著者名:濱野京子
出版社:さ・え・ら書房
好きな場所:なんでわたし、ヒップホップをあきらめてしまったのだろう。あの時。
所在ページ:p112
ひとこと:袖には「子どもの権利って何? 大人は知ってるの? 守られてるの?」とあります。子どもの権利条約を子どもにわかりやすく説くお話だとすぐにわかりますが。
権利というのは、お題目ではなく、その生活のはしばしに現れる、ごくささいなことに具体的にどう関係しているのかを考えることが大事です。権利を説明するのはできても、そここそがなかなか大変なのです。
それなのに、このお話はほんとうに細かい部分まで考えられていて、さすが濱野さんです!
六年生の葉菜は、あるときふと気づいてしまいます。同級生の紳に、担任のスギッチがこまごまと配慮をしているのに。なのに、紳のほうはなぜかいやがっているようす。
一方葉菜の母は、プライバシーに配慮してうわさ話などは慎むタイプで、子どもに対する理解もあってよさそうなのですが……ある日。
権利とは正義一方のものではなくたくさんの権利が拮抗するものだから難しくて、特に子どもの権利は、パターナリズムとの関係で一刀両断にはできないわけで、とっても書きにくいのですが、何より子どもがそれが自分の権利だと気づくことが第一歩のはずなので、それを考えても、これはとってもいいお話だと思います。たくさんの方に読まれ、また考えてもらえますように。