2020年8月31日月曜日

「れいとレイ ルック アット ザ ブライトサイド」うちやまともこ

書名:れいとレイ ルック アット ザ ブライトサイド
著者名:うちやまともこ
出版社:絵本塾出版


好きな場所:「さあ、おとなりにあいさつに行くぞ」
 まずはおとなりさんにあいさつするのが日本の習慣だと、日本の会社の人に教えてもらったらしい。
「ウェン イン ローム、ドゥ アズ ザ ローマンズ ドゥ(When in Rome do as the Romans do.)」(ローマにいるときはローマ人がするようにせよ)
所在ページ:p8
ひとこと:十歳の女子、れいの家のとなりにひっこしてきたのは、ロサンゼルスから来た一家でした。あいさつに来てくれたのですが、同じ年の男の子がいて、なんと名前も同じレイ。学校は違いますが、なにせおとなりですから、会えば話もするし、いっしょに遊ぼうということにもなります。でもれいは英語がしゃべれません。レイのほうも日本語ができません。さあどうなるでしょうか。

2018年に雑誌『児童文芸』に連載された「ルック アット ザ ブライトサイド」が本になりました。おめでとうございます! ご自分も海外でお子さんを育てられた経験のある作者のうちやまさんです。引用のようにあちこちに、子どもがちょっと覚えておくとあとあと役に立つような英語の表現がちりばめられています。
 ですがなにより大事なのは、そういう知識ではなく、外国語との向き合いかたが描かれていることです。
 たとえばももかちゃんは、日本語しかしゃべれないのに平気で日本語でどんどん話していますが、それでも通じているようです。ひなちゃんは、おとうさんに教えてもらった英語の文章を丸暗記していますが、相手の言うことがわからないのに、なんで話になるかといえば相手がイエスかノーかでこたえられる質問を選んでしゃべっているからです。
 れいはちょっとわかった英語の言葉をかんちがいして、ひどいことをしてしまいます。でも反省。言葉の意味にとらわれすぎていた、相手がどんな人だかわかっていたんだから、それを思えばかんちがいすることなんてなかったはずだったのにと思うのです。
 コミュニケーションは、言葉だけでするものじゃない、まずは人と人のつきあいなのだから、わからなくてもこんなふうにしたらいいんだ、ということがよくわかるお話です。
 語学、覚えなくちゃ、と思う前に、ぜひぜひお子さんがたに読んでもらいたいな~~と思います。