2015年3月7日土曜日

「四年変組」季巳明代

書名:四年変組
著者名: 季巳明代
出版社: フレーベル館
好きな場所: 人間は、ここぞ、というときに、がんばり玉を作れる生き物なんどすえ
所在ページ: p62
ひとこと:『ひげなしねこ』や『じゅんばんこ』など幼年絵本では定評のある季巳明代さんが、中学年向けの本を書かれました。
 変わりもののいっぱいいる四年二組の子どもたちのお話です。
 「自分だけが変?」という帯がありますが、ほんとうにそんな変な子が出てくるのかなと思えばそんなことはありません。ごく普通の子、だけど一人一人が、ちゃんと一人一人違うというだけ。でも一人一人がちゃんとかわいくて、それぞれが精いっぱい考えていて、でもリアリズムかといえば違う、ふしぎなことが現実とシームレスに起きるファンタジーでもあり、そして先生はピアニスト、ある子のおかあさんはタレントさんだったり、子ども用の人気雑誌の編集者さんだったり、おとうさんはお医者さんだったり、お笑い芸人だったり、子どもたちには夢のようなすてきな設定です。ですが、中には、引用のように心に残る言葉が、ちゃんとちりばめられています。

 こみねゆらさんの絵もすてきです。6話の主人公の絵が右ページに必ず書いてあって、だれのお話をしているのかすぐにわかるようになっています。こういうしかけって、心配りというか、うれしいんですよね。

 がませんせいこと、季巳さんは長いこと保育園の先生をされていた方、たくさんの子どもさんがたの大きくなった姿を見てこられてこその、それぞれの個性だと思いました。