2015年1月10日土曜日

「きえたじょろうぐものひみつ」正岡慧子

書名: きえたじょろうぐものひみつ
著者名: 正岡慧子
出版社: 岩崎書店
好きな場所: よしよし、いっしょにさがそう。そのくもは、きっと、『じょろうぐも』だ
所在ページ: p48
ひとこと:岩崎書店の「はじめてよむこわ~い話」シリーズです。国松俊英先生ご監修で、10冊がこの春までに刊行予定です。絵はすべて鈴木アツコさん。シリーズ名のとおり、はじめて自力で本を読むぐらいの年代のお子さん向けに、読みやすく大きな活字で毎ページに絵があり、そして怖い話なのですが、あまり怖くなく、というコンセプトです。私もせんだって『あめあがりのかさおばけ』を書かせていただきました。すばらしい作家ぞろいのシリーズの中に入れていただき非常に緊張しましたが、こうやってシリーズの他の本を拝読するとさらに勉強になります。

これは正岡慧子先生の『きえたじょろうぐものひみつ』です。

百年以上生きている畑のそばのかしの木。そのかしの木にケイタのじいちゃんが、なわばしごをかけてくれました。ケイタはともだちのタカシといっしょに、木の上を遊び場にしていたのですが、ある日、そこにでっかいくもが巣を張っていました。タカシは石をなげて、巣を払ったのですが……。

そのあと起きたアクシデントは、偶然なのか、それともなにかの呪いか罰なのか。小さい時はほんとうに、いろいろ真剣に考えたりしました。主人公の気持ち、覚えがあります。とくに、きみのわるいくもで、腹まで赤いとなると。
でも、引用のように、ケイタはおじいちゃんにうちあけて、教えてもらって、かしの木と、くもの関係を知るようになるのでした。そうしたら、ふしぎなことに、現れたのが……。

正岡先生は、児童文学のみならず、薬膳の研究家でもいらっしゃってご活躍中です。体によい、四季折々の食べ物のとり方などについていろいろなところにお書きになっておられるので、一度は目にされたことがあるはず。そういうこともあり、自然と人とのつながりを、いつも考えておられるのでしょう。怖い話ながら、結末はさわやかで、そうだったのか、そうだよね、と心の中にすとんと落ちるお話です。