2026年1月6日火曜日

『あずきのあらし』しめのゆき(岩崎書店)

書名:あずきのあらし
著者名:しめのゆき
出版社:岩崎書店




好きな場所:こうかんはともだちのしるしなんだよ
所在ページ:p32
ひとこと:岩崎書店の「ひとりでよめるこわこわおばけ話」シリーズ。このシリーズは、一人で本が読めるようになった子のための怪談なので、短いお話が2編と読みやすく、そしてこわいけれどそんなにこわくないようにできています。
 これはその6巻目『あずきのあらし』で、作者は「ティアラちゃん」や「マジカル☆ピアノレッスン ピアノようせいレミー」シリーズでバレエやピアノのような芸術に挑戦する子を描いて人気のしめのゆきさん。
 第一話は表題作で、伝統的な妖怪「あずきあらい」が出てきます。なかよしのタクくんが引っ越すことになり、カイトは、お別れパーティで近所の小川で遊んだのですが、タクくんと引用のように「ともだちのしるし」として交換した大事なミニカーをなくしてしまいます。あったと思って、持って帰ったのですが、その夜……。
 第二話は現代的なお話で、「ペットバッジ」という育成ゲームで遊んでいたナナは、バッジをつけたまま公園に行きますが……。
 しめのさんは、ひとりでよめる怪談シリーズの「こわいがいっぱいおばけのはなし」でも『くびびじんコンテスト』も出されておられて、このシリーズの御常連。芸術だけではなく、お化けのお話のほうもお好きとか。
 たくさんの方に読まれますように!
 

2025年12月23日火曜日

『河童の子守唄』田沢五月(国土社)

書名:河童の子守唄
著者名:田沢五月
出版社:国土社




 好きな場所:それに遠野は昔から、すごく自由だ。オシラサマは娘と馬のカップルだもん。娘と河童のカップルだっておかしくない
 所在ページ:p159
ひとこと:『海よ光れ! 3・11被災者を励ました学校新聞』(国土社)が第70回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書だった田沢五月さんの新刊です。
 遠野の古ぼけた木造の旅館「河童屋」の玄関ロビーの真中に置かれているやせこけた河童の木彫り。背丈は90センチほどで、ひょろっとしています。これは実は木彫りではありますけれど、れっきとした妖怪、河童のカッチャンなのです。
 カッチャンは木彫りから出たり入ったりしますが、出ても普通は人間には見えません。
 でも妖怪同士のコミュニティがあり、そこでは、みんな妖怪は住んでいる家の屋号で呼ばれています。なのでカッチャンは河童屋と呼ばれています。
 妖怪だらけの遠野の町に、奇妙な事件が起きます。どうも「古道具屋」の天狗がかかわっているらしく……そしてそこへ、学者一家がやってきますが……。
 さあ、どうなるんでしょう。そしてカッチャンはやる気のない河童屋の息子一馬を見限って新しい運命に従うべきなんでしょうか……。

 生き生きとした妖怪たちの会話が、すばらしいです。私が遠野に行ったのは、四十年以上前でしたでしょうか。それから今は変わっているのかもしれませんが、きっと妖怪は、この本にあるように人にうっかり見られないように用心しつつも、変わらずいるんだと思います。

2025年12月16日火曜日

「さぴあ」2026年1月号に講演が掲載されました

「さぴあ」2026年1月号に、せんだって参加させていただいた第29回さぴあ作文コンクール表彰式で行った講演のもようが掲載されました。

 『たとえリセットされても』(文研出版)が高学年の課題図書になったことで、呼んでいただいたものです。一般の講演会やサイン会とはまた違う雰囲気、全員がこの本を読んでくださったことが確実という中でしたので、とっても話しやすくうれしかったです。





2025年12月4日木曜日

『ぼくらの教室RPG』白矢三恵(くもん出版)

書名:ぼくらの教室RPG
著者名:白矢三恵
出版社:くもん出版


好きな場所:オレはトーマに教えてやりたい。空気ぐらい読めないと、高学年になっても、きっと、トーマはずっと「ぼっち」だよって。
所在ページ:p27
ひとこと:先月文研出版から『みんなの居場所』を出されたばかりの白矢さん、またまたご出版です。
 四年生の秋人は、ふだんから「低学年じゃないんだから、だれにも合わせようとしなかったら、空気が読めないやつだって、みんなから思われるよ」という考えの持ち主でした。だから、運動神経ばつぐんで、顔もまあまあイケてるトーマが、いつもしらけた顔をしてクラスの子たちとかかわらないのを見て、引用のように思うのでしたが。
 あれ? 空気読んでるはずなのに、なんだか、妙な方向に。
 秋人はこれでいいんでしょうか?
 そんな問題を、RPGゲームにのせて、軽やかに提示されています。

2025年11月28日金曜日

『キンダーブック2 2025年12月号』(フレーベル館)掲載の「くるみわりにんぎょう」詳細

 先日ちょっと写真を上げました『キンダーブック2 2025年12月号』(フレーベル館)掲載の「くるみわりにんぎょう」の一部の掲載のご許可をありがたいことに、いただきましたので、載せます。
 やっぱり写真よりすごくすてきです。
 


 浅倉田美子さんの絵、他のページもすてきです。ぜひお手に取られてごらんください。

  浅倉さんは、なんと『クロワゼ』というバレエ雑誌にも絵を描いておられます。くるみは、バレエの有名な演目ですし、ほんとご縁があってうれしいです。

 朝倉さんのwebページと、Instagramはこちらです。こちらもぜひ併せてごらんください。


2025年11月23日日曜日

『ハリハリモルモはさわれない!』赤羽じゅんこ(国土社)

書名:ハリハリモルモはさわれない!
著者名:赤羽じゅんこ
出版社:国土社


好きな場所:なんと! やられることがあるのか? ハリハリモルモは、まれに、ハリの先から毒をだすとは聞いておった。はれてかゆくなる毒だそうじゃ。
所在ページ:p43
ひとこと:赤羽さんの幻獣シリーズ『トゲトゲトカゲをつかまえろ!』『クスクスムシシを追いはらえ!』に続く三作目です。
 今回は、ハリネズミみたいな形の幻獣、ハリハリモルモが、クラスのみんなに次々ととりつきます。ハリハリモルモにとりつかれると、自分のからにとじこもり、だれとも協力しなくなり、元気もなくなるといいます。
 アキラは、合唱指揮者として、音楽会に向けて練習しようとよびかけますが、みんなにいばっていると言われてしまいます。原因をさぐると、それはみんなにとりついたハリハリモルモだったのですが……引用のように、なかなかてごわく。
 
 ゲームのモンスターはゲームの中だけですが、こんなふうに見えないけれど、みんなにとりついている何かがいるのかも。

2025年11月15日土曜日

『お元気部屋へようこそ』安田夏菜(小学館)

書名:お元気部屋へようこそ
著者名:安田夏菜
出版社:小学館



好きな場所:もっと強うならねば。もっとかしこくならねば。もっとしっかりせねばと、おこられてばかりでのう。わしゃ、そのなっとうの糸みたいなねばねばにからめとられて、息がつまって、とうとう家出をしてしもうた。
所在ページ:p83
ひとこと:せんべい屋のかんばんむすめお咲ちゃん。計算もできて、死んだおっかさんの代わりに家のこともやって、働き者で賢い子。そのようすに感心したお寺のおしょうさんに勧められて、寺子屋に通うことに。
 しかし、ちょっと変わった寺子屋で、お元気部屋というなぞの部屋があり……。
 引用のように、ねばねばをなっとうの糸、というのは落語台本も書かれる安田さんならではの表現で、こんな風にまるで落語のようにどんどんお話はけったいな方向に進んでいきます。いったいどうなるんだろうと思ったところで、なーるほど、という納得の展開。さすがでいらっしゃいます。
 さかいめ、あいまい、って大事ですよね。
 ついつい問題を突き詰めて、ではああしたらいい、こうしたらいいとSNSを含めてみんなで解決をあせってしまいそうな現代に、とっても必要なこと。
 ねばねば言わないように、大人もぜひこれを読んでがんばらなきゃ、あれ? がんばっちゃだめだった(笑)。