2024年7月9日火曜日

『わたしは食べるのが下手』天川栄人(小峰書店)

書名:わたしは食べるのが下手
著者名:天川栄人
出版社:小峰書店



好きな場所:食べるのに苦労してるのは、君たちだけじゃないですよ。『正しく食べる』ことは大人でも難しいことですから
所在ページ:p118
ひとこと:なぜかわからないが、食べるということに抵抗のある葵。会食恐怖症ではないかと咲子に言われる。だがその咲子も、食べることに問題をかかえていた。
 もうひとり、インドネシア出身で許可を得てお弁当を持ってきているラマワティも混じって、給食に関する要望書を出すことに。
 出した相手は、新任でイケメンの栄養教諭、橘川だった。
 橘川は、要望を出すなら、給食のメニューを提案しろと反論する。橘川にとっては、献立とはパズルのようなものらしい。そして引用のようなことを言うのだ。

 単行本も文庫も大活躍の天川栄人さん。先日第48回日本児童文芸家協会賞を受賞されたばかりですが、思春期の子どもたちにまつわるいろいろな問題を、当事者への真摯な取材をされたうえで、物語として提示されつづけておられます。
 今回は、どんな人も大人も子どもも大問題であるところの「食べる」ということについて。そうですよね、小児の発達も、スポーツも、生活習慣病も、老化も、家庭環境も、家計も食べるということからは逃れられません。この二人の少女も対照的に見えますが、実は母子の問題をかかえているという点では共通していたのでした。
 三人はいったいどういう要望書を出すのでしょうか。