2021年3月14日日曜日

「サイコーの通知表」工藤純子

書名:サイコーの通知表
著者名:工藤純子
出版社:講談社



好きな場所:だから、みんなには、後悔しないでほしい。どんな夢でも、堂々と発表してほしいし、笑ったりする人がいたら、それは間違っていると思うから
所在ページ:p84
ひとこと:四年生の朝陽は、三学期の始業式に、友だちの大河に通知表を見せろと言われて、断ります。朝陽には、通知表に関してコンプレックスがあったからです。それは、いちばん左の「よくできる」と、いちばん右の「もうすこし」が一つもなくて、まんなかの「できる」しかないということです。朝陽としては、これは、自分がよくも悪くもない人間だと言われているようで、いやなのです。
 一方、担任のハシケン先生は、先生になって四年目らしいけれど、大学生みたいでどこか頼りない人です。
 朝陽たちは、ひょんなことから、先生にも通知表があっていいのでは、と思いつき、三学期の終わりのお楽しみ会で、ハシケン先生に渡すことにしようと動きはじめます。
 自分たちでつけようと考えると、通知表の目的や、通知表の項目や、評価のつけかたが気になって……。さてハシケン先生は、子どもたちから見て、どんな先生なのでしょうか。

 頼りないけれど、自分のことを素直に反省したり、引用のようなことを言ったり、他の先生に叱られたりするハシケン先生がすてきです。おかげで朝陽も、自分の夢に対して正直でいられることができました。
 親としても学校を卒業してずいぶんになる私も、子どもが3人いるうえ何度も転校までして、たくさんの先生に出会いました。他の親御さんたちがいろいろおっしゃっておられるのを聞きもしましたが、やっぱり当時も、あとから考えても、ありがたかったのは子ども本位の方だったなあと思います。大学などでは学生が評価するということが行われています。それが実際に役に立つのかどうなのか、よくわかりませんが、ともあれ、子ども本位の先生が、なんらかの方法で、もっともっと報われますように。