2021年9月5日日曜日

「ぼくらのスクープ」赤羽じゅんこ

書名:ぼくらのスクープ
著者名:赤羽じゅんこ
出版社:講談社




好きな場所:新聞では書けないこと。
証拠がなくて抗議できないけど、くやしかったり、いやだったりすること。
そんなことこそぼくたちには共感できて大事な気がするのに、そこに手が届かない。
所在ページ:p103
ひとこと:五年生のいだっちっこと井田敦也。クラスで新聞係をつくって学級新聞を出したいと思い、新聞係を募集した。ところが、みんな新聞を読まないとか、とっていないとか、難しそうとか、マンガとかのほうがいいといって応募しない。ただひとり手をあげてくれたのが、魔王こと堤奏太だった。
 ところがいだっちは真実を新聞に載せたいと思っているのに対し、魔王はレイアウトされた読みやすい誌面さえ作れればいいと思っている……。
 さて、この二人の作る学級新聞は、どんなものになるのか。

 最後にちゃんといだっち、魔王の作った新聞が載っています。
 真実とはなにか、証明するということはどういうことか、たとえ真実だとしても載せてほしくないひとがいるときは? いろいろな問題が、ぎゅっと詰められていて、かつどきどきはらはらと、謎解きもあって、おもしろくかつ社会を見る目が養われる本です。
 赤羽さんは幼年の名手でいらっしゃいますが、私は「なみきビブリオバトル・ストーリー」シリーズという高学年・中学年もので、企画からごいっしょさせていただきました。ほんとに大事なことを押さえ、アイデア豊富で、かつ妥協しない姿勢にはとても勉強させていただきました。その赤羽さんのすばらしさが余すところなく出たご本だと思いました。