著者名:黒川裕子
出版社:さ・え・ら書房
好きな場所:そして、あたしの誕生をだれよりも喜んで、うつくしい願いをこめて名前をつけ、だいじに育ててくれた両親は、つい先日、離婚したのでした。
理由、性格の不一致。
それにより、娘の坂上明音は、この春から戸松明音になりました。
人生ってひとことでいうと……わお。
所在ページ:p6
ひとこと:引用のように不本意ながら名字が変わった中学1年の明音は、急に学校から言われた「名字にさんをつけて呼ぶ活動」つまりSUNさん運動に反発を覚えます。
ちょうどSNSでニックネームをつけて書き込みをしていることもあり、たまたま行ったブックカフェで、自分の好きな名前を名札に書いていいと言われたこともあり、SNSのトークルームに「#マイネーム」というのがあるのに、注目することになります。
そこの主は「盟主ビオ」という子なのですが、いったいだれなのだかわかりません。
そうこうしているうちに、学校でも呼ばれたい名前を書いた、自分だけの名札をつけてみようということになり……。
さあ、盟主ビオはだれなんでしょうか。SNSのニックネームのあの子は、だれなんでしょうか。
謎解きの中に、親友でなんでもしっていると思っていた子の意外な事情を知ることになったりして、そしてママも……。
黒川さんの粋のいい文体で、名前にまつわるそれぞれの事情と思い、中学生のひりひり感と正義感を、今どきの子らしい自己抑制の効いた表現の中に、描きだしています。
明音、がんばれ!