2023年3月1日水曜日

『カ目ラこぞう』松井ラフ(岩崎書店)

書名:カ目ラこぞう
著者名:松井ラフ
出版社:岩崎書店


好きな場所:おまえの ようすは この目で しっかり とってあるぞ。
所在ページ:p14
ひとこと:私も以前『あめあがりのかさおばけ』を書かせていただきました、岩崎書店の幼年向け怪談シリーズ。版を重ね、すごい人気です。しかし、自力で本を読めるようになった年齢の子が読めて、なお怖いけど怖すぎない、という書くほうには、なかなかハードルの高いコンセプトの怪談集です。
 今回の「こわいがいっぱいおばけのはなし」シリーズでは、他に辻貴司さん、しめのゆきさん、三野誠子さん、山本省三さん、巣山ひろみさんなど、そうそうたるメンバーがそれぞれ一冊、書かれています。いずれも、二話仕立てで、一話は日本の古来の妖怪をモチーフに、もう一話はオリジナルで、ということのようです。
 表題作「カ目ラこぞう」はその二話のうち、古来の妖怪の一話のほうで、おそらく一つ目小僧をモチーフにしていると思われますが、すごく現代的で、お留守番している子のようすを、監視カメラのようなものが見ているという……。主人公のトオルは一人でお留守番を任され、好きなようにふるまえるとうきうきしていますが……さてどうなるのでしょうか。
 もう一作は「しらないうちへかえるくつ」。うっかり帰りに似たような靴を間違えてはいてかえってしまうということは、よくあるのですが、さてさて……。

『青いあいつがやってきた』で全国青少年読書感想文コンクールの課題図書にもなった松井ラフさん。こわいお話でも日本児童文芸家協会編「謎解きホームルームシリーズ」(新星出版社)のご常連です。ハートフルですてきなこわいお話という点では、右に出る方はいないのでは、なんて思ってしまいました。