2019年10月11日金曜日

「谷中の街の洋食屋 紅らんたん」濱野京子

書名: 谷中の街の洋食屋 紅らんたん
著者名: 濱野京子
出版社: ポプラ文庫
好きな場所: 店の常連である征一さんのことを、私はひそかに紅らんたんのドン・ファンと呼んでいました。

所在ページ: p68
ひとこと:ことづて屋シリーズは、谷中ぎんざのわき道をはいったところにあるレインという美容室を拠点に、ことづて屋の津多恵があちこちに出向く話でしたが、今回はその同じレインで就職先を紹介された奈留美が、同じ谷中にある洋食屋「紅らんたん」で働くお話です。
 マスターは真崎さんという人で、コーヒーを淹れるのは七十四歳の千佳さん。奈留美は接客です。常連のお客さんはみんなそれなりに人生を歩んできた高齢者。男女いればいろいろなことがあり、引用の征一さんは、ダンディーでおしゃれなのですが……。

 就職が決まらなくて困っていた奈留美の働き場所、紅らんたん。谷中という場所の古めかしいこの店を舞台にしたいろいろの事件が、あるある、と身につまされます。年の離れた人たちに、若いのをいいことに、いろいろなことを言いつけられているさまは、まるで介護職についている人のようで、がんばれーといつのまにか応援していますが、でも奈留美がそのうちに自分の人生の展開も見つけてくれてほっとします。