2015年6月15日月曜日

「あめ・のち・ともだち」北原未夏子

書名: あめ・のち・ともだち
著者名:北原未夏子
出版社:国土社
好きな場所:「ねー、ゴウくんち」
「ママ、かぜぎみなのよ。なおったらね」
「ねー、いつになったら、ゴウくんにあえるんだよ」
「千葉なんて近いから、すぐあえるわよ」
「近いなら、すぐつれてってよー。つれてってくれないなら、うちによんでよ。よんで!」
 所在ページ:p21
 ひとこと:北原未夏子さん、デビューです!
 北原さんは日本児童文学者協会の投稿作品賞をお取りになった方で、その後、季節風の同人になられて季節風に連載された「憂鬱な季節」というシリーズは、後藤竜二さんがいつも絶賛されていたという、すばらしい書き手さんです。
 私が季節風に投稿していたころも、掲載の常連でいらして、それも毎回、負け知らずの連続掲載、内容も憂鬱シリーズのようなYAだけではなくて、幼年ものもで、すごいなあと思っていました。
 この『あめ・のち・ともだち』は、そのころ季節風に掲載された物語で、その後、児童文学者協会の公募「ともだちって☆いいな」に応募されて入選され、それがきっかけで今回の出版になりました。
 実力派が正当な評価を受けて、ついにデビュー、という感じで、ほんと、ほんと、うれしい。おめでとうございます!!

 ぼくは二年生、走るのはおそいし泣き虫です。友だちにゴウくんという子がいて、足がはやくてサッカーも上手。そんな風に大違いのぼくとゴウくんが友だちになったきっかけは、なんとぼくがどじして作った傷だったという。その傷にまつわるあるものが、ぼくとゴウくんの絆になって、そして、ゴウくんが引っ越したあと、ぼくはゴウくんに会いたくて会いたくて、ママと引用のような会話をします。ゴネが功を奏して、めでたくゴウくんがうちに来ることになったのですが、当日になって……。

 アップダウン、アップダウンをくりかえしながら、ゴウくんとぼくの関係が深められてゆくようすがすごくすてきです。
 北原さんの描く登場人物は、引用のママのように、ほんとうに等身大。きどっていないし、いいこじゃないし、時には勝手で、いいかげんだったりもするけれど、気持ちはあったかい。
 きっと本があまり好きじゃない、と日頃思っているような男の子たちも、ぼくに共感してひきつけられてゆくことと思います。