2015年11月6日金曜日

「ようこそ、ペンション・アニモーへ」光丘真理

書名: ようこそ、ペンション・アニモーへ
著者名: 光丘真理
出版社: 汐文社
好きな場所: 「あたし笑ってる?」
もちろん、笑っているけど……。みんなで「へ?」っていう顔をした。
「笑う演技が、どうしてもできなかったの。だって、おかしくもないのに笑うなんてムリ。笑うことなんて、わすれていたもの」
所在ページ: P133
ひとこと:毎日小学生新聞に連載されていた光丘真理さんの『ようこそ、ペンション・アニモーへ』がご本になりました。
 連載のときからおもしろく拝読させていただいていましたが、ご本になってみると、まとまって読めて、ペンションの雰囲気がよりよくわかります。森の地図も、ペンションの間取りもついていて、それから主人公の新菜がはじめてペンションに行ったときのこともマンガになっていて、読む者は、本当にこのペンション・アニモーに行ったような気分になれます。(地図ってイメージには大事なんですが、作るのは大変な作業なんですよね)

 いろいろな問題をかかえた人たちが新菜のペンションにやってきますが、なぜか動物に見えるのです。そして自然に癒されて、問題を解決して戻ってゆきます。

 その出はいりするさまは、まるで舞台を見るような。出てくる人も動物なら、そうなにか、子どものころに見たぬいぐるみ劇のようです。これが脚本になって、TVドラマや学校劇になったらすてきだろうなと思いました。

 引用のところでは、ミュージカルスターをめざす宇佐美さんという人が、演技の悩みを解決するのですが、実際、そのあと宇佐美さんと登場人物たちは劇中劇をしたりします。

 とてもリアルですが、それもそのはず、作者の光丘さんは、劇団文学座17期生でいらっしゃって、ドラマや脚本などの世界に通じていらっしゃるんですから。宇佐美さんのおかしくないのに笑わなければならない、なんて悩みもきっとご自身経験したことがあるのかも。