著者名:鷹匠裕
出版社:KADOKAWA
好きな場所:そもそもムサシ重工は戦前、軍需産業において現在ガリバーとなっている四葉重工と並び立つ存在だった。日本陸軍切っての名戦闘機と賞賛された「隼」を生産した武蔵飛行機に起源を置いている。
所在ページ:p16
ひとこと:戦争中、海軍の零式戦闘機(零戦)と並び活躍した陸軍の一式戦闘機、通称「隼」を製造していた武蔵飛行機の後進企業、ムサシ重工で、広報部に所属し、チームリーダーとして、ずっと自動車のラリーを指揮してきた主人公、光崎哲司は、ラリー部門の縮小のあおりを受けて、まだまだ働き盛りというのに、いきなり窓際族となってしまう。
その光崎を呼びだしたのは、なんと「特機」事業部の企画部長、五十幡だった。
「特機」とは、自衛隊などに納入する軍用品の製造のこと。
実は、光崎の祖父は「隼」の開発者としてよく知られた人物だった。どうも五十幡はその名前に期待しているらしいが、昔と違い、特機製造部門では、ムサシ重工は現在、国内四位。しかも、航空自衛隊の次期主力戦闘機(=FX)の受注合戦では、かの米国ラッキード社に組せず、欧州のEAS社の方に付いてしまっていた。さらに、防衛省では、ラッキード社の機種を選定することが内々に決まっているという。
部長は、光崎に、そのラッキード社から、国内ライセンス生産の受注を取れというのだ。どう考えても、無理難題にしか思えない……。さあ、どうする……。
『帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男』(KADOKAWA)で、広告業界を活写された鷹匠裕さんの企業小説、待望の二冊目です。今度は、重工メーカーのお話です。今回も、前作同様、話題になること必至。
始まりは、なんと、2011年4月とごく最近です。えっ? いつこんなことが? あったっけ? と読み進むうちに、なるほど~~そういうわけか~~さすが~~と。ぜひぜひ読んでごらんになってください。国産品調達の役割がよくわかります。