著者名:高山榮香
出版社:銀の鈴社
好きな場所:「いくら、年金暮らしのひとり者だからってよう、廃線と聞いて、頭にきたのと違うか」
所在ページ:p15
ひとこと:米寿とあとがきに書いておられるので、ほんとうにそうかなとびっくりしました。高山榮香さんは「サークル拓」の同人でいらして、ほんとうにお元気な方。それでもこの二年、一日三十分しかお座りになれなかったそうで、そんななか、どうにか一、二時間かけるようになった、とおっしゃっておられます。それでこの短編7編からなる本をお出しになるという、そのバイタリティすごいです。
サークル拓の最上一平さんが、解説を書いておられますが、「高山さんは、貧しい家庭であっても、不器用な人であっても、生きることに前向きであれば、必ず道は開け、しあわせな日々がやってくることを、どのお話でも描いています」というこの文章がほんとうに、髙山さんのお作品をよく表していると思いました。
引用は最初の「ひまわりの里」という短編です。無駄口はたたかないけれど、冗談もまともにとって、ぶすっとして融通が利かない、と母親に言われる男が、廃線となった路線の駅の近くに土地を買って、ひまわりを植えます。みんなは馬鹿にしたのですが、このひまわりは有名になり……。
どれも、長い人生で、いろいろな人を見てこられた高山さんならではのお話です。