2019年2月11日月曜日

「ボクはあかりの“マモル”だよ」岡田なおこ

書名:ボクはあかりの“マモル”だよ
著者名:岡田なおこ
出版社:私家版
好きな場所:ボクをたすけようとして、あかりは ハデに ころんだ。
所在ページ:p15

ひとこと:野間児童文芸新人賞を受賞された『薫 ing』(岩崎書店)の作者、岡田なおこさんの新作です。岡田さんは、『薫 ing』で障がいのある主人公が、まったく普通の高校生としてまっすぐ生きていく姿を描かれた、ご自身も障がいを持つ作家です。
 私は周囲にたまたま岡田さんと同じような種類の障がいのある方が身近にいなかったのですが、加藤純子さんご編纂のアンソロジー『頭がよくなる10の力をのばすお話』(PHP研究所)に同時掲載していただいたのをご縁に、すごい大先輩なのに、名前を憶えていただいて、文学の会でお目にかかったら、森川さ~~んと、お声をかけていただくようになって、それではじめてわかったのが、障がいなんて気にしないで普通の知り合い? 友だち? になっていいんだなっていうことです。そのぐらい岡田さんは、こちらの気遣いや遠慮をふっとばしてしまうようなエネルギッシュな方で、かえって私のほうが体だいじょうぶですか、って気遣っていただくこともあるぐらいで、ある意味うれしいというか、爽快というか。
 その岡田さんの生き方やポリシーは、私がお目にかかる前にとっくにもう『薫 ing』の中に現れていたのですが、今度の『ボクはあかりの“マモル”だよ』にも、もちろん反映されています。むしろ岡田さんにとっては、特に障がいについて書かなくても私は作家として普遍的な心情心理を描けるのよという自負もあるにちがいないでしょうが、でもやっぱり障がいのある人の気持ちを広く伝えたいというのが一番優先するということで、書かれたものではないのかと、思ったりました。

 体があんまり動かないあかりは、みんなと遊ぶのが苦手です。でも親は外で遊びなさいと言います。あかりのともだちは自分は親が忙しくてかまってもらえないのに、あかりがいつも親といっしょなのをうらやましいと思っています。
 どちらも、こどもらしい正直な気持ちと思います。
 そこに来たのが、犬のマモルです。
 マモルは名づけのときからあかりを守ってくれるのではと期待されています。あかりはマモルの世話は自分でやるとはりきりますが、うんちの世話もブラッシングも大変です。
 あかりがマモルを散歩につれていったとき、事件は起こります……。

 岡田さんは、児童館で交流をはじめて20年にもなるそうです。その中で、児童館のお子さんたちに読み聞かせをしながらこのテキストを書き直し、画家さんのサカイノビーさんの描かれた線画に色塗りをしたり、画家さんの絵でない2枚の絵を描かれたのも児童館に来ている子どもさんがただそうです。

 それだけではなく、この物語を中学年向きに書き直したお話が、夏には汐文社さんから出るとのこと! すばらしいです。岡田さん、これからも私たちの先輩としてどうぞよろしくご指導ください!