2023年3月26日日曜日

『金色の羽でとべ』高田由紀子(小学館)

書名:金色の羽でとべ
著者名:高田由紀子
出版社:小学館




好きな場所:でも、とりもどせない過去や、人にいいたくないほどくやしかったことって、意外と未来につながるんだなあって、最近、感じてるんです
所在ページ:p220
ひとこと:新潟の佐渡島にある二葉小学校に通う空良は、同じ小学校出身のプロバレーボール選手の北見選手の出るイベントを見にいきます。まるで羽が生えたみたいなジャンプからのスパイク。北見選手は、ファンから『金色の羽を持っている』と言われていることを知ります。
 背は低いけれど、北見選手にあこがれて入ったジュニアバレークラブ「佐渡ゴールドウィングス」で、六年生が引退し、最高学年の五年生となったとき、大和という子が新しく入ってきます。対岸の都会、新潟市でバレーボールをやっていたという大和は背も高く、空気を裂くようなスパイクを炸裂させる子でした。
 本当はアタッカーになりたかった空良。どうなるんでしょうか。

 作者の高田さんは佐渡島のご出身です。この物語にも描かれていますが、他のチームとの練習試合をするにも、泊りがけで行かなければならないハンディが、島にはあります。その中で、子どもたちが、県大会を目指して頑張る様子が、よく描かれています。そう、私も地方の出身なので、展覧会を見に行くにも、模擬試験に行くにも大人に連れて行ってもらわなければなりませんでした(県庁所在地だったにもかかわらず)。その不自由さ、島ならばなおのことでしょう。その中でも、上をめざしてがんばる空良くんたちが、すがすがしいです。