著者名:白矢三恵
出版社:文研出版
好きな場所:するとオニばあは、「ああ!」と大きく手をたたいた。「あのときのお兄ちゃん?」と、父ちゃんの手を取って、両手でスリスリこすって言う。
所在ページ:p140
ひとこと:親が離婚して父ちゃんと二人暮らしの玲央、母が亡くなりフィリピン人の新しいおかあさんと父さんといっしょにフィリピンから引っ越してきた陸、親が離婚しておばあちゃんとお母さんと妹と暮らすまひる。
この三人の視点から描かれるのは、ひだまり食堂という子ども食堂。店主のオニばあは、もともとここでおじいさんといっしょに食堂をやっていたが、今は店を子ども食堂にしている。
オニばあは、顔も広い。オニばあのオニはおにぎりのオニ。オニばあにおにぎりをもらった人がたくさんいるという。
そのわけは……。
引用のように、「あのときのお兄ちゃん」がお父さんになる時代になりました。
あのときから三十年。
作者は関西の方。
あのときおにぎりを配ったように、あのとき支えあったように、子ども食堂でみんながささえあえたらいいな、という作者の気持ちがこめられているように思いました。
