著者名:濱野京子
出版社:あかね書房
好きな場所:これまで、本を読むのはきらいではないけれど、特に本が好きなわけでもないと思ってきた。本好きというと、希海みたいな子を思いうかべるから。たしかに、希海みたいにたくさん本を読んではいない。でも、ぼくは自分で思っていたより、本が好きなのかもしれない。
所在ページ:p128
ひとこと:あかね書房の濱野さんの本『わたしたちの物語のつづき』では、『妖精リーナの冒険』という手作りの本が、キーになっていました。
今回も手作りでありながら、図書館に入っているという『妖精リーナの冒険』が出てきます。
主人公の柊斗は、父がサッカーファンでシュートという名前をつけられたぐらいなのですが、実はサッカーにはあまり興味がないのです。でも、引用のように、自分が特に本が好きではないと思っていたのに、『妖精リーナの冒険』と出会ったことから、いろいろ本の作りを調べてみたいと思うようになります。そしてこの本を作った先輩たちに会い、さらに本はどうやってできているかを博物館に行って知りたいと思うようになるのでした……。
本というものは、普段、意識して思っている以上に文化的な意義のあるもので、人の歴史上、重要な位置を占め、それにかかわる人々もたくさんいるのです。
柊斗は、文を書く人、絵を書く人以外にも、編集という仕事があることを知り、また本の造りや、印刷の歴史、製本や活字などの仕組みも知ることになります。
とっても大事なのに、意外に知ってる人がない、本のでき方。作られかた。
それを知ることで、柊斗は、家族の中での自分の位置も再認識することになっていきます。
引用のように、本好きと自分で思っていなくても、調べ物が好きという人、装丁が好きと言う人、いろんな人がいるし、いろんな本へのかかわり方がありえることがよくわかる本です。