著者名:堀米薫
出版社:くもん出版
好きな場所:親が送り迎えする子よりも、電車やバスなど自分の足で通う子は、どんなに大変でも好きなことをやろうとすることを実感していたからだ。
所在ページ:p64
ひとこと:青森県は弘前の自動車販売会社の長男だった樋川新一さんは、街から出ていってしまう若者をつなぎとめようと、芸能スクールを始めます。芸能スクールは月謝を取るのが常識ですが、樋川さんは取らないと決心します。そして、地元の子どもたちをトレーニングして、アイドルへと成長させていきます。
アイドルたちには、なんとリンゴの名前をつけました。「つがる」「あかね」「ジョナゴールド」「レットゴールド」「金星」「とき」「王林」などなど。そしてりんご娘としてデビューさせます。
りんご娘たちは学校の勉強と両立させながら、引用のようにいっしょうけんめいスクールに通って、あいさつやMC、青森についての知識などをたたきこまれ、地元のテレビやラジオで活躍していきます。
中には横浜の大学から夜行バスで戻ってきては出演した子も、青森の大学に通いながら東京でデビューしたがやっぱり青森がよくて戻ってきた子もいます。
そんな姿に作曲家までひきこまれ、ついには青森移住へ。
リンゴミュージックはさらに百年先も見据えて、活動を続けているのでした。
いやあ、すごいです。〇〇娘、ミス〇〇みたいなグループはよくあり、イベントにも出ていますが、自治体主導のことが多く、目的による縛りもあってなかなか動きにくいと聞きます。また研修はしているでしょうが、アイドルになるほどのトレーニングは受けていないことが多いのではないでしょうか。
それを一個人というか地方企業が、こんな形で動いてアイドルグループを仕立て上げ、そしてそれが地域に愛されているとは、すばらしいです。
綿密な取材でこの経緯を本にまとめられた堀米さんは、現役農家さんです。
りんご娘さんたちのファンは「ファーマー」と呼ばれ、なかでも農家さんは「リアルファーマー」というのだか。リアルファーマーの堀米さんが、この方たちに魅せられたというのも、なるほど運命なのかと思えました。
出版社のHPには、特設サイトもできています。