書名:ノクツドウライオウ
著者名:佐藤まどか
出版社:あすなろ書房
好きな場所:まさか、穣くんことお兄ちゃんがその翌月に逃げるなんてことは、さすがの政さんも想像できなかっただろうな。
所在ページ:p14
ひとこと:明治時代から続くオーダーメイドシューズの店往来堂の四代目店主の孫娘、夏希は、シューズデザイナーを夢見ています。夏希の作りたいシューズは、店主のマエストロ(おじいさんだけれど店ではこう呼ぶ)が作っているものとは種類が違うのですが。
ある日、店を継ぐはずのお兄ちゃんが、引用のように出奔してしまいます。
さあ、夏希はどういう将来を思い描けばいいんでしょうか。
「ノクツドウライオウ」という呪文のような書名。佐藤まどかさんらしい、断崖絶壁を歩くようなギリギリ人生の設定。モノづくりの詳細。デザインの美しさが光る描写。魅力がいっぱいの本です。
先日神保町のブックハウスカフェで開かれた佐藤まどかさんの講演会(野上曉さんとの対談)に伺って、その魅力の源泉がわかったような気がしました。まどかさんは「永遠の思春期」なのだそうです。YAの読者とまさに同じ目線の物語。なるほどと思いました。
写真はまどかさんのサインと落款(イタリア製)です。