著者名:森埜こみち
出版社:講談社
好きな場所:髪の毛の二、三本くらい、あの子にくれてやればよかったじゃん
所在ページ:p24
ひとこと:詩織と璃子と千秋。仲よしの三人組に見えますが、それぞれがそれぞれに対する気持ちは異なっていて、バックヤード、つまりそれぞれの家庭も違っています。
すれちがいがなにげない言葉になって出てきます。
でもそれにはちゃんと理由があるのです。
引用のところ、あの子というのは、璃子の弟ですが、とってもやんちゃ。千秋にかみついてしまいますが、それを止めなかった璃子が悪いと言った詩織を、なぜか被害者のはずの千秋がこう言って責め、璃子のほうをかばったのです。
なぜ? どうして? 悪いのはあっちじゃないの、と思う詩織。
しかし、だんだんに、そのバックヤードがわかるにつれて、三人の関係は変わっていきます。
ああ、こういうことだったのだな、だからあの人はこういったのだな、と大人になってわかることでも、あのころはわからなかった。あのころに戻れたら、理解しあえるのに、と思うことってたくさんあります。
今、友だち関係に悩んでいる最中の人も、この本で、ちょっと立ち止まって、他の見方もあるかもと思えば、楽になるかも。