2021年10月18日月曜日

アイザック・アシモフ「#ファウンデーション 」シリーズを読み直して


AppleTV で、アイザック・アシモフのファウンデーションのドラマが始まったので、それを機会に中学生のときに読んでいたバージョンを、古本で買って読んでいるという話を、この前書きました。

3巻分は、読み終わったのですが、続編はまだなので、ドラマのファウンデーションがどの部分を使っているかは、まだわからないのですが。まあ原作と設定が違うところはわかります。ガール・ドーニック(なんと、ドラマではゲイルって発音してる)と、サルヴァー・ハーディンが、女だとか、ファウンデーションが開拓地で、開拓前からモノリスみたいななぞの物体があるとか、銀河帝国の皇帝が代々クローンとか。たぶん皇帝がクローンってことはミュールも増える可能性が当然あるはずだけど、そこはどうするのかな。まだミュールは出てきませんがね。ずっと出てこないのかな。

原作と違うって怒っている方も当然いるだろうけど。アシモフは生きてたら皮肉の100個ぐらいは言いそうだけど。でもアシモフが、昔スタートレックのファンミーティングかなんかに、銀河に人が広がるという構想をリスペクトされて出たときのスピーチを入れたレコードを買って聞いたことあったけど、自分のとは違う世界観のスタートレックをほめてた記憶がある。これはこれで面白いしハラハラして見られるので、わたしはオッケーです。原作のままだと、この前も書いたけど、時代的に合わない。今の人はドラマの中に没頭するような作りを欲していて、それは小説も同じです。

でも原作は原作として、今読んでも(今風の没頭する作りじゃないけど)面白いです。とにかく設定のスケールがすごいし。ってかほぼ長ーい設定書(笑)。

中学の時にはわからなかったことが、今回読み直してわかった部分もあります。こっちが作家になったからか。

中学のとき読んだときは(なにせ、私の中学時代は冷戦時代でしたからね)モデルは
銀河帝国→ローマ帝国
歴史心理学→唯物史観
ハリ・セルダン→カール・マルクス
テルミナス→60年代の勢いのよかったアメリカ合衆国

かなって思っていました。
もちろん内容は全然違いますが。だいいち、歴史心理学を建国の礎にしているテルミナスは自由民主主義だしね。でも、イメージとしては。

で、今度追加で思ったモデルは
トランター→ローマ(ま、ローマ帝国なら当然だけど)
ファウンデーション→財団(英語でファウンデーション。設立者の意思が絶対視される)
ミュール→ヒットラー
貿易商人→海賊
カルガン→ラスベガス

よねえと。

読んで改めて思ったけれど、ファンタジーでは、なんでもありだからこそ、モデルになるようなみんながわかる何かを設定しておくのは大事だなあと。モデルに手あかがついているとたしかに逆効果だけど、新鮮だからと言ってまったく何もなくてぜんぶ作家が作っているとなると、読むほうはついていけない。

ある程度こんな感じとわかるような定型のものを提示しておきながら、違うものとして扱って、現実とは違う方向に物語を進めるというのが、大事だなあと思いました。
(定型のものを提示しても、それに作者が沿って進める必要はない。大事なのは、最初に与えるイメージをある程度読者のために決めてあげるというだけのことだから)