2024年6月5日水曜日

『6days 遭難者たち』安田夏菜(講談社)

書名:6days 遭難者たち
著者名:安田夏菜
出版社:講談社


好きな場所:けど私の生存確率は、今何%?
考えたくもないけれど、ママより低いかもしれない。そして、命の危機にさらされる恐怖がどれほどのものか、この身で感じてやっとわかったんだ。
所在ページ:p138
ひとこと:じいちゃんに言ったひとことを気にしている元登山部員の美玖。乳がんのママを失うのが怖い亜里沙。家の中でブラックシープ、なのに心配かけまいと「なんのなんの」が口ぐせの由真。
 高校生の女子三人がそれぞれがそれぞれの思惑で、いっしょに日帰り登山をするのですが、うまく頂上でコーヒーを飲んだはいいが……。
 生きるか死ぬかの瀬戸際で三人がそれぞれ考えること。そして山の本当のこわさ。
 はらはらどきどきで、この三人がどうなるだろうと、引き込まれます。
 作者の安田夏菜さんは、先日NHKでドラマ化された『むこう岸』の原作者で、同作では日本児童文学者協会賞、貧困ジャーナリズム大賞特別賞を受賞され、『セカイを科学せよ』では青少年読書感想文全国コンクール課題図書にもなっておられます。
 その安田さんの最新作。
 登山の怖さは、人生の怖さでもあり、死に及んで考えることは、人生を考えるということでもある、ということだと思います。
 カバーと表紙の新聞紙は、画家さんの手書きレタリングとのこと。手触りもいい、リアルさが伝わってきます。