2018年7月16日月曜日

「ぼくたちのP(パラダイス)」にしがきようこ

書名:ぼくたちのP(パラダイス)
著者名:にしがきようこ
出版社:小学館


好きな場所:「ぼくは、山にはまともになりにくるんだ」
「まとも?」
「下では理屈やら、しばりが多くてさ、窮屈になる。それを取っぱらって、自分のほんとうに大切に思っていることに会いにくる。食べて、歩きに歩いて、体を動かして、寝る。ただそれだけ。でも、それだけで、少しはまともになるかなって思ってさ」
所在ページ:p164
ひとこと:帯にもありますように、小学館児童出版文化賞を取られたにしがきようこさんの最新作です。
 中学二年生の雄太は、転校をしてきたばかりです。人生で四度目の転校ですが、人見知りでいつものことながら、なかなか新しい人間関係に慣れません。夏休みになって、両親が結婚式の出席のためにでかけることに。そこへ、母の弟であるおじさんがいっしょに「別荘」に行かないかと誘います。
 二つ返事で行くと言った雄太でしたが、その「別荘」とは……。

 山での生活がていねいに描かれています。いつでも結論を探してしまう現代生活から離れて、こんなところで一週間暮らしたらどうしたらいいんだろう、と考えてしまいました。スマホもパソコンもなかったら、本当になにしていいか困ってしまうことでしょう。なかなかこういう体験ができる機会はありませんが、雄太によりそって、本の中でやってみるのもいいのではないでしょうか。
 ちなみに私も山は好きです。とくに何の山を征服ということではなく、高山に登るというわけでもなく、ただ山の中を歩くだけでいいのですが。中学、高校のときに学校で何度も登らされたからだと思います。でもどこがいいのかといえばよくわかりません。特に自然が好きというわけでもなく、動植物に詳しいというわけでもなく。たぶん、引用の言葉のようなことなんだろうなと思いました。