著者名:森絵都
出版社:小峰書店
好きな場所:うちも真紀ちゃんも悪なくて、あかんのは馬や。
所在ページ:p31
ひとこと:光村図書小学校教科書「国語6」に掲載された「帰り道」を巻頭に、主人公もテイストも全く違う8つの短編が掲載されています。全く違うのに、気持ちが途切れることなく最後まで一気に読めるのがすごいです。
イラストも各編、それぞれ違う画家さんが担当して、カバーも違う方。各編の最初に見開きで大きなカラーイラストがあって、それがまるで表紙のようで、ぜいたくな限りです。
なので、絵も含めて、次はどんなお話かな、と楽しみに読めます。昔は少年少女世界文学全集というのがあって、こんな風に次はなんだろうとうきうきしながら読んでいたっけ。でもこれは一人の作家さんの作品ですからすごい。
こんなこと子どものころ考えてたな、引用のようなことだれかに言ってもらっていたら楽だったのにな、と思うことばかり。加えて各所に意外な展開が。いやあ、おもしろかった。
などと感心してばかりですが、先日私ども季節風の編集会議で、短編として仕上げることについて話題になったばかりです。仕上げることにとらわれては、無難なばかりで、ちんまりしてしまいます。ですが、書きたい気持ちばかりでは、気持ちだけからまわりで、内容はばらばらで。長編になるような内容をつめこんでも短編にはならないし。やっぱり内容が一番ですが、それでも仕上げ感は大事だと私なんかは思います。でもなにをおいてもこれが言いたかったの、っていうユニークな肝がなにかなければ個性のある作品にならない。難しいです。本当にこういうの、書き手としてお手本にしたいです。