著者名:高村有
出版社:童心社
好きな場所:なんでそんな微妙なできごとをわざわざ覚えているかというと、そのとき、車が、へびを踏んだからだ。ガタンって、車が何かに乗り上げるなまなましい感覚があった。
「うそ、なんか轢いた?」ママが急ブレーキをかけて、車をとめた。
所在ページ:p159
ひとこと:冠雪すると「ガトーショコラ」と呼ばれる浅間山が北に見える町。そこに引っ越してきて母方の祖母と同居するようになった深山朝子は、祖母の花屋「ミヤマ花壇」を手伝うことになる。前の会社をやめたのにはわけがあり。
でも花屋の仕事をしているうちに、ミヤマ花壇にくる子や、配達の途中で会った子や、写真を撮りに行った先で会った子たちと花を介してゆるーくつながっていく。
高村有さんのデビュー作です。朝子ちゃんの出没と花ことばで編む短編連作。何作か読ませていただいたことはありましたが、こうやって一冊になると読みでがあります。
デビュー作には、作家の特徴が凝縮されているとよくいいますが、高村さんらしいゆるさに同居する鋭さが、引用のような筋とは一見関係ないようなエピソードのもってきかたと、人の配置と、意外な展開にマッチして、とてもいい本になっていると思いました。
大型新人の誕生です!
おめでとうございます!
ますますのご健筆、ご活躍を!