2014年6月12日木曜日

「あの日とおなじ空」安田夏菜

書名:あの日とおなじ空
著者名: 安田夏菜
出版社: 文研出版
好きな場所: ゴーヤ爆弾、ほんものの爆弾になれ!
所在ページ: P89
ひとこと:
 季節風の先輩、安田夏菜さんが相次いで二冊のご本を出版されました。
 

 こちらは中学年向きで、第二次世界大戦の特に沖縄戦が主題のご本です。

 私ども子どものころは、わりと昔の話でも読んだような気がしますが、聞くところによると今の子どもさんがたは、昔の話はなかなか読まれないとのこと。それに私など生まれたころ...はもう戦後ではないとはいえ、学校の先生にも予科練にいたひとがいたり、町のお医者さんにも軍医あがりのひとがいたりして、そういうことが耳に聞こえるような雰囲気がありましたが、今はそれもない。なので、なかなか昔の、それも戦争の話をするのは難しい雰囲気があります。それに、学校で歴史というものを習っていない中学年の子に解説なしに昔の話にひきこむのはいちいちたいへんです。

 それをこのお作品では、引用のように、ファンタジーという形をとって、現代の子に戦争の一部を体験させ、あの場にぼくがいたら、ということを考えさせています。とても構成としては難しいことですが、こういう工夫はとても大事な時代になっていると思います。

 それにしても学徒動員というのは知っていました。でも学徒動員でも18歳です。それが沖縄では通信隊という形で15歳以下でも動員され、攻撃の任務もということはほとんど従軍ですが、それで約半数がなくなっているなどということは知りませんでした。


 現在、世界のあちこちで少年兵というのがあってとても問題になっています。だれが戦争に行くのもつらいことですが、とくに少年が問題になるのは、まだ価値判断が定まっておらず、むごいことを平気でできるからです。 そしてそういう環境で育つと、精神形成におおきな影響を与えるからです。ゆえに、昔、日本でもこういうことが行われていたということは、忘れてはならないことだと思います。