著者名:森埜こみち
出版社:国土社
好きな場所:「脇締めろ。電柱はなんもしねえが、人間だったら、手ぇ、入れられるぞ」
所在ページ:p82
ひとこと:山田凡は綾瀬川小学校の六年生。学校対抗の相撲大会の個人戦で、相撲道場に通っている別の学校の兄弟にぼろ負けします。次は秋の大会で、団体戦です。去年は綾瀬川小が優勝して、優勝旗が校長室に飾ってあるのですから、負けられません。
そこでいろいろ考えるのですが……。
『こんなときは!』(銀の鈴社)という詩集も出されている森埜さん。「一章 ボーゼンが胸の中にいすわった」とか章タイトルがむちゃくちゃすてきです。相撲ともう一つ、駄菓子屋さんでのくじ引きが大きなモチーフで、それが最後にはつながるのもすてきです。
何よりいいのは、駄菓子屋さんの主、わしやこと権蔵じいさん。この人はキーマンなのですが、まあまあ一筋縄ではいきません。
さて、団体戦はどうなるでしょうか。
デビューされたばかりと思いきや、どんどん本を出されている森埜さん。それまでにたくさん書いてこられたからこそと思います。ますますのご健筆を!