2021年1月29日金曜日

「アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士」おおぎやなぎちか

書名:アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士
著者名:おおぎやなぎちか
出版社:くもん出版
好きな場所:田村麻呂が「ふたりを故郷に帰し、残りの抵抗勢力(エミシたち)にも安心して投降できるようにしたほうがよい」と意見をしたとあるのです。



所在ページ:p230
ひとこと:アテルイは、エミシのサヌ村の長カンガを父に生まれたのですが、父は長として厳しいだけでなく、息子にとっては大変な人でした。いろいろなことが起きて、アテルイは村を逃げだし、イサ村のヤソシマという男の家で育ちます。時は奈良時代。朝廷は、多賀城を拠点に、日高見川ぞいに北上し、エミシに対する支配を広げようとしていました。エミシも負けていません。戦いが続きます。中には朝廷に服従する村も。服従するエミシとあくまで抵抗するエミシとの間に戦いがあることもあり……そんな中、アテルイは成長していきます。

おおぎやなぎさんは東北にこだわって書かれている作家さんです。エミシの勇士アテルイについては、『日本紀略』にわずかな記述があるだけとのこと。その中でもあとがきにあるこの部分に、坂上田村麻呂とアテルイの絆を感じ取り、物語を書かれたのでしょう。
征夷大将軍という聞きなれた称号が、実はエミシの征服にかかわる役職であったこと、改めて思い出させてくれる物語です。