニューベリー賞を取った本で、作者が初めて書いた児童書だそうです。作者はメリーランド州出身のアメリカ人で、ネイティブ・アメリカンに関する専門家。
 この物語は、第二次世界大戦中、1943年「オオカミ谷」と呼ばれるアメリカの田舎に暮らす少女の物語です。
 少女、アナベルの通う学校に、いじめっこが来ます。ベティという子です。「矯正不可能」の不良少女です。アナベルの弟たちに危害を加えると脅迫して、アナベルに言うことを聞かせようとしています。
 一方、アナベルの家には、コダックのカメラがあります。コンテストでかあさんが勝ち取ったもので、一生分のフィルムと現像代がついています。最初は一生懸命撮っていたものの、あきてしまってもう使わなくなっていました。
 それを貸してくれといいにきた男がいます。町外れに住むトビーです。変わり者で、第一次世界大戦に参加しておかしくなった人だとみんなは認識しています。トビーはいつも三挺の銃を背負っているのです。
 そんな日々のなか、ある子が失明しそして、村のみんなはその犯人を捜します……。

 みんなが考える真実とは何か。本当の真実はどこにあるのか。いかにもそれらしい人は犯人なのか……。作者はネイティブ・アメリカンの専門家ということです。これにはネイティブ・アメリカンは出て来ませんが、人の偏見という根強いものに対するコミットを感じる物語です。

2018年11月20日火曜日

『小説 映画 春待つ僕ら』見本来ました!


講談社KK文庫で『小説 映画 春待つ僕ら』のノベライズを担当しました。
見本が来ました。明日(2018/11/21)発売です。


映画のノベライズ版ということで、漫画も全部読みましたが、映画ベースの物語となっております。映画は、2018/12/14に公開です。役得で(というか仕事だよ!)で映画の試写も見ました。

最初漫画では私は、あやちゃん押しだったので、永久のことがよくわからず、????が多かったのでどう書いていいか迷ったのですが(お忙しい編集さんつかまえて問いただしたり^_^;)、映画を見て、ああ、永久ってこんな子だったんだ! と目からうろこでした。これなら、美月が惚れるのもわかるぜ、という感じです。

それぐらい永久役の北村拓海は、うまかったです! ほんと上手。私、けっこう舞台のお芝居とかオペラとか見るの好きなので、その役の人が役をどう解釈しているのか、役になりきっているかどうか、その役を台本以上に高めているかどうか、どうしても気になりますが、北村拓海という方は、ほんといい役者さんだなあと思いました。

もちろんあやちゃんはばっちりですし、永久の他の四天王もかっこよかったです。

KK文庫版にはスチール写真も入っておりますので、ぜひぜひ映画を見る前にでも、ネタバレいやだという方は見てから反芻用にでも、お買い求めくださいませ!