2021年4月3日土曜日

「野原できみとピクニック」濱野京子

書名:野原できみとピクニック
著者名:濱野京子
出版社:偕成社
好きな場所:だが……。相手はL高の子だ。公立の中でも底辺校だ。写真部の先輩から聞いた悪評を思いだす。いや、そんな風に先入観で判断するのはどうだろうか。どんなところにだって、いい子はいるはずだ。でも、どんなところって、どんなところなのだろう。
所在ページ:p52


ひとこと:底辺公立高校L高と、有名進学私立高校のS高。この二つは線路をはさんで北と南にあり、交わることはありません。しかし、一つだけ接点がありました。それは北側にあるコンビニ。S高生がバイトすることはありませんが、L高生がバイトすることはあるわけで。
 S高生の優弥は、ある日、写真部の活動で南側の商店街に行き、写真をとっているところL高生にからまれます。しかし、それを助けてくれた女の子がいました。しばらくして優弥はコンビニに寄ってペットボトルを買おうとして、レジでその子を見ます。それが稀星でした。稀星と書いてキララ、まさにキラキラネームのその子と、優弥の人生が交わるわけはなかったのですが……。

 分断ということは、あっちがどういう人なのか、どういう好みで、どういう生活をしているのか知らないということです。実際にこういうふうに北側と南側がきっぱり分かれている町はそうないのかもしれませんが、抽象的にはあり得ることです。
 その二人の接点はなんなのか。
 いっしょにできることはあるのか。
 いったい二人はどうなっていくのか。
 格差社会といわれている今の世の中で、どういう接点があるのかを考えるきっかけにもなる本だと思います。