2021年8月25日水曜日

「北里柴三郎 伝染病とたたかった不屈の細菌学者」たからしげる

書名:北里柴三郎 伝染病とたたかった不屈の細菌学者
著者名:たからしげる
出版社:あかね書房



好きな場所:北里くん。学問にえんりょや同情はいらない。正しいことを正しいと主張し、まちがっていることはまちがっていると断じることが、学問にとっては大切なんだよ。
所在ページ:p40
ひとこと:北里柴三郎は細菌学者で破傷風菌の純粋培養をした人だ、ということは知っていましたし、柴三郎の設立した北里研究所は、当時、細菌研究では世界的に知られていて、あの野口英世もアメリカに行く前は、柴三郎の元で働いていたということも知っていました。
 でも、こんな方だったんですね。まさに肥後もっこす。
 引用のように、先輩が発表した「脚気病原菌」を否定して、当時の日本で主流だった森鴎外なども含む医学者たちから非難されますが、我が道を行くことに決めるのです(ちなみに脚気はご存知のようにビタミン欠乏症とあとでわかる)。それには福沢諭吉の力が大きかったという。
 ほんと今こそこの本を読むべきときだと思いました。
 いくらだれが唱えようと、どんな人間関係があろうとも、科学というのは、結果がすべてです。
 それが今起きていることだと思います。

 読み終えて考えてみても、柴三郎にしても、ツベルクリンが結核の新治療薬になると考えていましたが、今なら当然わかるようにそれは判定に使われるだけで、薬にはなりませんでしたし。
 北里研究所で細菌の研究を学んだ野口英世にしても、細菌というものにとらわれてウイルスを発見しきれずに、黄熱病の細菌を発見したと思っていました(し、その発見を元にワクチンも開発され、接種もされたのですが失敗だったのでした)。
 ほんと、いろいろな研究がなされながら、あるものはうまくゆき、たいていはうまくゆかずに、人間は進んでいくんですね。
 だから、まるでドラえもんのポケットみたいに「ワクチンを出して」「特効薬を出して」と言ってみても、すぐに出てくるものではなく、それが出てきたとして、それは研究できる場を作ることも含めて、だれかのたゆまぬ努力にかかっているのだ、ということを忘れちゃいけないと思いました。

 子どもさんがたに、ぜひ読んでいただきたいです。