著者名:塚崎公義
出版社:祥伝社新書
好きな場所:教養科目が不要な科目だというわけではなく、たまたま昔の採用担当者が教養科目を重視しなかったことが今まで影響を及ぼしているだけかもしれませんね。
所在ページ:p127
ひとこと:東大で同級だった塚崎さんが、日本興業銀行(現みずほ銀行)にお勤めだったのですが(その間、UCLAでMBAを取られた超優秀な方です)その後久留米大学の教授になられて、さきごろ退職されました。塚崎さんには経済学関係のご著書がたくさんあるのですが、今回は、ご退職を機に、大学での経験を、企業人としての経験と比べられて、本書をお出しになりました。
企業にお勤めで、これから教えるほうに転じたいとお考えの方には、具体的なノウハウがいっぱいつまった、とても実践的な本だと思います。
私は大学で教えてるといっても、非常勤講師なので、しかもとってもたくさんおられるうちの一人なので、大学の運営や、研究者さんがたのようすなどはぜんぜんわかりませんけれど、引用のところはすごくうなずけます。
東大では塚崎さんと全くちがって、落ちこぼれだった私、その後の人生も習った専門知識という観点からはぜんぜん無駄だったともいえます。
でも大学のありがたかったところは、とにかく無駄な幅広い教養と、だれひとり考えたことのないような新しいことを考えるときのやりかたを教えてくれたところだと思っています。当代一流の学者さんばかりで、私なんかに講義するのはもったいないことだったとしても、頭の中にたくさんの引き出しを作ってくださって(中身はまだ空だったとしても)、さらに自分で新しい引き出しを作るにはどうしたらいいのか教えてくださった。
実は同じようなことが児童書にも言えるよな、って。
昔、世界名作文学全集のようなものがあって、今はなくなってしまいました。たぶん買っても読まないからじゃま、っていうことだと思います。今は、お話365日みたいなものはありますが、基本的には単体で、好きなものだけを選んで読むという方式になっています。読む本はほぼ借りていますよね。
それもいいんですが、置いてあって背表紙を見るだけで(図書館で借りるのではなく)も何かの力を頭の中に入れてくれたと思います。世の中にはこんなものがあるんだぞ、と見せるというか、引き出しを作るというか。家にある本というのは、読まなくてもあるだけで、借りた本とは違う力があるんだよと、大きな声で言いたいです。まあ話はそれましたが。