2021年10月8日金曜日

雑誌「児童文芸」のバックナンバーおすすめ

雑誌『児童文芸』の編集委員にしていただいたのは、たしか2011年だったと思います。それから、編集長さんが矢部美智代先生、山本省三先生、高橋うららさん、石川千穗子さんと変わりました。私は今年度最後の12・1月号を以て卒業させていただきますが、とにかく毎号ミスがないかひやひやでした。こういうのは出てしまってからではすみませんですまないときがあります。実はなにかやらかしていて、黙っていてくださっていたのかもしれませんが、最後近くなって、一つ執筆者さんと関係の方に、申し訳ないミスをして訂正を出したほかは、まあまあ10年よたよたやってこられてよかったです。

最初の特集担当は、この号でした。
IT特集がメインで、没後五十年の未明特集が私一人の担当。初めてなのに一人で一つの特集の担当はかわいそう、と助けてくださったのが、深田幸太郎さんでした。その後、残念なことに、深田さんはお若くして亡くなっています。

この未明特集では編集部の相談で、私の好きな未明童話ということで、熊谷千世子さん、津島節子さん、中山聖子さんにそれぞれ一編を選んでエッセイを書いていただいたのがすごくおもしろかったです。

 

レギュラーの担当は最初「わたしの好きな〇〇〇」というエッセイで、あとはみなさんに取材していただく「児童文学散歩」とか、編集者さんと作家さんに出版のことを書いていただく「この一冊ができるまで」とかでした。編集者さんに書いていただくのは、いつもと逆バージョンの経験で(自分の担当さんにお願いしたことも)特に依頼状で、こういうことを書いていただきたいと工夫して書くと、うまくみんなが知りたいことを書いていただけて、それが快感っていうか、ああ編集者さんて、いつもこういう気持ちでメールくださったり打ち合わせしてくださってるんだな、と大変勉強になりました。

あとは、特集担当が選べるときはなるべく創作競作や、創作スキルに関するテーマでやらせていただくようにしていました。これも自分の勉強にもなるからって思って。

創作スキルに関するテーマの巻は(もちろん私の担当のときばっかりじゃありません)先日まとめて、単行本になりました。すごく内容が濃くてお得です。



これ以外で、私が勉強になったと思ったのは、自分の講座でもしつこく言っていましたが、この2018年12・1月号の「スキルを高めろ」の巻です。単行本には収録されていませんが「ここが聞きたかったんです!」というコーナーで、石崎洋司、井上林子、高田在子、竹内もと代、中山聖子、山野辺一記という方々が、自分の書き方について披瀝してくださっています。比べるとすごく勉強になります。



創作競作では、3つのお題を選んでそれぞれ作家さんに三題噺を書いていただいた「やってみなくちゃわからない! 三題噺大実験」号(2018年2・3月号)と、私の担当ではありませんが「テーマ」「アイテム」「登場人物」のテーブルからそれぞれ一つずつ選んで作家さんに書いていただいている「名作童話バイキング!!」号(2021年6・7月号)が、すごくおもしろいです。書き手の修行中の方は、自分で同じ題を選んで書いてみるとか、または自分ならどうするか書いてみるとかすると、新しい自分の能力が開発されるかもしれないですよ~~




まあ、物語を書くのは、技術だけじゃありません。季節風でよく言われる「主人公に入れ込む」とか、「琴線に触れる」などがすごく大事ですけど。(私は学生さんには、実はこっちを教えています。若かったら発想は自分でできるからね)

でも、壁にぶつかったら、こういうことをいろいろやってみるのもいいと思います。

バックナンバーのお申し込みは、日本児童文芸家協会事務局へ。時節柄、閉めている曜日もあるようですので、HPでご確認ください。