書名: 山の子テンちゃん 空から落ちてきた小さないのち
著者名: 佐和みずえ
出版社: 汐文社
好きな場所: 「テンですけど、そちらでひきとってもらうことはできますか?」
ひづるさんの問いに、
「むずかしいですね。テンは害獣ですから」
という返事ばかりでした。
所在ページ:p66
ひとこと:大分県の山あいにある小さな町、豊後大野市の、とある山寺のてんじょうから、ぽとっという音とともに、こげ茶色のちいさな生き物が落ちてきました。
ボランティアで山寺のそうじにきていた安東ひづるさんは、その生きものがゴミ袋に入れられるのを見て、ちょっと待ってと止め、大分市の自宅にもって帰ります。それはテンの赤ちゃんでした。安東さんはテンちゃんと名付けて、育てはじめます。
テンはイタチのなかまですが、毛皮がきれいなため人間に狩られて数が減っています。
野生に帰さないといけないと覚悟して、テンちゃんのめんどうをみはじめた安東さんでしたが、いざ放すとなると、信じられないことにちゅうちょする自分がいたのです。せめて動物園で飼ってくれないかと問い合わせた安東さんへの返事は引用のようなものでした。さあ、テンちゃんはどうなるのでしょうか……。
表紙のかわいい写真は獣医さんが撮られたものだそうで、写真のいくつかとイラストは私の高校の同級生のイラストレータ、茶々あんこさんの手になるものです。
人が飼育すること、野生に帰すこと、その違いと困難をやさしい文章と写真でわかりやすく描いています。小学校中学年から親しめるノンフィクションです。