季節風2016年秋号に、『アサギをよぶ声 そして時は来た』(偕成社)の書評を、児童文学作家のおおぎやなぎちかさんが書いてくださっています。
「一人として無駄な存在がなく、張り巡らされた糸は複雑だが、しっかりと一枚の絵を描き上げている」
「主人公アサギの魅力は圧倒的なパワーで私達に迫ってくる。(中略)だが、アサギだけが突出しているのではなく、周囲の人間を無駄なく描いているからこそ、世界が立ちあがっているのだ」
「そこには普遍的な人のありかたが見え、そこには自国を守るために他国を貶めたり、人を犠牲にしたりする場合もあるという人類の歴史もまた浮き上がってくる。死と直面する場面も不可欠だった」
「三年を経て物語が完結した今、改めて再評価を希望する。アニメ化にも適している作品だと思う。アサギのダイナミックに動く姿や歯をくいしばる表情が目に浮かぶではないか」
などと書いてくださっています。
うれしいな。同じ季節風のおおぎやなぎさんには、最初この形でない時から読んでいただいて応援してくださっていたので、余計にうれしいです。
「アニメ的」というのは、最初にこの物語の原型になる物語を、季節風の秋の大会に出したときから言われていることです。作者本人はそう思わなかったのですが、けっこう言われます。
あと思わなかったのによく言われるのが、村の群像が見えるということでした。人を描けというのが、季節風に入った時からしつこく言われていることです。もしも主人公以外のひとびとが見えたとしたら、うれしいと思います。