2017年7月29日土曜日

「ぼくらがつくった学校」ささきあり

書名:ぼくらがつくった学校
著者名:ささきあり
出版社:佼成出版社
好きな場所:いま、子どもたちに必要なのは、学校や住宅、公園といった「カラダ」の居場所を取り戻すことと、「自分も役に立っている」「ここにいていいんだ」と思える「ココロ」の居場所をつくることの両方だ。
所在ページ:p70
ひとこと:岩手県大槌町といえば、あの東日本大震災で、観光船はまゆりが民宿に乗り上げたショッキングな映像が思い浮かびます。
 町は津波で壊滅的な打撃を受け、小学校四校と中学校一校が被災しました。そこで町はこれを中高一貫校として統合し、校舎の建設にとりかかるのですが。
 ここに子どもたちの意見を入れようというのです。
 その理由は引用のこども環境学会主催の「子どもが元気に育つまちづくり~東日本大震災復興プラン国際提案競技『知恵と夢』の支援」コンペで提案された、「子どもと築く復興まちづくり」案にありました。
 新しい町ができるまでに十年、二十年かかるわけで、それをになって行くのは子どもたちだから、というわけです。
 これに日本ユニセフ協会が賛同して「未来の教室を考えよう」というワークショップが五年生の授業として行われることになりました。
 このノンフィクションは、児童文学作家で毎日小学生新聞にもたくさん記事を書いておられるささきありさんが、取材されて書かれたものです。
 
 子ども主体のプロジェクトによって、子どもの心の居場所を作るという考えがあることは知りませんでした。またそれに日本ユニセフ協会が関わっていることも知りませんでした。
 子どもが考える学校というのは、往々にして夢ばかりになりがちですが、ここの子どもさんがたは、避難所としても使われることを想定して、トイレのことや水まわりのことなどにも意見を述べられたそうです。その中の生徒さんには、父と祖父母を津波で失った方もおられたわけです。復興というのは、大変なことだなと改めて思いました。