2025年7月4日金曜日

『あたしは勇者になれますか?』荒木せいお(岩崎書店)

書名:あたしは勇者になれますか?
著者名:荒木せいお
出版社:岩崎書店


好きな場所:だって、あとになって気づくとさ、気づいていなかった時間を、もう一回、『本当はこうだったんだ』って楽しめるわけでさ、うれしいのが倍になるじゃないか
所在ページ:p97 
ひとこと:四年生の可乃子は、伝説のエクスカリバーとみんなに呼ばれている校庭の抜けないペグを抜いてしまう。そのあとなぜか、手にボタンができてしまう。勇者となった可乃子は、このボタンで何かができるのか? 魔女といううわさの教頭先生は、本当に魔女なのか? そしてこのお話はファンタジーなのか、リアリズムなのか?

 荒木せいおさんの描く小学生は、本当に小学生らしい小学生で、うれしくなってしまいます。アイスクリームを投げちゃった可乃子もそうですが、可乃子が教頭先生に「力になってあげて」と頼まれている晴彦くん、計算問題を解くときに、肩をゆらし、九九の歌を歌わないとだめなんだとか、かわいい。で、だめだめな子かと思えば、引用のような哲学を展開したりして。そんな細かいところですが、ほんとかわいい。どろぼうだと思えば、実はナスどろぼうだったりとかで、その理由にも、脱力しちゃう。
 本物の小学生がここにいて、しかもそれを見る眼ざしがとても暖かい。
 本物の小学生にぜひ読んで欲しいと思いました。