著者名:久米絵美里
出版社:アリス館
好きな場所:一方で、新たな視点を得ることも、忘却術の有効な手段のひとつです。人にはそれぞれ、記憶を思い出す際にくせがあり、どうしてもいつも、ひとつの視点から同じようにその記憶を思い出してしまいがちです。しかし、本や映画、演劇などから、忘れたい記憶に似た物語をたくさん取りこみ、ほかの考え方を知れば、自分の記憶も、さまざまな切り口から見られるようになります。
所在ページ:p122
ひとこと:トラタは学校に行く途中、忘れものをしたことに気づきます。母のサインのついたバザーの出欠プリントを、家に置いてきてしまったのです。そこで白髪のおじいさんに会います。その忘れものを即時に持ってきてくれて、渡す代わりに、忘れたいことをタブレットに投稿しろと言うのです。トラタはあることを忘れたいと思い、投稿します。実は、同じおじいさんに会ったのは、トラタだけでなく……。
さあ、どうなるんでしょう。
トラタたちの冒険にしたがっていくと、引用のように、記憶というのは、どういうものかがだんだんわかってきます。
忘れたらいいのか、忘れない方がいいのか。
忘れないためにはどうしたらいいのか、忘れるためにはどうしたらいいのか。
人の記憶の不思議さと共に、いやなことは忘れてしまったほうが幸せなのかどうなのか、と考えることにもなります。
そしてトラタと、もう一人のレミには過去があり……。
不思議でやさしいお話です。