2019年12月1日日曜日

「トゲトゲトカゲをつかまえろ!」赤羽じゅんこ

書名:トゲトゲトカゲをつかまえろ!
著者名:赤羽じゅんこ
出版社:国土社
好きな場所:おうおう、とてもいいエネルギーが、いっぱいはいっておる。だけど、どうも気にしすぎるようじゃな。こんなのカッコ悪いとか、まわりにどう見られるかとか、友だちがきずついたらとか、しっぱいしたらとか、考えすぎてしまう。だから、元気にフタをしちまっておる。できないってきもちのフタじゃ。ちょっくら勇気をだして、そのフタをとっちまえばいい。
所在ページ:p64


ひとこと:三年生の虎太郎は、ある日、幻魔流の幻術つかいのジジと名のるおじいさんに話しかけられます。自分の飼っている幻獣、トゲトゲトカゲが逃げだしたというのです。トゲトゲトカゲは、子どもの元気が好物で、子どもにはりついて元気を吸いこむのですが、はりつかれた子どもはイライラしたり、メソメソしたり、いつもと違う態度をとるといいます。
 思いあたるふしのあった虎太郎は、つかまえてやることになってしまい……。

 赤羽さんのファンタジーは、さすが、ほんとうにうまいです。書き手でないとそのうまさがなかなかわからないかもしれませんが、はっとする設定、展開、はらはらどきどき、そして子どもたちがふだんから感じている悩みに沿って、その設定がぴったり映えてくるところです。
 虎太郎も、引用のように言われて、きもちのフタを取ることになります。虎太郎がんばれと応援したくなります。
 幻獣のトゲトゲトカゲの絵がまたいい。赤い目がきれいです。仮想現実に慣れた子どもたちには、リアルにバーチャル(バーチャルでのリアル?)に感じられると思います。
 最後、幻獣つかいをめざせる可能性もあるみたいですから、虎太郎がまた活躍する機会も見られるのかな、続編を期待しています!