2011年2月3日木曜日

児童文芸2・3月号

書名:児童文芸2・3月号
著者名:日本児童文芸家協会
出版社:銀の鈴社
引用箇所:著者インタビューによれば、プレヴォーは大人の歴史ミステリーを書いていたが、たとえば筋立ての現実味や警察の手続などの大人向けジャンルのルールにとらわれずにのびのびと主人公を動かしてみたくなり、子どもの本を書く気になった。正確な歴史を背景としながらも、自由な創造力を駆使して描き、子どもたちに「歴史っておもしろいんだ」と思ってもらいたかったそうだ。
所在ページ:p58
ひとこと:「時の書」シリーズ(くもん出版)の原書の海外での評判を、ということで私が書かせていただいた文です。

今号の特集は「時代ものの楽しみ」で、編集委員さんがたのご慧眼というか、なるほどこの記事はこういうふうに全体とリンクしていたのかと雑誌が来てはじめてわかりました。今号は、この著者と同様に、歴史を背景としながら、自由な想像力を駆使するということのおもしろさを、諸先生方がみなさま熱く語っておられるのですね。

それにしても、この著者はフランスの方ですが、私はインタビューを読みながら、子どもに歴史っておもしろいとおもってもらいたいという気持ち、これは洋の東西を問わないんだなあと思ったのでした。自分がおもしろかったことをなんとか伝えたいのは私のようなものでも同じです。路地でキャッチボールしているおとうさんがたと同じような。最近は負担が大きいし、外国人の名前も地名も、事象も、子どもにはなじみがないので世界史はやらなくってもまあまあすごせるようになっていて、うちの子たちも実はそうだったのでしたが、世界史こそが、今自分たちの置かれている状況を認識して日本の将来を予測するのに、大事なんじゃないのかなあとも思います。たしかにもう忘れちゃったけど(爆)、骨組は体に残っているから。

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ともあれ、今号も知っている方々の力作が読めてすっごくうれしい。

赤城佐保さんの創作「花かんざし」とにかくお上手、すごい、しっとりとして、世界があって。もっともっと読みたい、読み終えるのが惜しい感じです。
堀米薫さんの創作「三角」は、三角ってなんだろうと読み始め、あ、あれだ!と。農家のお嬢ちゃんの苦労と気遣いがけなげでうるうるです、やっぱり現場におられる方は描写に迫力があるなあ。
松井ラフさんの創作「ふたりは、花もよう」は、「そよ風コンクール」の堂々一位になったお作品で、女の子二人の関係をこまやかにかいてとってもきれい。そよ風コンクールは研究会員対象のコンクールで一位になると正会員に推薦していただけることになっているのですが、松井さんはそれよりも先になんとつばさ賞で優秀賞をおとりになってしまって、もうすでに正会員でいらっしゃるのでありました。

他にそよ風コンクールでは佳作に福田徳子さんの「黄色いかさ」が入っておられて、すごい。

そよ風コンクールは第2回も募集しておられます(p10)