2011年9月1日木曜日

「注文の多い料理店 銀河鉄道の夜」予告

書名:注文の多い料理店 銀河鉄道の夜
著者名:宮沢賢治
出版社:集英社みらい文庫
好きな場所:宮沢賢治のすべてをこの一冊で! 『セロ弾きのゴーシュ』『風の又三郎』など、賢治の代表作ばかりを収録。べんりな『読書のコツ』付き!
所在ページ:帯

ひとこと:前回同じみらい文庫『坊っちゃん』(夏目漱石)では、現代語訳というか文体はなるべくそのままで現代にもわかりやすくという書き換えにチャレンジさせていただきましたが、来週発売のこのみらい文庫『注文の多い料理店 銀河鉄道の夜』では、作者宮沢賢治は、詩人でもあり、また時代も下がっていることから、書き換えはちょっと……ということもあったか、原作をそのまま、若干漢字をひらき、現代かなづかいにし、句読点は誤読を防ぐために加えたという程度で掲載されています。
でも、それではやっぱり今の子どもには敷居が高い場合もあるかもしれない、ということでこの本にもちゃんとしかけが。  私はそのしかけを担当させていただいております。つまり語注の文と、解説、それから「べんりな『読書のコツ』」というのがそれです。

前回の『坊っちゃん』のときに、私はあとがきで、今回坊っちゃんはアウェイで現代に来てもらったけど、ぜひそのうちホームで見てほしい、そのためにはちょっとコツがいる……などと書いたからでしょうか、それとも偶然でしょうか。編集者の方が、みらい文庫には決まって設けてある巻末のお楽しみ(レシピだったり、虫の飼い方だったりします)を、今度は『読書のコツ』にしましょうと。


それで何を入れるかと考えたところ、やっぱり難しくて長い本を読みとおすには、たとえば長い行列で待つときのように、あるていど先が見えるということも大事ということで、ネタバレをおそれず、あらすじをつけ、またそれぞれが疑問に思うだろうような点について、なるべく原文を参照しながら見てもらえるよう、表や、登場人物(?)紹介、物語にそった日程表などを編集の方と相談しながら作りました。そういう相談はえてして手間なものですし、実際けっこう大変でしたし、あまり長くなってもいけないので、コンパクトにおさめるのは非常に難しかったですが(子どもさんがたに説明してあげたいことがたくさんありすぎて)、編集者の方もがんばられて、たぶんあまり他にないしかけができたのでは、といっています。


私が童話集『風の又三郎』を買ってもらったのは小学一年のとき。ませた子で字面は読めたので、確かにぜんぶ読みましたが、よくわかりませんでした。でもそのときわからなかったことが、大人になれば、なーんだということもあり、そういう経験をふまえて、なるべく子どもさんがたの名作へのかけはしになるよう、がんばってみたつもりです。

私のことを離れても、この本は
『やまなし』
『どんぐりとやまねこ』
『注文の多い料理店』
『セロ弾きのゴーシュ』
『よだかの星』
『風の又三郎』
『銀河鉄道の夜』
『雨ニモマケズ』
と、いわば賢治のオースルター戦の様相を呈しており、また、絵の北沢夕芸先生もみごとにこの無国籍な賢治ワールドを幻想的にかつわかりやすく視覚化してくださっており、ほんと買って損はない、お得な一冊だと思います。

ということでどうぞよろしくお願いします。