2019年3月10日日曜日

「山の子テンちゃん 空から落ちてきた小さないのち」佐和みずえ

書名: 山の子テンちゃん 空から落ちてきた小さないのち
著者名: 佐和みずえ
出版社: 汐文社
好きな場所: 「テンですけど、そちらでひきとってもらうことはできますか?」
 ひづるさんの問いに、
「むずかしいですね。テンは害獣ですから」
という返事ばかりでした。
所在ページ:p66


ひとこと:大分県の山あいにある小さな町、豊後大野市の、とある山寺のてんじょうから、ぽとっという音とともに、こげ茶色のちいさな生き物が落ちてきました。
 ボランティアで山寺のそうじにきていた安東ひづるさんは、その生きものがゴミ袋に入れられるのを見て、ちょっと待ってと止め、大分市の自宅にもって帰ります。それはテンの赤ちゃんでした。安東さんはテンちゃんと名付けて、育てはじめます。
 テンはイタチのなかまですが、毛皮がきれいなため人間に狩られて数が減っています。
 野生に帰さないといけないと覚悟して、テンちゃんのめんどうをみはじめた安東さんでしたが、いざ放すとなると、信じられないことにちゅうちょする自分がいたのです。せめて動物園で飼ってくれないかと問い合わせた安東さんへの返事は引用のようなものでした。さあ、テンちゃんはどうなるのでしょうか……。

 表紙のかわいい写真は獣医さんが撮られたものだそうで、写真のいくつかとイラストは私の高校の同級生のイラストレータ、茶々あんこさんの手になるものです。
 人が飼育すること、野生に帰すこと、その違いと困難をやさしい文章と写真でわかりやすく描いています。小学校中学年から親しめるノンフィクションです。
 

2019年3月3日日曜日

「ポーン・ロボット」巻頭言


 入稿してから、巻頭になにか箴言のようなものを入れたいと、編集者さんがおっしゃいました。
 ついては、物語の内容にぴったりしたもので短いものを出してくださいと。

 これがなかなかありません。最初ホーキング博士やイーロン・マスク氏の公開書簡の中からひろったものを自分でとりあえず日本語に訳にして送ったのですが、ちょっと固すぎたのか没。

 次にスヌーピーの漫画の中からいいのをみつけたのですが、ネットにあるのをそのまま本に載せるわけにはいきません。原文はわからないし、訳者の著作権があるので、引用するにしても、この訳はそもそもだれがどこに書いたものかを明示しなければなりません。(谷川俊太郎さんじゃないかとは思うんですが)
 それで、スヌーピーの漫画を数十冊読みまくって探しました。
 何冊かは買い、図書館も3つぐらいはしごして、すいませんと言いながら書庫からかごいっぱい出してもらって(かごじゃ足りなくて移動式の本棚を、このまま閲覧室に持っていってくださいと貸してくださいました 笑)。スヌーピーミュージアムも行きました。
 でもみつからなかったので、代わりに他の出典のわかるのを出したのですが、これは没。

 そうしたら編集者さんがいいのがありますよ、とベケットの文章をもってこられました。でもこれもネットにあって。原文はわかったのですが、ベケットは著作権生きていますから、翻訳権があるので勝手に訳すわけにはいかず。さがしまくってみると翻訳した方がおられてそれは『いざ最悪の方へ』という本で長島確という方の訳でした。早速買って取り寄せました。出典と訳者を明示したらこれを引用してもかまわないはずなんですが、それはネットにあったのとはぜんぜん印象が違うもので(難解で全体を読まないと意味がわからない)短くというわけにはいかないし、児童書としては難しすぎて、没。

 最終的に私の好きなジブラーンの文章を、英語の青空文庫みたいなの(グーテンベルクプロジェクト)で探して、自分で訳して(著作権は切れていますのでこれはOK)載せました。

 いい文章ですので、ぜひ巻頭も読んでくださいませ。(苦労もしたしね)






2019年2月28日木曜日

『ポーン・ロボット』本日発売です!

『ポーン・ロボット』(偕成社)が本日発売です。どうぞよろしくお願いします。
元日本SF作家クラブ会長新井素子さんが、なんと「次の元号のジュブナイルSF」という題で書評を書いてくださいました。
ありがたいです。どうぞお読みください。
http://kaiseiweb.kaiseisha.co.jp/a/review/rev1902/?fbclid=IwAR2PlgjB2RPDopNARVzjuiN1Po26zImREMOYf3vkt9NqEsvg7GEeKi93Yqc



 この物語は、数年前に季節風のファンタジー分科会に出したものです。そのときは、さんざんでした。今とはちょっと違ったかなりセクシーな内容だったこともありますし、森川がラノベ(っぽいもの)なんて書かないでいい、なんてご意見もいただいたものです。

 でもその後、出版社さんからのご意見で書き直し、河童の会という勉強会に出したときは、今とほぼ同じ内容に落ち着いていました。総じて評判はよく、特に男性の方からはおもしろいという意見をいただいたおぼえがあります(記憶違いじゃなければね)。

 舞台は、私がかつて住んでいた西宮市の甲山(かぶとやま)山麓付近をイメージしています。
「だらだら坂」だらけの町で(車のない自転車の貧乏人は大変でした)、梅林もありました。
 音山は甲山を、蜂峰荘という高級住宅街は、六麓荘というほんとすごい豪邸街をイメージしたものです。
 児童センターからそこに向かって歩いていくシーンは、武庫川を西に向かって超える感じ。
 朝戸市は、芦屋市。
 奥初音温泉郷は、有馬温泉ぐらいの感じでしょうか。

 知ってる方は、そうそう、と思いながら読んでいただければ、またうれしいです。ウヒヒ。
 
 


 

2019年2月26日火曜日

「夫婦漫才」プログラム

 前に大地真央さん主演の東宝系のお芝居『夫婦漫才』のプログラムに、「キーワードでひもとく大阪人の『目』」という文化解説を書かせていただきました。「えべっさん」とは何かとかね。
 そのお芝居が好評だったらしく今年、再演されるということで、新しいプログラムのほうにも私のその文章が載っております。

 私も前のときに、舞台を見せていただきましたが、まず大地真央さんが超美人! なのにすごく庶民的な役どころで感激。中村梅雀さんは関西人じゃないはずですが、大阪弁がすごくお上手。
 息もつかさずいろいろ事件が起きるのですが、芸達者ぞろいでサービス精神たっぷりにいっぱい笑わせてくださって、おもしろいなかにも、最後はじーんとして泣きました。
 大阪の物語ですが、戦中戦後ということで、わたしたちの世代には、親のこと、自分のことなど思い出されて、若い方にはへーそんなことがあったのかと思えるような、お芝居だと思います。今放映中の朝ドラにも通じるものがあるかも。

 明治座と大阪の新歌舞伎座は終わっていますが、これから東北と北海道に行くみたいです。
 https://www.tohostage.com/meoto/

 

 

2019年2月24日日曜日

ハードカバーになります


 さて、これはなんでしょうか?
 どっと見本をいただきました。黒崎くんノベライズ3巻と、春待つぼくらノベライズ1巻が、それぞれハードカバーになるそうです。ほかにも私のじゃないですが講談社KK文庫などにある映画ノベライズ等が同時にたくさんハードカバーになるようです。
 ハードカバーは別契約ということで、ちゃんと著者の権利を尊重していただいております。


 

2019年2月21日木曜日

「ポーン・ロボット」新刊見本来ました

新刊『ポーン・ロボット』(偕成社)の見本いただきました。2月28日発売です。
どうぞよろしくお願いします。


 田中達之さんのすばらしい絵です。特に四コマになっているところなんて、一瞬のうちの5人(4人プラスα)の表情が出ていて、すてきです。そして田丸の絵。田丸がこういうやつなんだって、自分で描写しておきながら改めて思いました。この本の肝はなんといってもひょうひょうとした田丸ですしね。
 でも美女のミナーと千秋・理央の兄妹、そしてあんまり美人じゃない生意気なキトもくわわって、このチームなかなかのものだと思います。ラノベチックかも? 男子、読んでね!

  この見本を読んで改めて思ったのは「おもしろーいYAが書きたい」ということでした。それってきっと私のこれからの目標の一つになると思います。ってか、願望かな(トーンダウン)

 さて、「なんにだっていい面もあれば、悪い面もあるのよ」p95のキトのセリフのように、すばらしいはずの技術にも、いろいろな問題があります。
 テスラのイーロン・マスク氏ほかロボット研究者、故ホーキング博士が、自律型のロボット兵器に関する懸念を公開書簡の形で表明していたのをご存知でしょうか。
 その要点は

 ・ロボットやAIの技術が使われた兵器は「火薬、核兵器に続く『第3の戦争革命』」
 ・このような自律型兵器は核兵器のように入手困難な材料を必要としないだけに、安価で大量生産される
 ・ひとたび開発されれば、武力紛争の規模が人類の理解を超えるスピードでかつてなく拡大する

というもので、いまのうちに、その開発に制限をかける必要があるとしています。

 キトのいうとおり、なんにだっていい面もあれば悪い面もあります。だからってロボット開発を止めるべきだとはだれも思わないでしょう。でも、目をつぶってはいけないところもあるはずで、新しい技術であればあるほど、ちゃんと考えていかなければならないような気がします。

2019年2月20日水曜日

「つくられた心」佐藤まどか

書名:つくられた心
著者名:佐藤まどか
出版社:ポプラ社
好きな場所:おちつけ、ミカ。やっぱり鈴奈ちゃんの両親は役者だった。でも、さっき鈴奈ちゃんはちがうといった。なぜウソをつくんだろう?
所在ページ:p145
ひとこと:『一〇五度』や「スーパーキッズ」シリーズで大評判、学園ものに人気のある佐藤まどかさんの新刊は、近未来SF学園ものです。
 理想教育モデル校に、抽選をくぐりぬけて入れた六年生の小野ミカ。ロッカーに生体認証を使うなど先進的な技術がフルに投入された学校ですが、その一番の目玉は、ガードロイドという名称のアンドロイドを、クラスに配置するということでした。生徒の目から見たものとして、クラスに起きたすべてが報告され、いじめもカンニングもパワハラもセクハラもないというのです。アンドロイドがだれだかはだれにもわからず、それを探り出そうとすること自体が禁止されているのですが……。
 しかし、それは知りたいと思うのが人情です。お互いがお互いを、アンドロイドではないかと疑いながら過ごすようになりますが……いったいアンドロイドはだれ?



 監視社会というのはこういうものだなあと思う記述がたくさんあります。今はもうほとんどその時代。怒りに任せてとんでもないことを言えば、だれかが録音録画しています。最初に携帯に写メがついたときは、アー便利ということしか思いつかなかったのですが、こんなふうに使われるとは思わなかった。
 監視カメラには抵抗のあった人たちも、やっぱりテロや犯罪の予防になると思えば使わざるを得ず、ドライブレコーダーや各家庭の監視カメラの設置を警察が奨励しています。
 アンドロイドもきっとそうなりますね。
 近未来のちょっとぞっとする設定です。
 表紙の画家さんは、工業デザイナーさんでもあるまどかさんが、ご自分で選ばれた方だとか。読んでからこの表紙や裏表紙を改めてみると、目にぎょっとします。すばらしいチョイスです。

 そうそう、私の次の本『ポーン・ロボット』(偕成社)にはやっぱりロボットが出てきます。私のは兵器として使用されるロボットです。こちらもどうぞよろしくお願いします。本屋さんにいっしょに並んでたらうれしいな~~