講談社の新シリーズ「おはなしSDGs」は、SDGs を物語でつづり、子どもたちにも理解してもらうというコンセプトです。
私は、ゴール7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」を担当させていただきました。
いやあ、むっちゃ難しかったです。
その理由の一つは、SDGsというものが国連で採択されるとき、先進国も途上国も一つも取り残さないという決意をもって、難産の結果生まれたものであるということ。
だから、このゴール7にしても国によって事情が全く異なるということです。でもできたら、日本の子どもに肌感覚でわかるように、日本の子を主人公にしたいなあ、と思って。
もう一つは、特にこのエネルギーに関しては、お互い矛盾する判断要素がいくつもあって、一刀両断にはできず、比較衡量の上で、よりよいとしか言えないこと。要素と言うのは、例えば「CO2」「ゴミ」「コスト」「環境」「伝統」「供給力」などね。
でも子どもに総合判断しろと言っても難しいし、反対に一方的であってもよくないと思いました。だって、初めてSDGsに触れる子たちですから。でも物語にしなきゃならないんです(泣)。
それで、私が思いついた物語の構造は「ロミオとジュリエット」。え? と思われた方、ぜひこの本を読んでごらんになってください(笑)。
でも物語であっても、こういうのはいいかげんなこと書いちゃまずいし、一言ずつに根拠がないといけないと思って(校閲さんだって困るしね)、ワードのコメントのところに、あっちこっちの白書や広報や信頼できるソースから、根拠としたURLをそりゃまあいっぱい貼り付けて飛ばしました。多くてだいじょうぶかな、わかってくれるかな、と思いながら。
でも、担当さんが、なんとリケジョでいらしたんです。それで、そのURLのオンパレードをあっさり読み解いて、図表を指示し、またわかりやすーい巻末解説を書いてくださいました。
それからこんなある意味、難しい話だというのに、絵のこばようこ先生が、ふんわり柔らかな絵を描いてくださって。主人公たちが生き生き学校生活をしているようすが、まあすばらしくよく伝わってきます。特にすごいのは、教室が「ぱきーん」となったところ。名前のないキャラも、わわわわ、となっているのがすてきです。それから、私が好きなのは、裏表紙のこの子。さあ、だれでしょう、わかりますか、ということで、読んでのお楽しみ。
シリーズで既にゴール1『みんなはアイスをなめている』(安田夏菜)、ゴール5『すし屋のすてきな春原さん』(戸森しるこ)が出ています。全10巻になる予定だそうです。ぜひ、学校図書館、公共図書館、おうちのライブラリーに加えて、SDGsを知ってください。