2023年2月22日水曜日

『ぼくんちの震災日記』佐々木ひとみ(新日本出版社)

書名:ぼくんちの震災日記
著者名:佐々木ひとみ
出版社:新日本出版社




好きな場所:人が大勢亡くなっているときに、バカみたいな恰好するな! ってお父さんには言われたけど……。でもね、杜野さん。私たちが落ち込んでいても仕方ないのよ。元気でいればこそ、この先、誰かの役に立つことができるかもしれないじゃない?
所在ページ:p101
ひとこと:仙台在住の作者、佐々木ひとみさんは、東日本大震災のとき、仙台にいらして「在宅避難」をされました。そのときの経験を、四年生の主人公、杜野友樹とその家族に託して書かれたのが、この本です。
 人が大勢亡くなっているのに、という言葉は、命が無事だったたくさんの方の言葉だと思います。私も何度も聞きました「いやあ、うちなんてたいしたことはありません……」と。
 でも、無事だったとしても、食器は割れ、家のなかはぐちゃぐちゃで、水を汲みに、食糧を得るために行列し……と大変な幾日かを過ごしておられたのです。でも、人が大勢亡くなっているときに、文句を言っては……とその時も、今までも黙っておられたのだと思います。
 その中で、そんないわば「たいしたことはない」がたいしたことを、ちゃんと書かれた佐々木さんのこの本は、とても大事だと思います。
 笑顔で乗り切ってきた主人公の家族。おとうさんの客観的なメモと合わせて、大事な記録だと思いました。