2013年1月7日月曜日

「おまけ鳥」飯田朋子

書名:おまけ鳥
著者名:飯田朋子
出版社: 新日本出版社
好きな場所:だけど、本にばかり振り回されたらその子をみる目が曇ってしまう。大事なことだけ押さえて、楽しく暮らすのが一番
所在ページ: P84
ひとこと:飯田さんは、障害のある登場人物と、いわゆる健常者のそのきょうだいを描くことにこだわっている方です。

飯田さんは、「だんご鳥」(新日本出版社)では、知的障害のある姉とその弟を、「シャトルバスに乗って」(新日本出版社)では、同じく知的障害のある姉とその妹を扱っています。どちらも知的障害のために、非常に行動にくせのある姉が出てくるのですが、物語としての扱いは違います。だんご鳥はあくまで姉の気持ちを軸に、シャトルバスでは妹の気持ちを軸にしています。

今回は、シチュエーションは「だんご鳥」の続編で、少し大きくなった姉、こと「おねいちゃん」とぼく、そして家業のラーメン屋を描いていますが、その軸はこんどは個々のみんなの気持ちというよりは、障害者と共にする暮らしのあるべき姿というものにあるような気がします。引用は、おばあちゃんが、新しくラーメン屋を手伝うようになった自閉症の芳くんについて語るところです。おばあちゃんは、昔、おねいちゃんの障害を知って本を読みまくったのですが、結局のところ暮らしの中でそういう結論にたどりついたのでした。これはほんとうに障害のあるなしにかかわらず、子育て全般に言えることだと思います。大事なことはやっぱりユニバーサルなのでした。

芳くんはおねいちゃんの指導により、ぎょうざの鳥を作るのですが、そのようすが本にはこと細かに描写されています。ところで、飯田さんは、児童文学の作家さんであるだけでなく、町の絵画造形教室の主宰という顔もお持ちです。年齢を問わず、大人から子どもまで、たくさんの人が集う教室。そのブログを拝見すると、ユニークなご指導によって現代生活のストレスを解消してゆく子どもたちの姿が、いかにも子どもらしい発想の語録にささえられながら目にうかんできます。ぼくの家のぎょうざつくりは、実は飯田さんの教室なのではないでしょうか。おそらく教室では、この本のように、ひとときながらも、力こぶのはいらない「共にする」暮らしのあるべき姿というものを現出されているのではないだろうかと想像したりしました。

飯田さんの教室のブログはこちらです。
http://d.hatena.ne.jp/hatekunn3333/